AIエージェントの信頼性確認から決済サービス連携へ段階的に実証
SBIホールディングスとSBIエバースピン(SBI EVERSPIN)が、AIエージェントとデジタル資産を活用した日韓間の金融・決済サービスに関する基本合意書(MoU)の締結を10月13日に発表した。
基本合意の相手は、韓国のサイバーセキュリティ企業エバースピン(Everspin)と、同国のKB金融グループ傘下のKB国民カード(KB Kookmin Card)だ。4社は、AIエージェントの信頼性確認・権限管理とデジタル決済を組み合わせたサービスモデルについて、段階的に検討・実証を進める。
なおSBIエバースピンは、SBIグループと韓国のエバースピンが2018年8月に設立した日本の合弁会社である。同社はサイバーセキュリティソリューションを提供している。
4社が進める実証には、SBIエバースピンが企画し、エバースピンと共同開発を進める「KYA Trust Gateway」を活用する。同基盤は、AIエージェントが保有するデジタル証明(Credential)を使い、エージェントの識別情報や信頼性を確認するためのものだ。KYAは「Know Your Agent」の略称。AIエージェントの身元と、誰の代理でどの範囲の操作を許可されているかを確認する考え方を指す。
初期の実証では、日本側のAIエージェントが韓国側のサービスと連携する環境を想定する。まずデジタル証明の有効性とエージェントの信頼性を検証し、その後、利用者による権限委任や、サービスごとのアクセス範囲の確認・制御へ実証範囲を広げる予定だ。
金融・決済分野では、KB国民カードのモバイル決済サービス「KB Pay」などとAIエージェントを連携させる仕組みを検討する。決済の実行については、利用者による承認プロセスや、事前に設定された権限の範囲に基づく制御を含め、安全なサービスモデルを共同で検討するという。
後続の段階では、日本人旅行者が保有するステーブルコインなどのデジタル資産を韓国の決済環境と連携させる実証の可能性も検討する。韓国国内の加盟店での支払いを想定し、決済・精算、取消・返金、不正取引検知など、実際のサービス運営に必要な機能や業務プロセスも段階的に検証する予定だ。
各社の役割として、SBIホールディングスは、デジタル資産を使った決済・精算の仕組みを検討し、日本側の金融・デジタル資産インフラとの連携を支援する。また、デジタル証明の発行・管理・有効性確認の仕組みも検討する。ブロックチェーンなどの分散型台帳技術を使った認証・権限・取引関連記録の完全性検証や、第三者による検証・監査の適用可能性も検討するとのこと。
SBIエバースピンは日本側における「KYA Trust Gateway」の設計・実装・検証を、エバースピンは認証や権限検証などに必要なセキュリティ技術の実装・検証を担う。KB国民カードは「KB Pay」や関連する決済インフラとの連携可能性を検討し、決済サービスの運用に必要な機能を検証する。
4社は、共同実証の成果を踏まえてサービスの商用化の可能性を検討する。将来的には、金融以外のサービスも含め、多様なAIエージェントと事業者が安全に接続できる仕組みへ協力範囲を拡大する方針だ。
なおSBIホールディングスとSBIデジタルアセットホールディングスは、2024年7月4日に韓国の教保生命保険グループとの戦略的業務提携を発表していた。韓国でのSTO(セキュリティトークンオファリング)分野の事業創出に向け、セキュリティトークン(ST/デジタル証券)の発行・流通に関する機会や課題を共同で特定し、研究する方針を示していた。
また今年9月17日には、SBIホールディングス子会社のSBIデジタルプラクティスと教保生命保険が、ステーブルコインの活用を見据えた日韓間の国際取引の実証実験を実施したと発表した。金融機関向けブロックチェーン「カントンネットワーク(Canton Network)」のテスト環境で検証が行われた。教保生命によると、円建てとウォン建てのステーブルコインを想定した検証用トークンを直接交換する仕組みを検証したという。またSBIによると、韓国側での保管・管理の業務フローも検証したとのことだ。
このほか10月1日には、SBIデジトラストが、韓国の決済事業者ナイス情報通信(NICE Information & Telecommunication)およびブロックチェーンインフラ企業DSRVとの共同検証に関する基本合意書を締結すると発表した。日本から韓国を訪れる旅行者が、ナイス情報通信の加盟店でQRコードを用いて決済する場面を想定し、ステーブルコインによる送金・決済の商用化を見据えた検証を進めている。検証は2026年12月末をめどに完了する予定だ。
参考:SBIホールディングス
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