国債ファンドの受益権や振替口座簿のオンチェーン対応など
財務省が、国債のオンチェーン対応について3つの類型の例を10月8日に示した。同日開催の「国債のオンチェーン対応に関する研究会」の第1回会合で、事務局説明資料として提示された。
同研究会では、資産をブロックチェーン上で流通可能な形にするトークン化と、それに伴う幅広い取り組みを「オンチェーン対応」と呼ぶ。資産の売買や貸出、利金の支払いなどの効率化に加え、既存システムの改修や業務フローの変更なども含めている。
類型1は、国債などを運用先とする投資信託(MMF)の受益権を、オンチェーンでやり取りする方式だ。
類型2は、現行の振替決済制度を前提に、振替口座簿をオンチェーン対応させる方式だ。振替決済制度では、口座簿の記録や書き換えによって国債の権利を移転する。
この類型2は、対応範囲によってさらに3つに分けられている。単一の口座管理機関で対応する方式、複数の口座管理機関で対応して連携する方式、口座管理機関に加えて振替機関である日本銀行の口座簿まで対応する方式だ。
類型3は、現行の振替決済制度の外で、ブロックチェーン上に新たな形態の国債を発行する方式だ。
財務省は、この3類型を、ヒアリング等で把握した取組事例を基にした議論のための暫定整理と位置づけている。網羅的・包括的な分類を目的としたものではないという。今後、研究会での事業者等へのヒアリングも踏まえ、整理を進めるという。
財務省は、メリットや政策的意義、影響についても、市場参加者等の一般的な認識を基にした暫定的な整理として示している。
オンチェーン対応で考えられるメリットとして、財務省は担保・流動性管理の効率化を挙げた。また、オンチェーンで資産を保有する投資家にとって、待機資金の安定的な運用先になる可能性も示した。
政策面では、国債市場の機能やレジリエンス(強靱性)の向上、新たな投資家層の獲得を含む国債の安定消化、国債市場の国際競争力の維持を挙げている。
一方、市場の分断(フラグメンテーション)に伴い、必要な流動性の総量が増える可能性も示した。24時間365日の取引が実現した場合には、価格急変の影響が広がることを抑えにくくなる点も論点としている。制度・システム・業務への対応に伴う課題やコストも挙げられた。
財務省は9月30日、国債のオンチェーン対応について有識者から意見や助言を得るため、同研究会を開催すると発表していた。
同研究会は理財局次長が主催し、5人の有識者が委員を務める。日本銀行と金融庁がオブザーバーとして参加する。財務省は、2026年12月から2027年1月をめどに、それまでの議論の内容を整理する予定だ。
7月21日付の「成長投資を促進するための金融戦略」では、財務省が国債等のトークン化対応の検討を進める方針が示されている。投資家のニーズに応じた元利払いのオンチェーン決済についても、検討を進めるとしている。
また、金融庁は「AI時代を見据えたオンチェーン金融フォーラム」の立ち上げを9月25日に発表した。オンチェーン金融の社会実装や金融機関等におけるAIの健全な利活用について、関係省庁等と横断的に検討する場となる。初会合は9月30日に開催された。
同フォーラムの検討項目には、官民連携でのロードマップの作成、決済高度化プロジェクト(PIP)の継続・拡大、新たな決済システムの構築促進、日銀当座預金のオンチェーン対応などが挙げられている。
参考:財務省「事務局説明資料:国債のオンチェーン対応について」
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