9/15に上院で手続き採決へ
米国で審議中の暗号資産(仮想通貨)市場構造法案「デジタル資産市場明確化法(Digital Asset Market Clarity Act:CLARITY Act)」の新たな修正案が公開された。
米上院銀行・住宅・都市問題委員会のデジタル資産小委員会委員長を務めるシンシア・ラミス(Cynthia Lummis)上院議員(共和党)が、新たな法案文書について、8月の超党派協議を反映し、民主党側から求められた114項目超の規定を盛り込んだと説明した。
公開された修正案の文書番号は「EHF26718」。下院を通過済みの「H.R. 3633」に対する全文差し替え型の修正案(amendment in the nature of a substitute)となっている。同法案は、米証券取引委員会(SEC)と米商品先物取引委員会(CFTC)の暗号資産に対する管轄を明確化し、米国における包括的な暗号資産市場の規制枠組みを整備するものだ。
今回の修正では、DeFi(分散型金融)に関する規定などが見直された。
ラミス氏によると、分散化が十分でないDeFi取引プロトコルを支配する個人・団体について、CFTCへの登録や銀行秘密法(BSA)に基づく義務の適用を明確化する規則の制定を求める規定を盛り込んだ。また、DeFiの一定の活動に対する規制適用除外を、デジタル商品の現物取引に関する規定に限定する変更も加えたという。後者は、ブロックチェーンを利用した予測市場を巡るネイティブ・アメリカン側の懸念に対応したものとされる。
このほか、連邦信用組合(Federal Credit Union)が、法令上認められている業務やサービスをデジタル資産や分散型台帳システムを用いて提供できることも明確化された。EHF26718では、こうした活動を信用組合の業務の一部または付随業務として位置づける規定が盛り込まれている。
EHF26718には、従来案に盛り込まれていた、暗号資産の証券性を巡る枠組みも引き継がれている。
同案は「ネットワークトークン(network token)」を、分散型台帳システムと本質的に結びつき、そのシステムの利用から価値を得る、または得ることが合理的に見込まれるデジタル商品と定義。一定の要件のもと、証券法上「非証券(non-security)」として扱うとしている。
一方、ネットワークトークンのうち、その価値が発行主体にあたる「付随資産オリジネーター(ancillary asset originator)」や関係者の企業家的・経営的努力に依存するものについては「付随資産(ancillary asset)」として、一定の開示義務などを課す。
つまり同案では、トークンそのものの法的位置づけと、そのトークンを伴う資金調達取引などへの証券規制の適用を区別する枠組みが設けられている。
またSECに対し、付随資産を伴う一定の取引を証券登録義務から免除する「Regulation Crypto」の制定を求める規定も盛り込まれた。
さらに、分散型台帳システムが特定の関係者による「coordinated control(協調的支配)」を受けていないことをSECに証明する制度を設ける。関連当事者によるトークンの売却制限などは、この認定状況に応じて変更される仕組みだ。
例えば一定の関連当事者による売却では、coordinated controlから離脱する前は原則12カ月の保有期間が求められる一方、離脱が認定された場合には一定の条件下で6カ月となる。なお同案は、coordinated controlの有無と、発行主体などによる企業家的・経営的努力が完了したかどうかについて、別個に判断すると規定している。ただし、協調的支配の解消は、こうした努力が完了したと判断されるための前提条件とされる。
CLARITY法を巡っては、9月15日に上院で重要な手続き採決が予定されている。
上院は米東部時間9月15日午後2時15分、H.R. 3633の本会議での審議入りに向けた動議に対する討論終結(cloture)動議を採決する予定だ。これはCLARITY法そのものの最終採決ではなく、法案の審議を前進させるための手続き上の採決となる。
討論終結には60票が必要となる。共和党は上院で53議席を占めるため、共和党議員全員が賛成したとしても、民主党・無所属から少なくとも7票を確保する必要がある。
一方、法案を巡っては民主党だけでなく一部の共和党議員からも懸念が示されている。民主党側はマネーロンダリング対策や政府高官を巡る倫理規定などを問題視しているほか、一部共和党議員や銀行業界からは、利息や報酬が付くステーブルコインが銀行預金と競合し、銀行の融資能力などに影響を与える可能性への懸念が出ている。
今回の100項目超の修正は、こうした反対意見を取り込み、9月15日の採決に必要な超党派の支持を確保する狙いがあるとみられる。ただし、修正によって必要な60票を確保できるかは依然として不透明だ。
CLARITY法は2025年7月、米下院を294対134で通過。その後、上院では銀行委員会が2026年5月に15対9で法案を可決した。
ラミス氏は7月22日、上院銀行委員会と農業委員会の作業成果を統合した更新案を公開。その後も8月の夏季休会期間を通じて超党派での交渉が続けられ、今回のEHF26718に至った。
同法案が下院通過版とは異なる内容で上院を通過した場合、法制化には両院で法案の内容を一致させたうえで、大統領の署名を得る必要がある。
This updated Clarity Act text reflects bipartisan hard work over August—specifying when decentralized-in-name-only DeFi protocols must register with the CFTC and limiting the DeFi provisions to spot and cash transactions, in response to Native American concerns about prediction…
— Senator Cynthia Lummis (@SenLummis) September 10, 2026
参考:新草案
画像: