MSCI、「非事業会社」除外の新基準案公表。試算でストラテジーとメタプラネットが除外候補に

MSCIが新たな指数採用基準を提案、9月末まで意見募集

世界的な株価指数算出会社MSCI(MSCI Inc.)が、市場参加者からの意見募集(コンサルテーション)を開始した。同社は、事業活動よりも資産保有への依存度が高い企業などを「非事業会社(Non-Operating Companies)」として、「MSCIグローバル・インベスタブル・マーケット・インデックス(Global Investable Market Indexes:GIMI)」の採用対象外とする新たな基準案を8月3日に公表した。

MSCIは、世界中の機関投資家やインデックスファンドなどが運用指標として利用する株価指数を算出している。今回対象となるGIMIは、MSCIが算出する世界株価指数群の総称だ。「MSCI ACWI IMI」は、先進国と新興国の大型株から小型株までを対象とする世界株価指数となる。指数構成銘柄が変更されると、それらに連動するファンドなどの売買につながる場合がある。

MSCIが新基準案を2026年5月時点の「MSCI ACWI IMI」構成銘柄へ試験的に適用した結果、ビットコイン(BTC)を財務資産として保有する米ストラテジー(Strategy)、日本のメタプラネット(Metaplanet)、英国のウラン投資会社イエロー・ケーキ(Yellow Cake)の3社が指数から除外される試算となった。

一方、イーサリアム(Ethereum)トレジャリー企業のシャープリンク(Sharplink)のほか、台湾のセンター・ラボラトリーズ(Center Laboratories)、トルコのリディア・ホールディング(Lydia Holding)の3社は、新たに設けるウォッチリストの対象になるとの試算が示された。

なお、今回公表された内容は意見募集段階の提案であり、ルール変更が決定したものではない。MSCIは9月30日まで市場参加者から意見を募集し、10月16日までに結果を公表する予定だ。変更を実施する場合は、11月の指数見直しで反映する案を示している。

暗号資産企業ではなく「非事業会社」を新たに判定

今回の基準案は、暗号資産(仮想通貨)関連企業に限定したものではない。MSCIは、実際の事業活動よりも非事業資産の保有によって価値を生み出す企業や、業績が資産価格の変動に左右される企業などを「非事業会社」と判定する新たな枠組みを提案している。成長のために自社事業から生まれる資金ではなく、外部からの資金調達へ依存することも特徴の一つに挙げている。

MSCIは2025年、デジタル資産の保有額が総資産の50%以上となるデジタル資産トレジャリー企業(DATCO)をGIMIの採用対象外とする案について意見募集を実施した。しかし今年1月、同案の導入を見送り、非事業会社全般を対象とするより広範な検討を進める方針を示していた。今回の基準案は、暗号資産保有企業に限定せず、業種を問わず財務実態から非事業会社を判定する仕組みとして提案されたものとなる。

法的形態だけでなく財務実態も審査対象に

現在のGIMIでは、投資ファンドや事業開発会社(Business Development Companies:BDC)などを、法的形態や開示書類上の分類に基づいて採用対象外としている。今回の提案では、これに財務比率や開示書類の分析を用いた定量審査を追加し、一般企業についても非事業会社に該当するかを判定する。

審査は2段階で実施する。まず、事業用資産が総資産の50%を超えるかを確認する。この基準を満たした企業は事業会社としてGIMIへの採用資格を維持し、満たさなかった企業は第2段階の追加審査へ進む。

追加審査では、事業用資産比率、営業費用比率、営業キャッシュフロー、公正価値変動比率、資本調達依存度の5項目を確認する。5項目のうち4項目以上で基準に該当した企業を、GIMIの採用対象外となる「非事業会社」と判定する案だ。

また、MSCIは指数構成の安定性を保つため、すでに指数へ採用されている企業には未採用企業より緩やかな基準を適用する。直近の年次開示のみで基準に抵触した既存構成銘柄はウォッチリストへ掲載し、2回連続の年次開示で基準に抵触した場合に指数から除外する仕組みとなる。

参考:協議文書MSCI
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

渡邉洋輔

「あたらしい経済」編集部 記者
ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。

「あたらしい経済」編集部 記者
ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。

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