ビットコイン「BIP110」適用ノードが少数派チェーンへ分岐、メインチェーンは従来ルール維持

BIP110適用ノードが少数派チェーンへ分岐

ビットコイン(Bitcoin)の改善提案「BIP110」を実装し、その強制シグナリング規則を適用する一部のノードとマイナーが、日本時間8月9日、ブロック高961,632でメインチェーンから分岐し、少数派チェーンを形成した。一方、圧倒的多数のハッシュパワーは従来ルールのチェーンで採掘を継続しており、メインチェーンのコンセンサスルールに変更は生じていない。

BIP(Bitcoin Improvement Proposal)は、ビットコインの仕様変更や新機能などを提案する仕組みだ。ただし、提案が公開されたからといって、その内容が自動的にビットコインへ反映されるわけではない。実際にルールを変更するには、ネットワーク参加者による採用が必要となる。

今回のBIP110は、画像やテキストなど任意データの埋め込みに利用される特定の手法を、有効化後約1年間制限することを提案したものだ。

その背景には、近年のビットコインにおけるデータ利用を巡る議論がある。「オーディナルズ・インスクリプション(Ordinals Inscriptions)」は、画像やテキストなどのデータをビットコインの取引データへ埋め込む仕組みだ。こうした利用が広がる一方、BIP110の提案者らは、送金データと同じく1ブロックに記録できるデータ容量(ブロックスペース)を消費し、本来の送金用途と競合していると主張していた。

つまり、BIP110はビットコインを通貨としての利用へ再び重点を置くことを目指した提案だ。具体的には、連続する任意データの埋め込みや一部のスクリプト構造を、52,416ブロック(有効化後約1年間)にわたって制限する7つのルール変更を提案していた。

このルール変更では、まず一定期間のシグナリング状況を確認する仕組みが採用されていた。具体的には、2,016ブロックのうち1,109ブロック(55%)が支持・準備完了のシグナルを示した場合、提案が早期にロックインし、その後さらに1回の難易度調整期間を経て新ルールが有効になる設計だった。

BIP110公式サイトから参照されている「BIP110モニター(BIP110 Monitor)」によると、強制シグナリング開始前の期間では、2,016ブロックのうちシグナルが確認されたのは51ブロック(2.53%)にとどまり、55%には届かなかった。

ただし、55%に届かなかった時点でBIP110が終了したわけではない。仕様ではその後、高さ961,632から963,647までの「強制シグナリング期間」へ移行し、BIP110適用ノードがシグナルを付けていないブロックを無効とみなす設計となっていた。この段階では、任意データを制限する本体ルールはまだ有効化されていない。

高さ961,632では、従来ルールのチェーン上でシグナルのないブロックが生成された。BIP110適用ノードはこれを拒否し、マイニンググループ「ラフネックス(Roughnecks)」がOCEANを通じて、同じ高さのシグナル付きブロックと、その次の高さ961,633のブロックを生成した。従来ルールのノードはシグナル付きブロックも有効とみなせるが、より多くの累積作業量を持つ従来チェーンを追跡した。この結果、BIP110側は少数派チェーンとなった。

BIP110チェーンは当初、高さ961,632と961,633の2ブロックを生成した後に停滞した。ただし、OCEANの記録では8月12日に高さ961,634と961,635の2ブロックが追加されている。8月16日時点では、分岐後に合計4ブロックを生成した高さ961,635で再び停滞している。

なお、ビットコインのBIP公式リポジトリでは、チェーン分岐と採掘停滞を受け、BIP110のステータスは「Closed(終了)」へ変更されている。

参考:BIP110.orgBIP110 Monitormempoolガイド
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

渡邉洋輔

「あたらしい経済」編集部 記者
ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。

「あたらしい経済」編集部 記者
ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。

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