ソラナ「Alpenglow」、10/21にメインネット稼働へ。ファイナリティ約150ミリ秒目指す

ソラナ「Alpenglow」が10月21日にメインネット稼働へ

レイヤー1ブロックチェーン「ソラナ(Solana)」の次期コンセンサスアップグレード「アルペングロー(Alpenglow)」を、約1週間後にメインネットベータ(mainnet-beta)へ導入する予定だと、アンザ(Anza)が10月13日に発表した。アンザは、ソラナの主要クライアントソフトウェア「アガベ(Agave)」の開発会社だ。メインネットベータは、実際の取引が行われる本番環境を指す。

同社は、アップグレードに必要な機能の有効化を10月21日14:50頃(UTC:日本時間同日23:50頃)に予定している。なお、機能の有効化と実際の切り替えは異なる段階であり、切り替えは機能有効化から約18分後に行われる見込みだ。

今回のアップグレードでは、従来のコンセンサス「タワーBFT(TowerBFT)」をアルペングローに置き換える。これにより、ブロックに記録された取引が覆らない状態として最終確定するまでの時間「ファイナリティ」を、従来の約12.8秒から約150ミリ秒に短縮することを目指す。

コンセンサスとは、取引の検証やブロックの確定に参加する「バリデーター」と呼ばれるネットワーク上のノードが、取引の順序やブロックの最終確定について合意するための仕組みだ。アンザはアルペングローを、ソラナ史上最大規模のアップグレードと位置付けている。

なお今回のアップグレードでは、スマートコントラクトの実行環境やトランザクション形式などは変更されない。そのため、一般利用者は従来どおりウォレットやアプリケーションの利用が可能だ。一方、バリデーター運営者には対応するクライアントソフトウェアへの更新などが必要となり、ブロックやファイナリティに関するデータを直接扱うサービスにも変更への対応が求められる。

アルペングローは約18カ月にわたって開発されてきた。アンザによると、今回のメインネットベータへの移行では、事前の準備を経て、従来のコンセンサスからアルペングローへの最終的な切り替えをわずか1スロットで実施する予定だ。スロットとは、ブロック生成の機会を割り当てる時間単位で、ソラナでは数百ミリ秒程度に相当する。

具体的には、10月21日にアップグレードに必要な機能を有効化した後、約5,000スロットにわたって従来のコンセンサスを稼働させる。その後、ユーザーの取引をブロックに取り込む処理を一時的に停止し、新たなコンセンサスの起点となるブロックを確定する。これには、ネットワーク全体で預けられたSOLの量(ステーク量)の82%以上を占めるバリデーターの署名が必要となる。

またアルペングローでは、新たな投票プロトコル「ヴォーター(Votor)」が導入される。従来のタワーBFTでは、バリデーターがブロックチェーン上に投票を記録し、32スロットにわたって投票を積み重ねることでブロックを最終確定していた。一方、ヴォーターでは、バリデーター間で投票を直接やり取りし、複数の投票を1つの証明書に集約する。これにより、ブロックチェーン上に投票を記録する必要がなくなり、ユーザーの取引に利用できる処理容量が増える。

ヴォーターでは、2種類の投票方式を並行して実行する。1つはステーク量の80%が応答した場合に1回の投票でブロックを最終確定する方式で、もう1つは60%の応答で2回の投票を経て最終確定する方式だ。先に条件を満たした方式が採用されるため、ネットワークの状況に応じてブロックを短時間で最終確定できる設計となっている。

さらに、アルペングローでは、従来のコンセンサスで時間管理に使われてきた「プルーフ・オブ・ヒストリー(Proof of History:PoH)」への依存をなくす。代わりに、各バリデーターが独自のタイマーを使って応答しないブロック提案者を検出し、必要に応じて次の提案者へ処理を進める仕組みを導入する。

なお、約150ミリ秒というファイナリティは、現時点で本番環境において確認された実測値ではなく、シミュレーションに基づく目標値だ。実際の時間はネットワークの通信状況やバリデーターの分布などによって変動するものの、短縮が実現すれば、決済など取引の最終確定を待つサービスの待ち時間を減らせる可能性がある。

アルペングローは、今年5月にコミュニティテストクラスターで稼働を開始し、9月24日にはテストネット、同月25日には開発者向けネットワーク「devnet」への移行を完了した。またアンザによると、大規模環境で9回の移行に成功したほか、1,500ノードを対象としたシミュレーションも実施したとのことだ。

 

参考:アンザ
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

渡邉洋輔

「あたらしい経済」編集部 記者
ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。

「あたらしい経済」編集部 記者
ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。

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