ハイパーリキッド、許可型市場対応の「HIP-3*」導入へ、アクセス制御や取引管理機能を追加

HIP-3に許可型市場向け機能を追加

分散型取引基盤ハイパーリキッド(Hyperliquid)に許可型のパーペチュアル(無期限先物)市場に対応する新機能「HIP-3スター(HIP-3*)」が将来のネットワークアップグレードにて導入される予定だ。ハイパーリキッド共同創業者のジェフリー・ヤン(Jeffrey Yan)氏が公式ディスコード(Discord)で日本時間9月3日に発表した。

HIP-3は、外部の事業者や開発者がハイパーリキッドの取引基盤を使い、独自のパーペチュアル市場をパーミッションレスに開設できる仕組みだ。パーペチュアルは、一般的な先物と異なり満期日を持たないデリバティブ契約を指す。HIP-3では、市場を開設する「デプロイヤー」が独立した運営者となり、取り扱う資産やオラクル、レバレッジなどの市場設定や運営を担う。

HIP-3スターは、このHIP-3に許可型市場を運営するための機能を任意で追加するものだ。市場を作成する際にHIP-3スターとして指定することで、許可リストや利用者の取引を管理する機能が有効になる。既存のHIP-3市場は変更されない。

HIP-3スターの中核となるのは、デプロイヤーまたは権限を与えられた「サブデプロイヤー」が管理するオンチェーンの許可リストだ。ユーザーのアドレスを許可リストに追加または削除することで、その市場に参加できるユーザーを管理する。

デプロイヤーには、利用者の取引を限定的に管理する機能も提供される。ユーザーの未約定注文を指定してキャンセルするほか、当該ユーザーがそのHIP-3 DEXで出しているすべての未約定注文と時間加重平均価格(TWAP)注文を一括でキャンセルできる。また、ユーザーに代わって注文を出す機能や、ユーザーの担保を同じHIP-3 DEX内の別アカウントへ移動する機能も追加される。

一方、こうした権限には制限が設けられている。デプロイヤーによる代理注文は、既存ポジションを縮小する「リデュースオンリー(reduce-only)」に限定されるため、ユーザーに代わって新たなポジションを構築することはできない。一括キャンセルの対象も当該HIP-3 DEX内に限られ、他のDEXにある注文やTWAPには影響しない。担保の移動先も同じHIP-3 DEX内のアカウントに限定される。

デプロイヤーは、許可リストの管理や注文のキャンセル、代理注文、担保移動などの権限を個別にサブデプロイヤーへ付与できる。これにより、市場運営に必要な権限を役割ごとに異なる主体へ分担できる。

今回の発表では、ハイパーリキッドについて、金融システムの幅広い領域を支えることを目指す「中立的なインフラレイヤー」と説明されている。HIP-3スターは、独立した運営者であるデプロイヤーが、それぞれに適用される要件に沿って市場を運営するための追加機能として設計されたとのことだ。

なおHIP-3スターは現在テストネットのみで提供されている。公開されている仕様は暫定的なものであり、フィードバックに基づいて変更される可能性があるとのことだ。

米国で規制下のパーペチュアル提供を巡る動き

今回の発表に先立ち、ハイパーリキッドを巡っては米国で規制に準拠したパーペチュアルを提供する構想も報じられている。ハイパーリキッド開発元のハイパーリキッド・ラボ(Hyperliquid Labs)と、暗号資産(仮想通貨)取引所クラーケン(Kraken)の親会社ペイワード(Payward)が、米国でのパーペチュアル提供に向けた協議を進めていると米メディア「ブルームバーグ(Bloomberg)」が日本時間9月1日に報じた。

報道された構想では、ペイワード傘下のデリバティブ取引所ビットノミアル(Bitnomial)を通じ、米国ユーザーにハイパーリキッドのブロックチェーン技術上に構築された一部のパーペチュアルを提供することが検討されているとのことだ。ビットノミアルは、米商品先物取引委員会(CFTC)の規制下でデリバティブ市場を運営している。

ブルームバーグは、ハイパーリキッドのパーミッションレスな構造について、市場操作やマネーロンダリング、制裁回避などへの対応が米国での規制上の課題になっていると伝えていた。HIP-3スターが追加する許可リストや限定的な取引管理機能は、こうした管理が必要となる市場もHIP-3上で構築できるようにするものとなる。

ただし、今回の発表ではHIP-3スターとこの米国構想との関係は示されておらず、同構想でHIP-3スターが利用されるかは不明だ。また、HIP-3スターはデプロイヤーに適用される要件に沿った市場運営を可能にする機能として説明されているものの、特定の法域や規制制度への対応を目的とすることは示されていない。

参考:ディスコード
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

渡邉洋輔

「あたらしい経済」編集部 記者
ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。

「あたらしい経済」編集部 記者
ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。

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