イーサL2のZKシンク、初期版ZKロールアップ「ZKsync Lite」を2026年に廃止へ

「ZKsync Lite」が2026年に廃止へ

イーサリアム(Ethereum)レイヤー2ネットワーク「ZKシンク(ZKsync)」による初期版ロールアップ「ZKシンク・ライト(ZKsync Lite)」が、2026年に廃止する計画が進められていると、公式Xより12月7日に発表された。

ZKシンク開発チームは、ZKシンク・ライトの廃止について「これは計画的で秩序だったサンセットであり、他のZKシンクシステムには影響しない」と説明した。また現時点で利用者が取るべき即時の対応はなく、同プロダクトは通常通り稼働しており、資金は安全に保管され、イーサリアムメインネットへの出金も引き続き可能であるという。

ZKシンク・ライトは2020年にイーサリアム上でローンチされた初期のZKロールアップで、ZKシンクが後続プロダクトへ進むための第一段階として位置付けられていた。2023年にzkSync 1.0から現名称へ変更されている。同社は同プロダクトを「画期的な概念実証」と説明しており、ゼロ知識証明技術に基づく実運用システムを構築する上で重要なアイデアを検証したプロダクトだったと述べている。

マターラボは今後の重点領域として、「ZKスタック(ZK Stack)」、「プリビディアムズ(Prividiums)」、「ZKシンクネットワーク(ZKsyncネットワーク)」などの次世代システム群に開発リソースを集中させる方針を示した。同社は「次のステップはこれらのシステムに属する」と述べ、ZKシンク・ライトがその役割を終えたことを明確にした。

こうした背景のもと、マターラボは2024年以降、ZKシンクの後継技術群の開発を進めている。今年6月には新たなゼロ知識証明システム「エアベンダー(Airbender)」を発表した。同証明器は単一のGPUでイーサリアムブロックの証明を約35秒で生成でき、ZKロールアップにおける証明生成の高速化を目的としたコンポーネントだという。

さらに今年10月には、ブロックチェーン開発用オープンソースフレームワーク「ZKスタック(ZK Stack)」の大型アップグレード「アトラス(Atlas)」の詳細を公開した。アトラスでは、高性能シーケンサーや複数VM構成のサポート、前述したエアベンダーの統合などを通じ、ゼロ知識証明による1秒ファイナリティを実現する設計が示されている。

なお前述したZKロールアップとは、ゼロ知識証明(zero-knowledge proof:zkp)を活用したロールアップ方式であり、トランザクションをオフチェーンで実行したうえで、それが正しく処理されたことを暗号学的に証明する仕組み。この証明と必要なサマリーデータをイーサリアムに保存することで、セキュリティを確保しながらガス代(ネットワーク手数料)の削減やネットワーク混雑の緩和を実現する。

またロールアップとは、元となるブロックチェーン(L1:イーサリアム)のセキュリティなどを活用しながら、ガス代(ネットワーク手数料)やネットワークの混雑解消を図るスケーリング技術のことだ。

 

 画像:iStocks/sandipruell

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あたらしい経済 編集部

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これから「あたらしい経済」時代を迎える すべての個人 に、新時代をサバイバルするための武器を提供する、全くあたらしいWEBメディア・プロジェクトです。

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