日本のWeb3の未来を一緒に盛り上げたい。Web3ウォレット開発の「Blocto」が日本参入で目指すこと(郭巧童 / カク・ナオカ)

ブロックチェーンの世界と日本の架け橋:ユーザーフレンドリーなWeb3アクセスへの「Blocto」の取り組み

「アカウントの抽象化」を活用し、オールインワンのクロスチェーン・スマートコントラクト・ウォレット「Blocto Wallet」を提供する台湾の企業Blocto(ブロックト)。「Blocto Wallet」の特徴は、とにかくWeb3を意識せずとも簡単に使うことのできるユーザーフレンドリーな設計にある。同社のウォレットのユーザーはすでに全世界で170万人を超える。

そしてBloctoは、今年日本支社を立ち上げた。今回「あたらしい経済」ではBlocto日本事業開発責任者である郭巧童(カク・ナオカ)氏を取材。郭氏に、日本の市場をどう捉えているのか、そして今後どのようなサービスを展開していくのか、ウォレットのアップデートなどの最新情報も含めて、語っていただいた。

Bloctoのビジョン、ユーザーに提供する価値とは?

–Bloctoを設立した動機と、ブロックチェーンとWeb3の領域におけるBloctoのビジョンを教えてください。

そもそもブロックチェーン技術の持つ将来の可能性に、私たちBloctoが先駆的なデジタル・ウォレットを作り実現したい世界のビジョンが紐づいています。

台湾では昨今、エコシステムのデジタル化が加速しています。台湾のデジタル担当大臣オードリー・タン(唐鳳)氏が指摘するように、ブロックチェーンの分散型台帳技術は、環境モニタリングから透明性の高いビジネス・ガバナンスまで、幅広い応用が可能な技術です。

Bloctoのビジョンは、この革命の最前線に立つことです。そしてそんなブロックチェーンの可能性を引き出す鍵は、一般の人々がブロックチェーンにアクセスし、理解できるようにすることにあると、私たちは考えています。  

–ブロックチェーンとWeb3のエコシステムにおいて、重要であると認識した具体的なユーザーの悩みと、Bloctoがどうこれらの課題に対処しているかを教えてください。

ブロックチェーン採用の最も大きな障壁の1つは、その本質的な複雑さです。そこでBloctoは、技術的な事柄を抽象化し、直感的なユーザーインターフェースを持ったウォレットを提供することで、この複雑さを簡素化します。分かりやすい説明とガイド付きプロセスを提供し、ブロックチェーン体験がより親しみやすく、敷居を低くしたサービスをユーザーに提供します。

Bloctoは、コインレス・オンボーディング・プロセスを通じてこの問題に対処し、ユーザーが最初に暗号資産を所有することなくウォレットをセットアップして使い始めることもできるようにしました。

Blocto 日本事業開発責任者 郭巧童(カク・ナオカ)氏

日本のWeb3市場をどう捉えているか?

–日本の市場をどのように捉えていますか?

今年、多くのグローバルなWeb3企業やプロジェクトが、事業展開する各国の規制の影響で、苦境に立たされています。

しかしそんな中、政府が民間セクターと協力し、ブロックチェーン技術を強力に推進し始めた国があります。そう、日本です。

日本政府は昨年に続き、今年も「Web3ホワイトペーパー」を発表しました。今年3月に開催されたETHGlobal Tokyoに参加した私たちは、日本でVCやスタートアップの活気ある雰囲気を目の当たりにしました。また私たちが子供の頃から耳にしたことのある大手IP企業までもが熱心にブロックチェーンの実験に取り組んでいることも知りました。そこから私たちは 「JAPAN IS BACK, AGAIN」という考えを信じ始めたのです。

優れたユーザーエクスペリエンスを確保しながら、この新技術をどのように統合していくのか、それを考えている多くの日本のプレイヤーからは、職人精神さえ感じました。

2023年のベアマーケットにおいて、私たちは日本のブロックチェーンに対する需要がかつてないピークに達していると感じています。そしてそんなタイミングだからこそ、優れたオンボーディング・エクスペリエンスを持つBloctoが、今の日本市場に適していると確信しているんです。

また日本には強い資金力があります。先月、VC大手のa16zが東京を訪問した際に述べたように、日本は今やグローバルな投資グループの中心地となっています。日本のIPと将来のブロックチェーンやAR/VR技術との潜在的な融合は、新たなトレンドと巨額の投資を呼び起こす可能性があると感じています。

— Bloctoとして日本市場でビジネスチャンスを探っていますか?

複数のWeb2アカウントの利用に慣れ親しんだ日本の方々は、Bloctoのユーザーフレンドリーなブロックチェーン・アプローチに好感を持っていただけると思います。メール、アップルIDといった多様なログイン方法にすでに慣れ親しんでいるユーザーは、Bloctoのインターフェースが彼らのデジタルルーティンにシームレスに統合されていることをご理解いただけると思います。

そして実は、すでにBloctoのユーザーの10%が日本からのユーザーなんです。またそのうちそれぞれのユーザーが平均4つのNFTをBloctoで所有してくれています。

私たちは実はこれまで大きく日本でマーケティングを行なってきていません。それでもすでに一定のユーザーベースを抱えることができているのは、私たちのサービスの直感的な使いやすさのためだと自負しています。

Web3のゲームとSNS分野において、日本には優位性があると思っています。私たちは、これまで日本のゲーム、音楽、金融の各分野のキーマンと関わり、彼らの具体的なニーズを深く掘り下げてきました。

そこで分かったのは、多くの企業がユーザーのコンバージョン率の向上に苦労していることでした。だからこそBloctoは、日本のWeb2の大企業らと協力し、ユーザーエクスペリエンスに重点を置いたサービスを提供し、その課題を払拭することを支援していきたいと考えています。

日本のWeb2企業らの参入と成功が、Web3業界の提供するサービスの質を高める機会になれば嬉しいです。

–日本でどのような企業とパートナーシップを実施していきたいですか?

日本のWeb2企業は、IP、ゲーム制作、ユーザーエンゲージメントの分野で、これまで大きな成果やビジネスの拡大を成し遂げてきました。一方Bloctoは、卓越した技術と4年にわたるWeb3のノウハウを持っています。

私たちの目標は、日本企業の今後の事業戦略に合わせた、支援的なパートナー、アドバイザー、そして友人としての役割を果たすことです。私たちは日本語を話せるスタッフもいますので、安心してコラボレーションのご相談なども承ることができます。

これまでも私たちはグローバルで、YahooのNFTマーケットプレイスのコラボレーションやMotoGPとのコラボレーションやAptos #LFB NFTのエアドロップ・キャンペーンなどのプロジェクトの成功に寄与してきました。

これらの実績をもとに、私たちは日本企業と提携し、Web3を従来のビジネスモデルにシームレスに統合する革新的なソリューションを提供するユニークな立場を目指します。

今後の展望と将来ビジョン

–今後のBloctoの新機能や改善点について、こっそり教えていただけますか?

来年Bloctoは、日本市場に特化した「Web3 to B」サービスとしての地位の確立に注力します。私たちのしっかりとローカライズされたアプローチで、ブロックチェーン技術を日本により広めることを約束します。

具体的には現在、日本語ローカライゼーションや日本ユーザー向けにカスタマイズされたユニークなメールサービスの開発などを進めています。日本市場のユニークな嗜好やニーズに合わせ、パーソナライズされた親しみやすいユーザー体験を提供していく予定です。

そして私たちは、様々なブロックチェーン・ネットワークを提供する「ウォレット・アズ・ア・サービス(WaaS:Wallet as a Service)」を強化していきます。私たちの最先端のウォレット技術を企業と共同で提供していく事例を増やしていきます。

私たちは、これらの企業がBloctoのウォレットソリューションの技術的なメリットを活用し、ブランドの一貫性を維持できるよう支援していきます。大企業が私たちのウォレット機能を既存のシステムにシームレスに統合し、その企業の顧客にユーザーフレンドリーな体験を提供できるようサポートします。

これらの今後の取り組みは、単に日本市場に参入するというだけでなく、現地のユーザーと共鳴する形でブロックチェーン体験を再定義するという、Bloctoの広範な戦略の1つなんです。

私たちの目標は、複雑なブロックチェーン技術と日常的なユーザーとのギャップを埋めることであり、日本のすべての人にとって、Web3の世界への旅をスムーズで、アクセスしやすく、楽しいものにすることを目指しています。

–最後に、読者やユーザーの皆様にお伝えしたいことがあれば、ぜひお聞かせください。

 日本にはブロックチェーン領域において、まだまだ潜在的な可能性とイノベーションに満ちた状況があります。日本の親友である台湾人として、私たちは日本市場の課題とチャンスを理解できていると思います。

日本でこれから新たなパートナーシップやコラボレーションを推進する中で、私たちの革新的なソリューションと日本の先進的な技術エコシステムを融合させ、Bloctoと日本のブロックチェーン領域の双方の進化と拡大を目指していきたいと、強く思っています。

そして最後に。今回のインタビューにあたり、Bloctoの代表取締役社長の顏維佐(エドウィン・イェン)よりメッセージを預かっています。こちらも合わせて読んで頂けますと嬉しいです。

「Bloctoのミッションは、ブロックチェーンのアクセシビリティに革命を起こし、世界的な普及を促進することです。私たちは、強力で持続可能なパートナーシップを育み、この地域が提供する莫大なビジネスチャンスを活用するため、日本に現地法人を設立します。日本政府がブロックチェーンイノベーションを支援する積極的な姿勢を示しているのを目の当たりにし、胸が熱くなりました。この政府の支援は、日本を私たちのグローバル展開にとって極めて重要な市場とし、ブロックチェーン導入の道標にするという私たちの自信を確固たるものにしました」Bloctoの代表取締役社長 顏維佐(エドウィン・イェン)

「Blocto」関連リンク

関連するキーワード

この記事の著者・インタビューイ

あたらしい経済 編集部

ブロックチェーン、仮想通貨(暗号通貨)、トークンエコノミー、評価経済、シェアリングエコノミーなどの「あたらしい経済」をテーマにしたWEBメディアです。「あたらしい経済」モデルやそこでの稼ぎ方、そこで未来を切り開く人々のエピソード、あたらしい時代における働き方や学ぶべきことなどを、紹介します。これから「あたらしい経済」時代を迎える すべての個人 に、新時代をサバイバルするための武器を提供する、全くあたらしいWEBメディア・プロジェクトです。

ブロックチェーン、仮想通貨(暗号通貨)、トークンエコノミー、評価経済、シェアリングエコノミーなどの「あたらしい経済」をテーマにしたWEBメディアです。「あたらしい経済」モデルやそこでの稼ぎ方、そこで未来を切り開く人々のエピソード、あたらしい時代における働き方や学ぶべきことなどを、紹介します。これから「あたらしい経済」時代を迎える すべての個人 に、新時代をサバイバルするための武器を提供する、全くあたらしいWEBメディア・プロジェクトです。

合わせて読みたい記事

【随時更新】2024年 暗号資産/ブロックチェーンなどWeb3領域の主要カンファレンス日程まとめ

今年2024年も国内外で様々な暗号資産(仮想通貨)/ ブロックチェーンなどWeb3領域のカンファレンスの開催が予定されています。この記事では今年の主要なイベントについてご紹介します。今後こちらの情報も随時更新していく予定です。ぜひブックマークしてご利用ください(最終更新2024年1月26日)。

HTXが「HTX DAO」ローンチ、ガバナンストークン「HTX」も発行へ

海外暗号資産(仮想通貨)取引所のHTXが、HTX DAOの設立およびガバナンス機能付きプラットフォームトークン「HTX:HTX DAO」を発行し、独自に発行しているプラットフォームトークンである「HT:Huobi Token」からの移行を発表した。HTX DAOは1月18日に設立され、トークンの移行に関しては1月20日に発表されている

NFTのビジネス活用が学べるイベント「NFT meets BUSINESS」2/6開催、クリプトリエ新サービス発表も

NFTのビジネス活用が学べるイベント「NFT meets BUSINESS 2024 produced by cryptolier」が、東京ミッドタウン日比谷で2月6日に開催される。web3に関するコンサルティングや開発事業を手掛ける、株式会社クリプトリエが「NFTのビジネス活用を”今”からはじめよう」をテーマに主催するイベントだ。

渋谷がアートとテックに染まる3日間「DIG SHIBUYA」1/12~14開催、回遊型NFTスタンプラリーや移動式参加型アートなど

テクノロジーとアートを掛け合わせた最新カルチャーを体験できる回遊型のイベント「DIG SHIBUYA(ディグシブヤ)」が、2024年1月12〜14日の3日間開催される。SHIBUYA CREATIVE TECH(SCT)実行委員会が主催、渋谷区が共催のイベントだ。

Web3メディアに携わってきた3人が来年のトレンド大予想!「EXODUS」公開収録 & Centrum 大忘年会 12/23 開催

「あたらしい経済」編集長の設楽悠介と、元コインテレグラフジャパン編集長で、現在 dYdX Foundation Japan Lead を務める大木悠氏の人気ポッドキャスト番組「EXODUS」。この番組の公開収録イベントが、 12/23(土)夜に渋谷  Centrum で開催される。

[締切間近] 熊本県主催「NFT×球磨焼酎」イベントがリアルとメタバース開催!リアル会場では試飲会も(12/13 18:30-)

熊本県のDX公募型実証事業の一つ「NFT・メタバースを活用した球磨焼酎のブランド力向上」の取組みの一環として、案内人が語る球磨焼酎の魅力紹介や、web3や地方創生の先駆者によるトークセッション、さらには様々な球磨焼酎の試飲もできるイベントが12月13日に開催される。熊本県主催で、イベント企画・運営をみずほ銀行が実施するイベントだ。