「Politech(政治×技術)」で日本の政治を変えることができるか、大学生スタートアップ「POTETO」と「PoliPoli」の挑戦

「Politech(ポリテック)」は政治と人々の距離を近づけられるか?

2019年は参議院選挙や地方統一選挙が行われ、まさに「選挙イヤー」である。

ところでみなさんは「Politech(ポリテック)」という言葉をご存知だろうか。「Politics(政治)」と「Technology(技術)」を掛け合わせた造語だ。

まだ日本では政治とテクノロジーは馴染みがないが、すでに米国ではGoogleやFacebookなどで政治広告が多く使われているほど、「Politech」が盛んである。

「Politech」とは、テクノロジーを活用して政治や政治家の魅力を国民へ訴求し、国民の政治参加を促す技術のことだ。そして広告にIT技術を利用することに加え、米国ではこの「Politech」領域で注目のサービスがいくつも誕生している。

例えばナップスターの産みの親でありFacebookの起業にも関わったショーン・パーカーが手がけている政治アプリ「BRIGADE」。

このアプリではユーザーが自らの位置情報を提供することで、候補者の政策などをアプリ内で議論することが可能になる。UXとUIが非常に優れていて、とても使いやすいサービスだ。

「BRIGADE」https://brigade.com/ より

さらに政治に特化したニュースメディア「ポリティコ(Politico)」。このメディアは米国内の政治に関する情報を取材し、テレビやインターネット、フリーペーパー、ラジオ、ポッドキャストなどの媒体を通じてコン​​テンツを配信している。同社は2018年に世界で1億1300万ドルの売上を達成した、非常に勢いのある「Politech」起業の一つである。

「POLOTICO」https://www.politico.com/ より

これらサービスに加え、米国では数多くの「Politech」領域のスタートアップが存在している。

そして日本にも「Politech」領域に果敢に挑戦する若者たちがいる。

政治家とまちづくりができるアプリ「PoliPoli」を手がける株式会社PoliPoliと、政治家のプローモーションビデオやWEB制作など政治家の情報発信を手がけるクリエイティブチーム株式会社POTETOだ。ともに大学生が起業した日本の「PoliTech」スタートアップだ。

本日(2月13日)両社の連携強化を発表(→プレスリリースはこちら)し話題の伊藤和真氏(PoliPoli代表)と古井康介氏(POTETO代表)のお二人に、彼らがなぜ「Politech」領域で勝負を挑むのか、その理由を聞いた。

特別インタビュー 伊藤和真氏(PoliPoli代表)×古井康介氏(POTETO代表)

写真 左から:伊藤和真氏(PoliPoli代表)、古井康介氏(POTETO代表)

日本の政治家に不足しているものは発信力

−「Politech」領域で仕事をしているお二人は、若い世代は選挙の際に何を判断基準にしていると感じていますか?

伊藤和真(以下 伊藤):正直に言って多くの若者はその政治家の細かい政策などよりも、その政治家がどんな人なのかという情報や、知名度などで判断しているんではないかと感じています。

だから政策よりもその政治家がどんな人なのかを理解できるための発信力の違いが、現在の若者の票の差を生み出しているののかもしれません。

そして圧倒的にそういった政治家のパーソナリティーがわかる情報が少ないですよね。だから僕は「Polipoli」を作りました。このアプリを通じて政治家にどんどんと参加してもらい、有権者がそれぞれの政治家の政策内容はもちろんのこと、そのパーソナリティーがもっと知れる場所にしていきたいのです。

古井康介(以下 古井):若者が政治家のどこを見ているのかについて考える際に、2つ面白い指標があリます。

一つ目の指標は「発信力を高める努力をしているか」です。

みなさん意外に思うかもしれませんが、多くの政治家がSNSでの情報発信を1つの目標にしていました。例えば総裁候補と目されていた、安倍晋三さん、石破茂さん、野田聖子さん、岸田文雄さんなどのInstagramをぜひみなさんも見て欲しいです。

僕たちは現在石破さんのInstagramの運営をお手伝いをしているのですが、非常に多くの政治家の方がネット上でも発信力をより高めることを考えていると感じています。石破さんもInstagramを始めた時はまずはフォロアーが6000人ぐらいの野田聖子さんに総裁選の期間までに追いつくぞと必死になっていました(笑)。

このような知名度のある政治家さんは、もしかしたらわざわざSNSでフォロアーを集めなくてもと思うかもしれません。でも彼らは自分に投票してくれるかもしれない有権者が存在するネット上のプラットフォームにおいても、発信力を高めることは怠っていないのです。

本来は発信力を高めることと政治家として評価されることに因果関係はないですが、しかし相関関係が生まれてくると考えています。

昔から選挙では個別訪問できる人が強いと言われていました。これからの時代はネットでもある意味戸別訪問のように、ちゃんと有権者と関係性を作って発信できる人が生き残るのではないかと思っていますし、そういった姿勢を若者はちゃんと見ていて、投票の指標にしているのではと感じています。

そしてもう一つ若者が政治家を見る時に指標にしているのは「ホームページなどで情報を整理できているか」というポイントです。

僕が都議選のお手伝いをしていた時に分かったのですが、有権者は投票する政治家についての情報収集をする際は、まず気になった政治家のホームページを見る、そしてそこに動画などがあればとりあえず再生してみる、というアクションを取る人が多かったです。

だからこそホームページがわかりやすいか、理解できたかというのも若者が投票者を決める指標の一つになっていると思います。

若い世代が政治や政治家の魅力をもっと理解するために、「PoliPoli」と「POTETO」は連携する

—お二人は政治家のどのようなところに魅力を感じていますか?

伊藤:僕はPoliPoliをやっていて、日々政治家と関わる機会が多いので、是非とも伝えたいことなのですが、政治家はめちゃくちゃ魅力的です。

政治家の人たちは移動時間はずっと勉強していますし、そして新しいサービスが出たら触り、流行りのものを政策に反映できないかを検討しています。ほとんどプライベートがないんじゃないかというぐらい働いています。

僕は一緒にお仕事をさせていただいて日本のために行動し続けている姿勢にすごく感動しました。そしてそんな忙しい中でも、若い僕らの話もしっかりと聞いてくれて、対応してくれるんです。

僕も政治の分野で起業する前は、正直政治家って何をしてるか分からなかったし、なんとなくスキャンダルとか汚職とかのイメージを持っていたのですが、それは大きな間違いでした。 イケてる政治家は本当に国のためを思って死ぬ気で働いています。

国の未来を考える政治家は頭も良くて素敵だなと感じる毎日です。

僕らが政治家の近く見ているその景色は、まだ多くの人に伝わっていないのではと思います。だからこそ「POTETO」のように政治家の魅力をしっかりと伝えるサービスはとても大事で、そして「PoliPoli」のように政治家のプラットフォームも絶対に必要だと確認しています。

今の政治家の人たちはとても過酷な環境で仕事をしているのに、彼らが政治家であることのインセンティブが正直少なすぎると感じています。お金もギリギリの状態で政策を考えて実行していますし、プライベートもほとんどなくて、すぐに誹謗中傷の的になる。本当に大変ですよね。僕は政治家の人たちと仕事をすることになって、このような状況を変えていきたいと思いました。

「政治家ってイケてるよね」と思ってもらえるように、もっと情報発信が必要だと感じています。だから今回「POTETO」との連携することにしたんです。

古井:「POTETO」が目指しているのは、まずは政治を分かりやすくすることなのですよ。伊藤君の言った政治家の凄さ、そして政治の便利さを多くの生活者の人たちに知って欲しいと思っています。

例えば「PoliPoli」がPlayStation4のようなプラットフォームだとしたら、僕ら「POTETO」はそのゲームソフトを作るゲームメーカーのイメージです。

ゲームがそうであるように、プラットフォームとソフトはどちらも大切です。どちらかが欠けても盛り上がらない。だからこそ「POTETO」は「PoliPoli」というプラットフォームがバズるための良質なソフトを作っていきたいです。

政治を使いこなす方がお得だということを伝えたい

—人々と政治の距離感を近づけて、どのような社会を作りたいですか?

古井:僕らが政治を分かりやすく伝えていき、政治に対するイメージが良くなる社会を作りたいと思っています。

僕がなぜ政治にこだわるかというと、実は自分が政治に助けられたからなんです。

リーマンショックの時に僕の親の会社の業績が傾いてお金がなくなり、僕も大学進学できないのではないかという状況になったのです。そんな時、政治が作った奨学金制度でなんとか大学に通うことができました。また当時私の弟も就学援助で僕は高校に通うことができたのです。

その時に実感したんです、政治は困った時に僕みたいな個人も助けてくれるんだと。

でも普通に生活していると政治が自分の助けになるなんて思いもしないですし、そういったいろいろな制度もあまり知られていないですよね。

もっと僕たち生活者は政治に関する情報を収集して、うまく使いこなせるようになった方がお得だと強く感じています。

—「PoliPoli」は当初トークンを発行する予定があったと思いますが、その状況はどうなっていますか?

伊藤:当初からアプリ内で独自トークンを発行してトークンエコノミーを形成し、より多くの方々が政治に参加できるインセンティブにしようと考えていました。もちろん今でも将来的にそのようにしようと考えています。

ただ今は規制などのルールがまだ定まっていないので、そのあたりが明確になるまではまずは今回の連携のように、どんどんとプラットフォームとしての「PoliPoli」を強化していくことに注力したいと思っています。

そして時期が来たらブロックチェーンを活用してよりそのプラットフォームをバージョンアップしていきたいと思っています。

(おわり)

インタビューイプロフィール

伊藤和真
株式会社PoliPoli代表取締役社長
1998年生まれの19歳。慶應大学在学中。F Ventures 東京でアソシエイトをつとめ、プログラミングコミュニティのGeekSalonの立ち上げを経て友人とともにPoliPoliを創業。iOSエンジニアでもあり、未経験者ながら独学でiPhone俳句アプリの「てふてふ」を制作。2018年夏に同アプリを毎日新聞社に事業売却。

古井康介
株式会社POTETO代表取締役社長
慶應義塾大学経済学部4年。2016年米大統領選の取材後、政治を若者にわかりやすく伝えるメディア「POTETO」を設立。2017年仏大統領選取材や、全国1万名の中高生への主権者教育、政治家の広告代理事業を通じ政治のイメージを変えるための活動に取り組む。日本国政府主催 国際女性会議2017ユーススピーカー/広報サポーター。

編集:竹田匡宏/写真:大塚真裕子

この記事の著者・インタビューイ

竹田匡宏

兵庫県西宮市出身、早稲田大学卒業。
幻冬舎で「あたらしい経済」の編集者・記者。
また個人活動としては「死ぬまで毎日ブログを書く」という約束をもとにブログ「たっけのメモ」を4年間運営。ラジオ番組「ミレニアル世代のアタマの中」のパーソナリティー。

兵庫県西宮市出身、早稲田大学卒業。
幻冬舎で「あたらしい経済」の編集者・記者。
また個人活動としては「死ぬまで毎日ブログを書く」という約束をもとにブログ「たっけのメモ」を4年間運営。ラジオ番組「ミレニアル世代のアタマの中」のパーソナリティー。

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