ビットコイン週で約10%上昇し堅調、ただファンディングレート上昇での急落リスクには注意(暗号資産 週間マーケットレポート 12/11号)

12/3~12/9週のサマリー

  • BTC引き続き堅調、ドル建て円建てともに年初来高値を更新
  • BlackRock・BitwiseがBitcoin 現物ETF申請資料の修正版を提出
  • 日銀の植田総裁の発言を受け、円が対ドルで一時141円台まで急騰

暗号資産市場概況

12/3~12/9週におけるBTC/JPYの週足終値は前週比+9.81%の6,378,500円、ETH/JPYの週足終値は同+7.28%の341,535円であった(※終値は12/9の当社現物EOD[12/10 6:59:59]レートMid値)。

週初の暗号資産市場は、前週の上昇基調を継続、CME先物市場オープンの時間帯にショートカバーを巻き込みながらビットコインは節目である40,000ドルを上抜けるスタートとなった。翌5日にはBlackRockとBitwiseがビットコイン現物ETFの申請資料の修正版を提出したことが明らかに。さらにはロイター社による「ビットコイン現物ETFの上場を目指す資産運用会社と米SECの協議は重要な技術的項目まで進んでいるため、米SECがまもなく承認する可能性がある」との楽観報道も後押しとなり、42,000ドル台半ばまで値を伸ばした。同日の米国時間にはJOLTs求人件数が予想を大きく下振れたことから米国債利回りが低下、さらに44,000ドル台まで進捗した。その後は取引材料に乏しい中、アルトコインの循環物色が確認されたものの、ビットコインはドル建て、円建てともに年初来高値を更新。44,000ドルを挟んだ水準で週末を迎えた。

1週間で約10%の上昇を見せたビットコインの強い動きの背景には、年明けに期限を迎えるビットコイン現物ETFの承認期待、米国利上げサイクルの終了、2024年4月頃に予想されるビットコインの半減期の到来といった短期・長期のシナリオがそろっていることがあげられる。しかし直近のビットコインのファンディングレート(ポジションの管理手数料に当たる資金調達率)は、取引所平均で前週末の0.008%から0.016%と上昇していることから、溜まったデリバティブのロングポジション解消による急落リスクには留意する必要があろう。

また為替市場では7日国会答弁において、日銀の植田総裁の発言がYCC(イールド・カーブ・コントロール)修正の示唆と捉えられ円が対ドルで147円近辺の水準から141円台まで急騰するといった動きが見られ、為替の影響により円建てビットコインの価格も大きく下振れる事象が確認された。また週末には日本の現内閣への政治資金に関するネガティブなニュースもあり、海外投資家は日本の政治関連のトピックに敏感に反応するケースもあることから、週明けの為替・株式マーケットには十分注意されたい。

今週は米国の各インフレ指標もさることながら、中銀ウィーク(FRB、ECB、英中銀、スイス中銀、中国人民銀)といえよう。FRBやECBは来年の利下げ観測が高まる中、パウエルFRB議長、ラガルドECB総裁の会見に注目が集まる。特にFRBは3会合連続で政策金利を据え置くことがほぼ確実視されていることから、市場ではドットチャート(政策金利見通し)が注目だ。また海外では年末休暇に入る時期でもあり、市場の取引量が少ない中でのボラティリティが高まるリスクにも留意が必要だ。

BTC/USD週間チャート(30分足)

TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成

BTC/JPY週間チャート(30分足)

TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成

ビットコイン ファンディングレート推移

Glassnode 提供のチャートにて SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成

12/3~12/9週の主な予定

12/10~12/16週の主な出来事

今週のひとこと「年末年始の運用戦略について考えてみる」

今年も早いもので残り3週間となりましたが、直近の暗号資産マーケットは、まさしく年末アノマリーとしてしられる「掉尾(とうび)の一振」通りの動きとなっています。そこで、今回は年末年始の運用戦略について一緒に考えてみたいと思います。

まずは運用資産の棚卸です。現状認識と言い換えてもいいかもしれません。全ての運用資産を洗い出し、リストアップしてみましょう。2番目に今年1年間の投資成績の分析です。今年1年間の投資について思いを馳せながら振り返ってみることが大切です。最後に、来年の目標設定をしてみましょう。重要なのは目標と現状認識が一致していることが重要です。あまりにかけ離れた目標設定をしてしまうと道半ばで挫折することになります。

これらのことを振り返ってみることで、来年の明るい資産運用に向けてスタートダッシュで臨むことができます。年末は1年を振り返り、来たる2024年の目標設定をするのに最適な時期です。区切りのいいタイミングでもあります。ぜひこの機会に今年1年間の振り返りとともに、ご自身の運用戦略についてじっくり考えてみるのはいかがでしょうか。

このレポートについて

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この記事の著者・インタビューイ

SBI VCトレード

SBIグループの暗号資産取引所「SBI VCトレード」。SBIグループの掲げる顧客中心主義の理念のもと、お客様の満足度向上に資する暗号資産取引に係るサービスをフルラインナップでご提供してまいります。

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