ビットコインなど軒並み下落基調、アップグレード後イーサのステーキング量は順調に増加(暗号資産 週間マーケットレポート 4/24号)

4/16~4/22週のサマリー

  • 米国証券取引委員会(SEC)が米国の暗号資産取引所Bittrexを未登録の証券取引所として起訴
  • 米大手暗号資産取引所コインベース社CEOが、規制環境が明確にならなければ米国から撤退を示唆
  • 米下院議員、ゲンスラーSEC委員長の解任を求める法案を提出。投資家保護の失敗や職権濫用が理由
  • 香港の裁判所は暗号資産を株式などと同じ「資産」であると認定
  • 欧州の暗号資産包括的規制法案MiCAが欧州議会の賛成多数で採決
  • コインベースはバミューダ通貨庁からライセンスを取得

暗号資産市場概況

4/16~ 4/22週におけるBTC/JPYの週足終値は前週比▲8.44%3,714,300円、ETH/JPYの週足終値は同▲10.24%251,245円となった(※終値は4/22の当社現物EOD[4/23 6:59:59]レートMid値)。

今週の暗号資産市場は先週に年初来高値を記録し、その後高値圏でもみ合ったビットコインをはじめとする各銘柄は軒並み下落基調に転じ、ビットコインの最大下落幅は$3,000を記録。19日には今年最大規模のロング精算も確認。シャペラアップグレード後に価格を上昇させ、昨年5月以来の高値を記録したイーサリアムも同様に下落基調であった。

さて、シャペラアップグレードから1週間が経過したことからイーサリアムのステーキング状況を確認したい。アップグレード後の動きはステーキング流入量が出金量を上回る展開となった。19日に大きな出金があったものの、以後は順調にデポジットが増加している。執筆時点(4/24)におけるステーキング流入量については約266万ETH、出金総量は約135万ETHを確認。同時点の出金待ちはトータルロック量の約5%である約90万ETHとなっており、SECからステーキングに関する規制を受けた米暗号資産取引所Krakenがその内の20%を占めている。Krakenによるイーサリアムの出金は、既に出金されたイーサリアムのうち約30%を占めている。アップグレード後もイーサリアムのステーキング量は順調に増加しており、初期の出金を順調に消化した後は価格の面でポジティブな材料の一つになるかもしれない。

今週以降は相場格言「セルインメイ(5月売り)」でいうところの5月が近づく中で、SECと暗号資産業者との問題が継続して発生していることに改めて注目したい。特に米大手暗号資産取引所のコインベースは、規制環境が明確にならなければ米国からの撤退を示唆した後に、バミューダ通貨庁からライセンスを取得したと発表。さらにはUAEでもライセンス取得に向けて当局と協議をしているとの発表もあり、コインベースの米国からの退避、世界展開に向けた注力度合いをうかがい知ることができるだろう。こうしたことからコインベースだけにとどまらず、SECをはじめとする規制当局と暗号資産業者とからはマーケットにインパクトのある発表がいつあってもおかしくない状況といえるだろう。経済指標の面では、米大手企業の決算発表やFRBがインフレ指標として注目しているPCEコアデフレーターの発表が28日にあるため、来週のFOMCにつながる展開として注意したい。

1:BTC/USD週間チャート(30分足)

2:BTC/JPY週間チャート(30分足)

4/16~4/22週の主な出来事

4/23~4/29週の主な予定

今週のひとこと「米国証券取引委員会(SEC)」

暗号資産市場のニュースや値動きを追っていると、「SECが○○社を提訴」といった報道や、それに伴う暗号資産価格の急落を目にすることがあります。そもそもSECとはどのような組織なのでしょうか。

SECSecurities and Exchange Commission/米国証券取引委員会)は、投資家保護と公正な証券取引を目的として1934年に設立された米国の市場監視機関です。企業の不正会計やインサイダー取引、相場操縦などを防止するための処分権限を持っており、これらを監視・摘発しています。

 暗号資産市場において、SECは証券法や証券取引法・投資顧問法に基づき、本来はSECへの登録が必要であるのに登録を行っていない業者(未登録業者)や、証券としての規制が適用されるべきであるのに、それに準じていない銘柄(未登録証券)に対し、提訴を行っています。

 SECから提訴を受けた取引所や発行者の対応は、米国での営業停止、対象となる銘柄の上場廃止、SECと係争(主に証券に該当するか否かを争うことが多い)など多岐にわたり、まだまだ明確な規制が敷かれているとはいえないのが現状です。

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この記事の著者・インタビューイ

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