【独占取材】ジャック・ドーシーのツイートNFTはモナリザ、NFTマーケットプレイス(Valuables創業者Andrew CM)

竹田匡宏

ジャック・ドーシーが2006年3月21日の最初のツイートをNFTに

ツイッター(Twitter)と決済サービスのスクエア(Square)の創業者でCEOのジャック・ドーシー(Jack Doresy)が、NFTマーケットプレイス「Valuables by Cent」で自身の2006年3月21日の最初のツイートを元にNFT(ノンファンジブルトークン/代替不可能トークン)を作成し、オークション販売を開始したことが3月8日に明らかになった。それは大きな話題を呼び、暗号資産ブロックチェーン業界外のメディアでも多数報じられた。

そして3月21日にオークションは終了し、最終売却額は約1,630ETH(約3億2,000万円)となった。

ジャックがツイートをNFTにした「Valuables」とは?

「Valuables」はCentという企業が運営しているツイートNFTマーケットプレイスだ。現在Centはソーシャルメディアによるアテンションエコノミーの課題を解決すべく、いくつかのサービスを開発を行っているスタートアップだ。

Centはアテンションエコノミーの課題の1つとして、ソーシャルメディアなどのプラットフォームがユーザーの利益よりも広告主の利益を優先することを挙げている。

そんなCentの「Valuables」が、現在のNFTの盛り上がりと、ジャック・ドーシーが自身のツイートを販売したことから、大きく注目を集めるようになった。

「Valuables」は暗号資産ウォレットがあれば利用でき、Twitterアカウントを紐づけることで、誰でも手軽にツイートを元にしたNFTがミント(製作)、販売できるプラットフォームだ。

Valuables by Cent

利用条件としては、NFTの販売価格の95%がオリジナルのツイート作成者に支払われる。残り5%はプラットフォームであるCentに入り、「Valuables」の運営に利用されるとのこと。またNFTの二次販売の場合は、87.5%が販売者に、10%がクリエイターに、2.5%がCentに配分される仕組みだ。

そんな注目の「Valuables」を運営している、Cent創業者のAndrew CM氏へ「あたらしい経済」は独占取材を敢行。ジャック・ドーシーのツイート販売についてや、AndrewのNFT市場への考察などを取材した。

Centの創業者Andrew CMインタビュー

Cent創業者AndrewCMから「あたらしい経済」に届いた自身の似顔絵

-なぜ「Valuables」を開発したのでしょうか。

「Valuables」を作ったのは、NFT化されたツイートの購入者にネットワークと場所を提供し、購入者とNFT発行者の繋がりを生み出したかったからです。

つまり多くの人が、歴史上のある瞬間やクリエイティブなIPを購入したいと考えている人たちから、直接お金を得られるような環境を作りたかったのです。

「Valuables」は、私たちの最初のプロジェクトであり、人々が自分のツイートから価値を獲得する機会を提供するプロジェクトです。

 – なぜCentを起業したのでしょうか?

ソーシャルメディアやデジタルの世界に変化が起きているからです。人々はお互いにもっと繋がることに興味を持ち始めていますが、現在人気のあるプラットフォームにはいろいろな制限があって、うまく繋がることができません。

それぞれのプラットフォームに利用規約やデータ制限があり、自らが作成した情報や投稿したコンテンツが全て自分のものではない状態なのです。

だからそこにブロックチェーンをベースにしたネットワークを構築し、自分のコンテンツやデータをすべて所有し、それを収益化する仕組みを作りたいと考えました。

そしてソーシャルメディア・プラットフォームを通したバーチャルの繋がりだけでなく、より人間的かつ有機的な方法で人間関係を構築できるようにしたいと思ってます。そういった想いでCentを起業しました。

ジャック・ドーシー最初のツイートは「モナリザ」

-なぜジャック・ドーシーが「Valuables」を利用して、ツイートを販売したと考えますか?

ジャック・ドーシーが「Valuables」を使ってツイートを販売したことをツイートした時、私たちも皆さんと同じようにとても驚きました。

私たちはまだジャック・ドーシーと直接、話してはいません。でもなぜジャック・ドーシーが「Valuables」を使ったかを分析すると、おそらくソーシャルメディアが果たす役割の変化に触れてみたかったからではないかと思ってます。

そしてジャック・ドーシーのツイッターでの最初のツイートは、言うなれば「モナリザ」だと私は思っています。ツイッターを作ったジャック・ドーシーの最初のツイートは、間違いなく歴史的背景のある芸術品です。

全米でもNFTブーム

-現在のNFTブームをどのように捉えていますか?

NFTは確実にブームで、アメリカのあらゆる場所でもNFTという言葉を耳にします。NFTは私たち全員が一緒に考えなければならない技術なので、この状況はとても良いことだと思います。

しかし、NFTとは何なのか、どうやってNFTを使えば継続的に人々に利益をもたらすことができるのか、という点については少し不明瞭になっているのも事実です。

私たちは、価値を生み出している人たちがNFTを活用して利益が得られるような手助けをしていきたい。「Valuables」を含めたCentの事業が、もっと人々の役に立つようにしていきたいと思っています。

NFTが価値を生み出す人々にパワーと利益を

-どのようにNFTは社会を変えていくでしょうか?

私の希望としては、価値を生み出す人々に、パワーと利益が行き渡るような社会を戻してくれる、それがNFTだと思っています。そして今まで価値を生み出す人を食い物にしてきた人々には、パワーや利益が与えられないようにしたい。

現在の悪い社会構造を生み出したのは、誰のせいでもなく、ビジネスのやり方だったのです。

しかし私たちは、価値の生成を民主化するための新しい技術をようやく見つけることができました。NFTは本当にすごいことだと考えています。

NFTが金融業界へ与える影響

-金融業界はどのようにNFTを扱うべきでしょうか?

私の専門領域ではないですが、NFTは取引や財産の確認を自動化し、検証するために役立ちます。信用という概念がありますが、信用は、信用スコアなどを管理する企業が個人の経済的な行動履歴に基づいて評価し、運用されています。

私は個人がその信用を管理すべきで、第三者の都合のままに評価されて運用されるべきではないと考えています。

NFTによって、個人は自ら信用を管理できるようになり、個人財産も管理できるようになるのではないでしょうか。これもまた金融面におけるNFTの1つの応用例に過ぎないと思いますが。

取材/編集:竹田匡宏・設楽悠介

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竹田匡宏

兵庫県西宮市出身、早稲田大学人間科学部卒業。
「あたらしい経済」の編集者・記者。

兵庫県西宮市出身、早稲田大学人間科学部卒業。
「あたらしい経済」の編集者・記者。

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