バイナンス、15ネットワークで出金サービスを再開
暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンス(Binance)が、ハッキングによる約63億ドル(約9,946億円)の資産不正流出事件を受けて停止していた出金サービスを11月1日に段階的に再開し、同日中に第1段階の対象となる15ネットワークで出金が可能になったと11月2日に発表した。再開後の約9時間半では、利用者による出金額が入金額を約36億4,000万ドル(約5,747億円)上回る純流出となった。また、同取引所は11月1日の発表で、不正流出した資産の補填率が約95%に達したことも明らかにしている。
第1段階では、ビットコイン(Bitcoin)、イーサリアム(Ethereum)、BNBスマートチェーン(BNB Smart Chain)、ソラナ(Solana)、アービトラム(Arbitrum)などのネットワークが対象となった。バイナンスは11月1日6:00(UTC、日本時間15:00)から出金サービスを順次再開し、同日12:36(UTC、日本時間21:36)までに対象ネットワークと暗号資産の出金を再開した。ただし、ネットワークごとに出金可能な暗号資産は異なる。残るネットワークや暗号資産については、安全性やシステムの安定性を確認したうえで順次再開する方針だ。なお、入金サービスは今回の事件による影響を受けず、継続して提供されていた。
バイナンスによると、11月1日6:00〜15:30(UTC)の出金額は46億4,900万ドル(約7,339億円)、入金額は10億1,000万ドル(約1,595億円)だった。この結果、利用者の出金超過による約36億4,000万ドル(約5,747億円)の純流出となった。この純流出額は、バイナンスが10月28日時点の準備金証明(PoR)データに基づいて示した、利用者からの預かり資産などを含む管理資産総額1,710億ドル(約27兆円)の約2.1%に相当する。なお、今回の純流出は出金サービス再開後の利用者などによる出入金の差額であり、ハッキングによる不正流出とは異なる。
出金額はサービス再開直後に急増したものの、その後は減少した。バイナンスは、出金量が安定化に向かっているとの見方を示している。
事件の封じ込めについては、バイナンスが10月30日、出金サービスの停止後にハッキングによる資産の不正流出が止まったと発表している。また、法執行機関やトークン発行体などとの協力により、同日時点で不正流出した資産のうち約30億ドル(約4,736億円)相当がブロックチェーン上で凍結されたとのことだ。ただし、凍結は資産の移転を制限する措置であり、回収が完了したことを意味しない。
一方、事件の原因は引き続き調査中だ。バイナンスは当初、ノートPCの侵害が関係した可能性を指摘していたが、その後の調査で追加の侵害箇所も確認した。ただし、同社は具体的な侵入経路を明らかにしておらず、暗号資産の移転を承認するための秘密鍵が漏洩した証拠も確認していない。調査完了後には、事件の詳細をまとめた報告書を公開する予定だ。
不正流出した資産の補填率は約95%に
バイナンスは11月1日、不正流出した資産の補填率が10月30日時点の約80%、10月31日時点の約90%から約95%に上昇したと発表した。ここでいう補填とは、不正流出した資産と同種の暗号資産を新たに調達し、利用者残高を裏付ける資産の不足分を補うことを指す。つまり、盗まれた資産の95%を攻撃者から回収したという意味ではない。
具体的には、バイナンスはBTC、ETH、USDT、BNB、SOL、USDC、XRP、USD1、RLUSD、ZECの主要10資産について、利用者残高を100%裏付ける資産を確保したと説明している。一方、未補填の約5%は主要10資産以外のトークンが占める。これらのトークンは市場での流動性が低く、必要な数量の調達に時間を要しているとのことだ。そのため、同社は市場取引や店頭取引(OTC)を通じて購入を続けている。
補填には、緊急時の利用者保護を目的とする基金「SAFU(Secure Asset Fund for Users)」や、先物取引の清算リスクなどに備える保険基金の余剰資金、企業の自己資金を活用する。バイナンスは、不正流出に伴う損失を利用者に負担させない方針だ。
また、同社は利用者資産の裏付け状況を検証できるよう、10月31日0:00(UTC)時点の準備金証明(PoR)のスナップショットを取得した。PoRは、取引所が利用者の預かり資産を裏付ける暗号資産を保有しているか確認するための仕組みだ。また、バイナンスは、個々の利用者残高を公開せずに裏付け状況を検証できるゼロ知識証明を含む更新版レポートを、11月2日(UTC)に公開する見込みだと説明した。
Binance began restoring withdrawals in phases at 06:00 UTC on November 1, 2026. By 12:36 UTC, withdrawals had resumed for all 15 networks and assets in the initial phase. After an initial spike, withdrawal volumes have declined and are stabilising as expected, while deposit volumes have remained substantial. Between 06:00 and 15:30 UTC on November 1, we processed $4.649 billion in withdrawals and $1.01 billion in deposits, resulting in a net outflow of approximately $3.64 billion. This represents 2.1% of our $171 billion in total assets under management (AUM), based on the latest available Proof of Reserves (PoR) data as of October 28, 2026. A new PoR snapshot was taken at 00:00 UTC on October 31, and zero-knowledge proof (ZKP) computation began. The updated report is expected to be available on our PoR website tomorrow. Our team continues testing rigorously the remaining networks and assets. We know how important safe and reliable access to your funds is and will share details of the next phase as soon as we can. Rest assured that market conditions are stable. Thank you for your patience and continued support.
— Binance (@binance) November 1, 2026
Latest Withdrawal Update Withdrawals have now been re-enabled for the following networks and assets: New: ✅ ZEC: ZEC ✅ TON: USDT, GRAM ✅ SUI: SUI Already Enabled: ✅ BTC: BTC ✅ ETH: ETH, USDT, USDC ✅ BSC: BNB, USDT, USDC ✅ XRP: XRP ✅ Base: ETH, USDC ✅ DOGE: DOGE ✅ OP (Optimism): ETH, USDT, USDC ✅ ARBITRUM: ARB, ETH, USDT, USDC ✅ TRX: TRX, USDT ✅ SOL: SOL, USDT, USDC ✅ MATIC (Polygon): POL, USDT, USDC ✅ AVAXC: AVAX, USDT, USDC We will continue to restore additional assets and networks in phases as security checks are completed. Further updates will be shared through official Binance channels.
— Binance (@binance) November 1, 2026
参考:バイナンス1・バイナンス2・バイナンス3・バイナンス4
画像:PIXTA