米国防総省、アンソロピック製AIの利用終了。Claudeの安全対策めぐる対立経て=報道

米国内の大規模監視と完全自律型兵器への利用制限で対立

米国防総省が、米AI企業アンソロピック(Anthropic)のAI製品の利用を終了したと、英「BBC」が10月5日に報じた。同省担当者が同メディアに明らかにしたという。

具体的な利用終了日は明らかにされていない。アンソロピックの広報担当者は、BBCの取材に対してコメントを控えた。

BBCによると、アンソロピックの生成AI「クロード(Claude)」は、米パランティア(Palantir)が提供する国防総省向けのデータ基盤「メイブン・スマート・システム(Maven Smart System)」に組み込まれていた。クロードは情報分析などに利用されていたという。

また、BBCは複数の関係者の話として、報道直前の週までクロードが国防総省の調査や情報分析、イランに対する軍事作戦などで利用されていたと報じている。

アンソロピックは2025年7月14日、国防総省から期間2年のAI試作開発契約を獲得したと発表していた。契約上限は2億ドル(約317億円)とされていた。

その後、両者はクロードの軍事利用に関する制限をめぐって対立した。アンソロピックの2月26日付の公式声明によると、国防総省はクロードを「あらゆる合法的な目的」で利用できるよう求めていたという。

これに対し同社は、米国民を対象とする大規模な国内監視と、完全自律型兵器への利用を認めない方針を維持した。完全自律型兵器は、人間が介在せずに標的の選定や攻撃を行う兵器を指す。同社は、現在の最先端AIには同用途に必要な信頼性が備わっておらず、軍人や民間人を危険にさらすおそれがあると説明していた。

ピート・ヘグセス(Pete Hegseth)国防長官は2月27日、アンソロピックを「国家安全保障上のサプライチェーンリスク」に指定するよう国防総省に指示したと公式Xで発表した。別のサービスへの移行に向け、同社によるサービス提供は最大6カ月間継続するとしていた。

アンソロピックは3月5日、同指定を通知する書簡を前日に受け取ったと公式声明で明らかにした。同社は、他社サービスへの移行に必要な期間、許可される限りAIモデルの提供と技術支援を継続するとしていた。BBCは、移行が当初の期限より遅れた理由は明らかになっていないとしている。

アンソロピックは、国防総省による「サプライチェーンリスク」指定や、同省の調達網からの排除措置を争って訴訟を起こしていた。カリフォルニア北部地区連邦地裁は8月27日、同社への指定を違法と判断した。

一方、米DC巡回区連邦控訴裁判所は9月25日、別の法律に基づく国防総省の調達網からの排除措置を支持し、アンソロピックの申し立てを2対1で退けた。対象となったのは、国防総省のシステムからクロードを排除し、同省の契約業務を担う請負業者にも、その業務でのクロード利用を禁じる措置だ。

9月の判決は、クロードに組み込まれた制限によって政府の求めた業務を拒否した事例や、海外軍事作戦で利用できるかをめぐる不確実性を指摘した。これらを踏まえ、国防総省の安全保障上のリスク判断には十分な根拠があるとした。

8月と9月の判決は、根拠法の異なる措置を扱ったものだ。各法律が定めるリスクの範囲も異なるため、9月の判決は8月の地裁判断を覆すものではない。

なお、国防総省はグーグル(Google)、エックスエーアイ(xAI)、オープンAI(OpenAI)などと契約を締結しているとも、BBCは報じている。

オープンAIは2月28日、国防総省の機密情報を扱う環境にAIを導入することで合意したと発表した。同社は、大規模な国内監視や自律型兵器の指揮を認めない原則を掲げ、契約条項や技術的な安全対策で保護すると説明している。

参考:BBC
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

大津賀新也

「あたらしい経済」編集部
副編集長
ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

「あたらしい経済」編集部
副編集長
ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

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