米CFTC、暗号資産取引所向け「CTX」・「CAM」構想を提示。連邦規制の選択肢整備へ

クラリティ法停滞受け、連邦登録ルートを検討

米商品先物取引委員会(CFTC)が、暗号資産(仮想通貨)取引所を対象とした新たな規制枠組みの検討を進めている。

CFTCのマイケル・セリグ(Michael Selig)委員長は10月5日、ニューヨークで開催されたフォーダム大学ロースクールの「Blockchain Regulatory Symposium」で講演し、「Regulation Crypto Asset Transactions(Regulation CTX)」および「Regulation Crypto Asset Markets(Regulation CAM)」に関する規則制定事前通知(ANPRM)について説明した。

同構想は、暗号資産事業者がCFTCの監督下で事業を行うための連邦レベルの登録ルートを整備するものだ。

背景には、暗号資産市場構造法案「クラリティ法(CLARITY Act)」の審議停滞がある。同同法案は、9月15日に上院で行われた審議入りに向けた討論終結動議の採決で、賛成49票、反対50票となり、審議を前進させられなかった。

セリグ委員長は、議会が同法案を大統領のもとに届けられなかったことに失望を示したうえで、CFTCは既存の法的権限を活用して規制枠組みの整備を進める考えを示した。

今回の構想では、暗号資産事業者に一律で連邦登録を義務付けるのではなく、提供する商品・サービスに応じた連邦規制の選択肢を整備する。ただし、個人顧客向けに証拠金・レバレッジ・ファイナンス付き取引を提供する取引所には、現行法でも原則としてCFTCへの登録が求められる。

セリグ委員長は暗号資産取引所を「3段のはしご」に例えて説明。通常の現物取引所を第1段、個人顧客に証拠金・レバレッジ・ファイナンス付き取引を提供する取引所を第2段、無期限先物(パーペチュアル)などのデリバティブを扱う取引所を第3段と位置付けた。

今回の「Regulation CTX」では、第2段に該当する取引を「Crypto Asset Transactions(CTX)」として整理することが検討されている。

すでに指定契約市場(DCM)として登録する事業者は専用ルールのもとでCTXを取り扱えるほか、CTXのみを扱いたい未登録事業者については、新たなDCMのサブカテゴリー「Crypto Asset Market(CAM)」として登録する選択肢も検討されている。

またセリグ委員長は、CFTCとSECが3月に示した暗号資産の共同分類にも言及。同分類では、デジタル・コモディティの例としてビットコイン(BTC)、イーサ(ETH)、ソラナ(SOL)、ステラ(XLM)、テゾス(XTZ)、XRPが挙げられている。

準備金証明やセルフカストディのルール明確化も

CAMにはDCMの法定コア原則への準拠を求めつつ、CTXの特性に合わせた専用の規則を設ける構想だ。

暗号資産の上場審査では、トークンの配布方法や保有集中度、ロックアップ期間、ベスティングスケジュール、トークン発行や買い戻しの仕組みなどを、相場操縦リスクの判断要素として考慮する案が示されている。

また顧客資産をオムニバス口座で管理する取引所に対し、プルーフ・オブ・リザーブ(準備金証明)を求めることも検討されている。

さらにCTX取引について、先物取次業者(FCM)による仲介を義務付ける案も検討中だ。FCMには情報開示や自己資本規制、顧客資産の分別管理、マネーロンダリング対策などの要件が課される。

CFTCは、セルフカストディ型ウォレットへの暗号資産の引き出しについてもルールの明確化を検討している。

商品取引所法では、28日以内に「actual delivery(現実の引渡し)」が行われた場合、CFTC登録取引所での取引義務の例外となる規定がある。

CFTCは、ユーザー自身が管理する外部のノンカストディアルウォレットに28日以内に暗号資産を移転した場合、原則としてこの「actual delivery」に該当するとの解釈を明文化する方針だ。

またセリグ委員長は、今回のCTX・CAMに関する検討とは別に、注文の勧誘や受託、取引執行の管理、顧客資産の保有を行わないソフトウェア開発者について、単にコードを公開したことを理由に仲介業者(IB)としての登録を求めるべきではないとの考えも示した。

なお、今回公表されたCTXおよびCAMに関する文書は正式な規則案ではなく、規則制定事前通知(ANPRM)となる。

CFTCは連邦官報への掲載後60日間コメントを募集し、その後、寄せられた意見を踏まえて正式な規則案(NPRM)を公表するか判断する。

参考:セリグ委員長講演
画像:Reuters

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

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