SBFが大統領に恩赦申請
FTX創業者のサム・バンクマン=フリード(Sam Bankman-Fried:SBF)氏が、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領への大統領恩赦を正式に申請した。米司法省(DOJ)の公式データベースから確認できる。
米司法省(DOJ)の恩赦ケース状況検索ポータルでケース番号「P338490」を検索すると、申請者名はBANKMAN-FRIED, SAMUEL BENJAMINで、申請種別は「刑期完了後の恩赦(Pardon after Completion of Sentence)」、状態は「審査中(Pending)」、申請年は2026年と表示される。
この申請種別「刑期完了後の恩赦」は早期釈放を求めるものではなく、刑期終了後の市民権回復や職業上の規制解除などを目的とするものだ。つまり、仮にトランプ大統領が恩赦を認めたとしても、SBFは2044年6月17日に予定される刑期満了まで服役を続けることになる。なお、SBFは恩赦申請と並行して、有罪判決と量刑に対する控訴も同時に進めている。
SBF本人はFOXビジネスの記者スーザン・リー(Susan Li)氏との電話インタビューでトランプ大統領の介入を求める意向を明確にした。なおこのインタビューは、服役中初の公式メディア出演となった。「ホワイトハウスからの恩赦を望んでいますか?」という質問に対しSBFは、「もちろんです。最終的には大統領の判断次第ですが」と述べた。一方、トランプ大統領はすでに恩赦しない意向を公言している状況だ。
SBFは2023年11月、電信詐欺2件と共謀罪5件を含む7つの罪状すべてで有罪評決を受け、2024年3月28日に25年の連邦禁固刑を宣告された。検察は、顧客の預託金数十億ドルを系列ヘッジファンド「アラメダ・リサーチ(Alameda Research)」のリスクの高い投資に流用し、政治献金や不動産購入にも充てていたことを立証した。裁判所はFTXの顧客が80億ドル、FTXへの株式投資家が17億ドル、アラメダへの融資者が13億ドルの損失を被ったと認定し、ルイス・カプラン(Lewis Kaplan)判事は110億ドルの没収を命じた。
しかしSBF本人は自身の行為を「窃盗」と認めることを拒んでいる。「顧客資金は盗んでいない。顧客にはすでに預入額の約170%が返済されており、プラットフォームが過剰担保状態にあって顧客が十分以上に補償された非常に稀なケースだ」と主張した。FTXの崩壊は2022年11月、米コインデスク(CoinDesk)がFTXとアラメダを結びつけるバランスシートの懸念を報道したことで始まり、顧客の大量引き出しが発生して取引所口座の80億ドルの資金不足が露呈した。元アラメダCEOのキャロライン・エリソン(Caroline Ellison)氏やFTX共同創設者のゲイリー・ワン(Gary Wang)氏らは有罪答弁を行い、検察に協力してSBFに不利な証言をした。
恩赦申請に至るまでの数ヶ月、SBFはトランプ大統領の立場に沿った発言を繰り返してきた。刑務所から許可された通信手段を通じて、トランプ大統領のイラン攻撃決定を称賛し、ゲーリー・ゲンスラー(Gary Gensler)元SEC委員長の後任としてポール・アトキンズ(Paul Atkins)をSEC長官に任命したことを評価し、現政権下でのガソリン価格下落を評価した。2020年に民主党への多額の政治献金者として知られたSBFが、2025年には保守系メディアパーソナリティであるタッカー・カールソン(Tucker Carlson)氏の番組に出演して保守層へのすり寄りを見せていた。
今回の申請は、トランプ政権復帰後に恩赦を受けた著名な被告人たちの流れに乗るものでもある。トランプ大統領はすでにシルクロード創設者ロス・ウルブリヒト(Ross Ulbricht)氏、元バイナンスCEOのチャンポン・ジャオ(Changpeng Zhao:CZ)氏、BitMEXの共同創設者らを恩赦しており、暗号資産業界関係者への恩赦が相次いでいる。申請の詳細な審査状況についてDOJは「進行中のケースの詳細は公開しない」としており、今後の動向はトランプ大統領の判断次第となる。