SECアトキンス委員長、SECとCFTCの規制強調を推進へ。新MOU検討も

重複執行の時代は終焉と強調

米証券取引委員会(SEC)のポール・アトキンス(Paul S. Atkins)委員長は3月10日、米フロリダ州ボカラトンで開催された「FIA Global Cleared Markets Conference」で講演し、SECと米商品先物取引委員会(CFTC)との規制協調を強化する方針を示した。

アトキンス委員長は講演の中で、両規制当局による重複した執行措置について「同一行為に対する重複した執行や矛盾する是正義務の時代は終わった」と述べ、今後はより緊密な協力体制のもとで監督や執行を行う考えを示した。

アトキンス委員長によると、SECとCFTCは現在、両当局の協調を強化するための覚書(MOU)の更新を検討しているという。この枠組みは、イノベーションの促進や市場の健全性の維持、投資家および消費者保護を目的としたものとなる見込みだ。

また同氏は、両当局の規制対象となる企業に対して重複した検査が実施されている現状にも言及。両規制体制の下で活動する企業については、共同の検査計画や監督情報の共有を進める必要があると指摘した。

SECとCFTCは長年にわたり、証券市場と商品デリバティブ市場をそれぞれ別の法制度のもとで監督してきた。しかし近年は金融イノベーションの進展により、両市場の境界が徐々に曖昧になっている。

アトキンス委員長は、こうした状況の中で規制制度が分断されたままであることは市場参加者に余計なコストを生むと指摘。「規制の摩擦は効率的なリスク配分に対する『税』のようなものだ」と述べた。

そのうえで、両規制当局が互いの規制枠組みの同等性を認めることで、企業が二重の規制対応を求められる状況を改善できるとの考えを同委員長は示した。

講演では、SECとCFTCのスタッフによる共同会議を開始したことや、市場参加者が両当局と同時に協議できる専用ページを開設したことにも触れられた。

さらにSECは、証券系スワップ取引データの報告制度(SBSR)の見直しも検討しているという。アトキンス委員長は、CFTCの制度と整合する形での報告制度を制度化する可能性にも言及した。

同氏は最後に、規制の整合性を高めることが米国市場の競争力強化につながると強調し、市場が統合的に機能する中で、規制の整合性も重要だと強調した。

米国では、暗号資産規制の整理に向けた動きが進んでいる。SECは今年3月3日、暗号資産に連邦証券法をどのように適用するかについての委員会レベルの解釈ガイダンスを、ホワイトハウスの情報・規制問題局(OIRA)へ提出した。

このガイダンスでは、暗号資産を種類ごとに分類する「トークンタクソノミー(token taxonomy)」の検討が焦点になる可能性があると報じられた。これは、どの暗号資産がSECの監督下にある証券として扱われるのか、あるいはCFTCの管轄となるのかを整理する枠組みだ。

アトキンス委員長は就任以降、デジタル資産規制を優先課題の一つに掲げている。またドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領の就任後、SECとCFTCは暗号資産規制を巡り協調姿勢を強めており、CFTCも予測市場に関する規則策定の検討を進めている。

参考:SEC
画像:Reuters

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

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