ヴィタリック、イーサリアムの多次元ガス導入とZKEVM拡大計画を説明

短期はグラムステルダム、長期はZK-EVMとブロブ

イーサリアム(Ethereum)の共同創設者ヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏が、イーサリアムのスケーリング計画について2月28日に自身のXアカウントにて考えを示した。

同氏は、過去のブログにてイーサリアムの拡張にあたり主に「実行」、「データ」、「ステート(状態)」の3つが課題だと整理している。そのうえで、今回Xの投稿でその対応策を「短期」と「長期」の2段階に分けて説明している。

短期的な取り組みとして同氏が挙げたのは、次期アップグレード「グラムステルダム(Glamsterdam)」で予定されている変更点だ。主な内容は「ブロックレベル・アクセスリスト(Block-level Access Lists)」、「ePBS(enshrined Proposer-Builder Separation)」、「ガス再価格設定(gas repricing)」だ。

これらにより、ブロック検証の並列化や、各スロットのより大きな割合を検証処理に充てることが可能になると説明されている。なお、グラムステルダムは2026年前半に実施予定であることが今年2月に発表された。

同氏はまた、「多次元ガス(multidimensional gas)」の導入にも言及した。現在のイーサリアムでは、計算処理やデータ容量、ステート増加といった異なる資源を単一の「ガス」で管理しているが、これらはネットワークに与える影響がそれぞれ異なるとされている。

特にステートは、イーサリアムにおいてはネットワーク全体が長期的に保存し続ける必要がある資源であり、単純に実行処理能力を引き上げるだけでは持続的な拡張は難しいとされる。

同氏は、こうした構造的課題に対応するため、資源ごとに分離して管理する仕組みへ段階的に移行する必要があるとの考えを示した。グラムステルダムはその第一段階にあたる。

長期的な拡張戦略として、同氏は「ブロブ(blobs)」と「ZK-EVM」を挙げた。

ブロブは、2024年3月の「デンクン(Dencun)」アップグレードで導入された仕組みでロールアップ向けデータを従来の実行領域とは別枠で格納するもの。これによりロールアップのデータコスト削減が図られている。

同氏は、このブロブ領域の拡張も進める考えを示した。将来的には、ブロックデータの検証を効率化する仕組み「ピアDAS(PeerDAS)」を改良し、より大量のデータを処理できる体制を目指すという。さらに、最終的にはイーサリアムメインネットのブロックデータそのものをブロブ領域で扱う構想にも言及している。

一方、ZK-EVMについて同氏は、ブロックを各ノードが再実行せずとも正当性を確認できる仕組みとして位置付けた。現在のイーサリアムでは、すべてのノードが取引を再計算して検証しているが、ZK-EVMはその代わりに暗号学的証明を用いる構想だ。

同氏によれば、2026年にはZK-EVMを用いて検証に参加できるクライアントが登場する見込みで、2027年以降はネットワークの一部がZK前提で稼働することを推奨する考えを示している。

最終的には複数の証明方式を組み合わせるモデルへ移行する可能性にも触れられたが、全面的な依存は段階的に進める方針だという。

今回の投稿で示された短期施策の多くは、既に開発者間で議論が進められているアップグレード計画に関連する内容だ。また、ZK-EVMについてもイーサリアム財団がメインネットへの統合ロードマップを公開しており、実装に向けた議論が進んでいる。一方、多次元価格モデルの最終形など一部の構想については、同氏が過去のブログやイーサリアム・リサーチ(Ethereum Research)で論じてきた方向性と整合する内容となっており、今後の議論の中で計画が進む可能性がある。

同氏はこれらの取り組みを通じ、実行、データ、ステートの3資源をそれぞれ拡張することで、長期的なスケーリングを目指す考えを示している。

参考:イーサリアムリサーチブログ
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

渡邉洋輔

「あたらしい経済」編集部 記者
ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。

「あたらしい経済」編集部 記者
ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。

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