今週もSBI VCトレード提供の暗号資産(仮想通貨)に関するウィークリー・マーケットレポートをお届けします。
6/29~7/5週のサマリー
- 6月米雇用統計は月間雇用者数が+14.7万人と予想の11万人を上回り、失業率も4.2%から4.1%へと改善
- 「ソラナ・ステーキングETF(SSK)」(正式名称「REX-Osprey Solana + Staking ETF (SSK)」)が米国のCboe BZXに上場
- 米国株式市場は堅調な推移、S&P500(SPX)、Nasdaq総合指数(IXIC)が史上最高値を更新
暗号資産市場概況
6/29~7/5週におけるBTC/JPYの週足終値は前週比+0.60%の15,632,200円、ETH/JPYの週足終値は同+3.18%の363,965円であった(※終値は7/5の当社現物EOD[7/6 6:59:59]レートMid値)。
先週の暗号資産市場は、米国経済指標や政局に左右されつつも、米国株式市場の堅調な動きを背景にBTCは6月11日以来となる110,000ドル台を一時回復するなど底堅い推移を見せた。
週初、トランプ政権が推進する減税法案「One Big, Beautiful Bill(大きく美しい法案)」にEV(電気自動車)優遇制度の撤廃が盛り込まれたことを受け、イーロン・マスク氏がSNS上で強く反発。政府批判を再燃させたことで、トランプ大統領との対立が再び表面化。加えて、トランプ大統領がマスク氏に関連する補助金の削減や、国外追放を示唆する発言を行ったことが市場に波紋を広げた。これらの報道を受け、時間外市場でテスラ株が急落。暗号資産市場にもリスク回避の動きが波及し、BTCは一時106,000ドルを割り込むなど、軟調なスタートとなった。
その後、トランプ大統領が「イスラエルがガザでの停戦条件に合意した」とSNS上で発信したことを受けて市場心理が改善。さらに、マスク氏がこの投稿を引用し、トランプ大統領の外交姿勢を評価するコメントを発信したことにより、両者の関係改善への期待感が広がり、米国の貿易協議の進展も相まってBTCは回復基調を強める展開となる。
週央以降に発表された米国経済指標では、ADP民間雇用統計が市場予想を下回り、金利は低下。これを受けて米国株が上昇しBTCも堅調に推移。続く木曜日には、米雇用統計が予想を上回る強い内容となり金利は上昇したものの、平均時給の伸びが鈍化したことでインフレ懸念は限定的なものにとどまった。米国株は労働市場の底堅さを好感して続伸し、BTCもその流れに乗る形で6月11日以来となる110,000ドルを一時突破。その後は、早期利下げ観測の後退が重石となり上値の重い展開に。方向感に欠けたまま週末を迎えた。
アルトコイン市場では、7月2日にREX Shares社とOsprey Funds社が手がける「ソラナ・ステーキングETF(正式名称:REX-Osprey Solana + Staking ETF、ティッカー:SSK)」が米国のシカゴ・オプション取引所傘下のCboe BZXに上場したことが注目を集めた。このETFは、ソラナ(SOL)の現物価格に連動しつつ、ステーキング報酬を月次で投資家に還元する米国初の仕組みを採用しており、大きな関心を呼んでいる。上場初日の取引高は3,300万ドル、資金流入は1,200万ドルに達し、CMEにおけるSOL先物建玉も1億6,700万ドルと、機関投資家の注目度の高さがうかがえる。
7月4日に米国の減税法案が成立したことを受け、市場の注目は共和党主導によるデジタル資産関連法案の審議動向に移行しつつある。トランプ大統領は、暗号資産関連の包括的法案を8月までに可決させる意向を示しており、今後の立法プロセスおよび規制方針の変化には引き続き注意が必要である。一方、米国株式市場は引き続き高値圏で堅調に推移しており、BTCも史上最高値である112,000ドルが視野に入る価格帯で推移している。こうした環境下では、短期的にボラティリティが高まる局面を想定した慎重なポジショニングが求められるだろう。
1) BTC/USD週間チャート(30分足)

2) BTC/JPY週間チャート(30分足)

3) ビットコイン現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計、ビットコイン価格

4) イーサリアム現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計、イーサリアム価格

6/29~7/5週の主な出来事
7/6~7/12週の主な予定

【今週のひとこと】 暗号資産ETFと資産クラス化の動き
米国証券取引委員会(SEC)は7月1日、米国の暗号資産運用会社であるグレイスケール社の暗号資産ファンド「グレイスケールデジタルラージキャップファンド(GDLC)」をETF(上場投資信託)へ転換する申請を承認しました。これによって複数の暗号資産を組み合わせたバスケット型のインデックスファンドが米国で初めてETFとして取引されることになりました。さらに米国初のソラナ現物ステーキングETF「レックス-オスプレイ・ソラナ+ステーキングETF」が7月3日の市場オープンと同時に取引を開始しました。
SECによる暗号資産ETFの承認手続きが簡素化されたことを受け、単なる価格連動型を超え、分散投資効果や利回りの創出を志向する次世代型暗号資産ETFが、ウォール街で相次いで組成されています。サンフランシスコに拠点を置く暗号資産運用会社のビットワイズ社は、ドージコインとアプトスの現物ETFを申請中です。また同じく資産運用会社のハッシュデックス社やフランクリン・テンプルトン社も、複数の暗号資産を組み入れたインデックスETFの提供に向けて準備を進めています。アルトコインETFが証券取引所に上場することは暗号資産全体の信頼性を高める可能性があります。これに伴い、機関投資家による暗号資産市場への資金流入への期待も高まっています。
日本国内においても暗号資産の金融商品化に向けた取り組みが活発化しており、金融庁は6月25日、暗号資産を現行の資金決済法の枠組みから金融商品取引法(以下、金商法)へ移行することを正式な検討対象とする方針を明らかにしました。金融審議会に提示された資料には制度見直しを本格化させるためのワーキンググループの新設も盛り込まれています。金商法への移行は将来的な申告分離課税(税率約20%)の導入や国内での暗号資産ETFの実現につながる可能性があるため、その動向が注目を集めています。この制度変更が検討される背景には暗号資産の取引量と保有者数の急拡大が挙げられます。2025年1月時点で国内の利用者口座数は延べ1,214万口座、預託金残高は5兆円を超えました。
機関投資家による市場参入も進み、米国では年金基金や大手金融機関がビットコインETFへの投資を進めるなど暗号資産は世界的に資産クラスとしてのプレゼンスを高めつつあります。暗号資産はまさに今、投機対象から資産形成の手段へと移行しつつあります。
このレポートについて
国内の暗号資産(仮想通貨)取引所「SBI VCトレード」提供の週間マーケットレポートです。毎週月曜日に最新のレポートをお届けします。
<暗号資産を利用する際の注意点>
暗号資産は、日本円、ドルなどの「法定通貨」とは異なり、国等によりその価値が保証されているものではありません。
暗号資産は、価格変動により損失が生じる可能性があります。
暗号資産は、移転記録の仕組みの破綻によりその価値が失われる可能性があります。
当社が倒産した場合には、預託された金銭及び暗号資産を返還することができない可能性があります。
当社の取り扱う暗号資産のお取引にあたっては、その他にも注意を要する点があります。お取引を始めるに際しては、「取引約款」、「契約締結前交付書面」等をよくお読みのうえ、取引内容や仕組み、リスク等を十分にご理解いただきご自身の判断にてお取引くださるようお願いいたします。
秘密鍵を失った場合、保有する暗号資産を利用することができず、その価値を失う可能性があります。
暗号資産は支払いを受ける者の同意がある場合に限り、代価の支払いのために使用することができます。