アルゼンチン新大統領、地方自治体の独自通貨認めるも否定的な見方示す

「準通貨にはインフレが起こる」

南米アルゼンチンの新大統領ハビエル・ミレイ(Javier Milei)氏が、同国ラ・リオハ州が「独自通貨」を持つことに否定的な見方を示した。現地メディア「ラジオ・ミトレ(RADIO MITRE)」のインタビューにて1月14日明かした。

ラ・リオハ州のリカルド・キンテラ(Ricardo Quintela)知事と意見交換を行ったミレイ氏は、同国の地方自治体による独自通貨の発行を法的に阻止することはないとした。

しかしミレイ氏は、「各州が発行する通貨を受け入れるかどうかは、市場自身がその価値を決定する。『準通貨:クアシモネダス(Cuasimonedas)』にはインフレが起こるが、ペソには起こらない」と述べた。

なおクアシモネダスとは、2001年から2002年にかけての経済危機の際に、アルゼンチン政府と15の州政府によって発行され、法定通貨と同じ形で流通した債券につけられた非公式な通貨名称のことである。

さらにミレイ氏は「無責任な州知事からクアシモネダスの支払いを受けている人たちは、収入減に見舞われるだろう。そしてこのような施策を実施する様々な知事たちによって、いかに自分たちが騙されているかに気づくだろう」と続けている。

ミレイ氏は就任以降、アルゼンチン・ペソを50%引き下げることで高水準のインフレを抑えようとした。

これを受けてキンテラ知事は、独自通貨を作ることを目指している。

ミレイ氏はまた、連邦予算から地方自治体に割り当てられた資金も削減。キンテラ知事はこの措置を非難し、警察官の給与支払いを理由に、同州議会へ地域通貨発行へ向けた準備を要請していた。

この件についてミレイ氏はキンテラ知事を批判。「知事は受け取るべきものを受け取っている。もし彼が資源の配分方法に問題を抱えているのなら、もし彼が独自通貨を採用するのに金を使い、警察に金を払わないのなら、それは我々の問題ではない」とミレイ氏は述べた。

ミレイ氏は大統領に就任後、様々な経済施策を打ち出している。

昨年末には既存の350以上の経済規制を変更・廃止する新法案を提出。その中には家賃の上限撤廃や労働者保護の一部撤廃、不当な値上げから消費者を保護する法律の廃止が含まるため、アルゼンチンの多くの市民団体が同法案を違憲だと裁判所に申し立てていた。

昨年12月には、労働組合が主導する数千人ものデモ隊が抗議デモを行った様子が現地紙によって報じられている。

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参考:ラジオ・ミトレ
images:Reuters

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髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者
同志社大学神学部を卒業後、放送局勤務を経て、2019年幻冬舎へ入社。
同社コンテンツビジネス局では書籍PRや企業向けコンテンツの企画立案に従事。「あたらしい経済」編集部では記事執筆を担当。

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