キネティック、ハイパーリキッド向けL2「Elysium」発表。HyperEVMより高性能な環境目指す

ハイパーリキッドの現物取引強化も狙う

ハイパーリキッド(Hyperliquid)エコシステムのリキッドステーキングプロトコル「キネティック(Kinetiq)」が、新たなレイヤー(L)2ネットワーク「エリュシオン(Elysium)」の開発計画を8月24日に発表した。

エリュシオンは、ハイパーリキッドの取引基盤「ハイパーコア(HyperCore)」との接続性を重視したEVM互換ネットワークだ。ガストークンにはハイパーリキッドのネイティブトークン「HYPE」を採用する。

ハイパーリキッドでは、現物やパーペチュアルのオーダーブック取引などをハイパーコアが処理する。一方、EVM互換環境「ハイパーEVM(HyperEVM)」では、開発者がハイパーコアと連携するDeFi(分散型金融)などのアプリケーションを構築できる。

キネティックは今回、ハイパーEVMについて、ハイパーコアとの連携に伴うアーキテクチャの複雑さや、性能・スループットに課題があると指摘した。エリュシオンはローンチ時点で、ハイパーEVMを大幅に上回るスループットと性能を備えるとのことだ。キネティックは将来的に、エリュシオンのブロックタイムをハイパーコアと同等にすることも目指している。

キネティックはエリュシオンの主な用途のひとつとして、ハイパーリキッドにおける現物取引の強化を挙げた。

ハイパーリキッドはパーペチュアル取引を中心に成長してきた一方、キネティックは現物取引について「十分に活用されていない」と指摘する。同社の発表では、ハイパーリキッドのバイナンス(Binance)に対する週間現物取引高シェアが15カ月ぶりの低水準となり、2024年後半に主要現物銘柄がローンチされて以降でも最低水準に近い週となったことが示された。

キネティックは現物市場の流動性拡大に向け、エリュシオン上で「PropAMM」の展開を促す。PropAMMは、マーケットメーカーなどが独自の価格決定ロジックを用いて流動性を提供するAMMの仕組みだ。キネティックは、PropAMMが普及するソラナ(Solana)の現物取引高がハイパーコアの少なくとも30倍に達していると説明した。

エリュシオンでは、PropAMMなどのアプリケーションがハイパーコアの価格や流動性に関する情報を利用できる環境も構築する。そのためキネティックは、ハイパーコアの情報を読み取る「L1Read」と呼ばれる機能をエリュシオン向けに拡張する。これによりPropAMMは、ハイパーコアの市場情報を参照して流動性を提供できるようになる。

またエリュシオンは、新規トークンの発行から現物・パーペチュアル市場までを接続する環境を提供する。新規トークンはエリュシオン上のAMMで流動性を構築し、その後PropAMMへ統合できる。さらにハイパーコアの現物オーダーブックや「HIP-3」によるパーペチュアル市場への接続も可能になる予定だ。

HIP-3は、外部の開発者がハイパーコア上にパーペチュアル市場を展開できる仕組みだ。

なおエリュシオンでは、ローンチ後に発生するシーケンサー手数料の25%を同ネットワークのブロックスペースを利用するアプリケーションへ、25%をキネティックのトレジャリーへ配分し、残る50%を、キネティックのガバナンストークン「KNTQ」の市場買い戻しに充てる計画だ。買い戻したKNTQは全て、ハイパーリキッドのアシスタンスファンドへ送付することでバーンするとのことだ。

エリュシオンの具体的なローンチ日は明らかになっていない。キネティックはローンチが「間近」だと説明しており、技術仕様や主要パートナーについても今後発表する予定だ。

 画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

渡邉洋輔

「あたらしい経済」編集部 記者
ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。

「あたらしい経済」編集部 記者
ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。

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