ビットコイン、米利上げ観測の後退で上昇も中東情勢の緊迫化や米長期金利の上昇を受けて反落(仮想通貨市場レポート 10/13 号)

今週もSBI VCトレード提供の暗号資産(仮想通貨)に関するウィークリー・マーケットレポートをお届けします。

10/4~10/10週のサマリー

  • 米9月雇用統計を受けた利上げ観測の後退から、ビットコインは一時87,000ドルに迫る
  • 原油高によるインフレ懸念から米10年債利回りが一時5.36%と2002年4月以来の高水準に上昇
  • 中東情勢の緊迫化やFOMC議事要旨を受けた追加利上げ警戒から、ビットコインはロング清算を伴い一時80,000ドル台前半まで下落

暗号資産市場概況

10/4~10/10週におけるBTC/JPYの週足終値は前週比▲1.81%の13,139,850円、ETH/JPYの週足終値は同▲6.39%の397,079円(※終値は10/10の当社現物EOD[10/11 6:59:59]レートMid値)。

先週の暗号資産市場は、米利上げ観測の後退を背景にビットコインが87,000ドルに迫ったものの、中東情勢の緊迫化や米長期金利の上昇を受けて反落し、ロングポジションの清算を伴い一時80,000ドル台前半まで下落した。

先々週2日に発表された米9月雇用統計が市場予想を下回り、FRBによる追加利上げ観測が後退したことや米株高を背景に、週初の5日には一時87,000ドルに迫った。しかし、9月下旬の高値である約87,400ドルを上抜けるには至らず、その後は反落した。米10年債利回りは依然として高水準にあり、ドル高も進んでいたことから、金融環境全体が一様に追い風となったわけではない。週初の上昇は、利上げ観測の後退を好感したリスク選好の回復が主因と考えられる。

週半ば以降は、ホルムズ海峡周辺でのタンカー攻撃や、米国によるイラン攻撃の選択肢をめぐる報道を受けて原油価格が上昇。インフレ再燃への懸念から米長期金利も上昇し、米10年債利回りは一時5.36%台と2002年4月以来の高水準に達した。こうした金利上昇がリスク資産全般の下押し圧力となった。さらに、日本時間10月8日未明に公表されたFOMC議事要旨では、政策金利の引き上げを全会一致で決定していたことに加え、大半の参加者が年内の追加利上げが適切となる可能性が高いとの見方を示していたことが明らかになった。米雇用統計の下振れを受けて後退していた利上げ観測に対し、インフレ抑制を重視する姿勢が改めて意識され、金融引き締めが長期化する可能性も市場の重荷となった。ビットコインは下落基調を強め、9日にかけて一時80,000ドル台前半まで値を下げた。CoinGlassのデータでは、8日のBTCロング清算額は約2.72億ドル、ショート清算額は約3,154万ドルとなり、ロングポジションの解消が大きく優勢だった。市場全体でも大規模な清算が発生しており、マクロ要因による売りにポジション整理が重なり、下落が増幅したとみられる。

その後、トランプ大統領が中間選挙までイランへの攻撃を行わない意向を示すと、地政学リスクへの警戒がいったん和らぎ、ビットコインは83,000ドル台へ反発した。ただし、米長期金利の高止まりや中東情勢をめぐる不透明感が解消したわけではない点には留意したい。

需給面では強弱感が対立する展開となった。ストラテジー社が3週連続で追加購入を継続したことは市場の安心感につながったものの、これまで相場を牽引してきた米ビットコイン現物ETFが4週ぶりに純流出へ転じたことで、投資家心理が冷やされた。上値での実需の乏しさが意識される中、87,000ドル近辺で伸び悩み、直近高値を上抜けるだけの買い推進力を欠く結果となった。

今週最も注目されるのは14日の米9月CPIである。米長期金利の動向も引き続き追う必要があるものの、先週の10年債・30年債入札が非常に好調な結果となったことで債券市場の需給懸念は和らいでおり、市場の目線は本格化する米決算発表へと軸足を移しつつある。CPIが市場予想を下回り、利下げ期待やリスク選好姿勢が強まればビットコインの反発を後押しする可能性がある。そのほか、15日の米PPI・小売売上高や、地政学リスクに伴う原油価格の動向にも目を配りたい。

1) BTC/USD週間チャート(30分足)

TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成

2) BTC/JPY週間チャート(30分足)

TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成

3)米BTC現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計(週足)、BTC価格

(緑・赤のバーが資金流入出 / 白線が運用資産残高合計/ 橙線がBTC価格)SoSoValue提供のチャートより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成

4)米ETH現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計(週足)、ETH価格

(緑・赤のバーが資金流入出 / 白線が運用資産残高合計/ 橙線がBTC価格)SoSoValue提供のチャートより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成

5)米XRP現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計(日足)、XRP価格

(緑・赤のバーが資金流入出 / 白線が運用資産残高合計/ 橙線がXRP価格)SoSoValue提供のチャートより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成

10/4~10/10週の主な出来事

10/11~10/17週の主な予定

【今週のひとこと】円建てステーブルコイン、決済から金融取引への実装が進む

円建てステーブルコインを金融取引に活用する動きが具体化しています。2026年10月6日、Startale Japanは、円建てステーブルコイン「JPYSC」で利払いと償還を行うデジタル社債の募集を開始しました。これは、ステーブルコインを単なる送金手段にとどめず、債券取引に伴う資金決済に利用する取り組みとして注目されます。

この動きは、過去の金融インフラのデジタル化と重ねると理解しやすいでしょう。2003年には国債の振替決済制度が始まり、紙の券面を用いずに保有や取引を管理する仕組みへと移行しました。今回の取り組みは、こうした証券管理の電子化からさらに進み、利払いや償還に伴う資金の受け渡しまでデジタル化する試みといえます。ブロックチェーン上で取引と決済を連動させる仕組みが広がれば、事務処理の効率化や、従来の営業時間にとらわれにくい決済の実現につながる可能性があります。

制度面でも、2023年6月に施行された改正資金決済法によって、ステーブルコインに関する「電子決済手段」の枠組みが整備されました。こうした制度整備を背景に、民間金融機関や関連事業者による新たなサービスの開発が進んでいます。一方で、ステーブルコインの利用範囲は、発行・流通の仕組みや法令上の条件によって異なるため、技術的に可能なことと、実際に利用できることを区別して見る必要があります。

投資家にとっては、円建ての決済手段が増えることで、オンチェーン金融を利用する際の選択肢が広がることが期待されます。ただし、円建てステーブルコインを利用しても、投資対象そのものの価格変動や、社債の発行体に関する信用リスク・流動性リスクがなくなるわけではありません。新しい決済手段の利便性だけでなく、利用条件や商品ごとのリスクを確認することが重要です。

今回のデジタル社債は、2026年11月10日まで募集され、12月1日の発行が予定されています。今後は、実際の利払い・償還がどのように運用されるかに加え、円建て・ドル建てステーブルコインの活用がどのように広がるかが注目されます。ステーブルコインが暗号資産市場内の決済手段から、より幅広い金融取引を支えるインフラへと発展していくのか、引き続き動向を追いたいところです。

このレポートについて

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暗号資産は、価格変動により損失が生じる可能性があります。
暗号資産は、移転記録の仕組みの破綻によりその価値が失われる可能性があります。
当社が倒産した場合には、預託された金銭及び暗号資産を返還することができない可能性があります。
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この記事の著者・インタビューイ

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SBIグループの暗号資産取引所「SBI VCトレード」。SBIグループの掲げる顧客中心主義の理念のもと、お客様の満足度向上に資する暗号資産取引に係るサービスをフルラインナップでご提供してまいります。

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