ビットコインは上値を切り下げる展開。ホルムズ海峡再開見通し後退に伴う原油高騰、MARAのBTC売却、ETF週次流出超などで(仮想通貨市場レポート 8/17 号)

今週もSBI VCトレード提供の暗号資産(仮想通貨)に関するウィークリー・マーケットレポートをお届けします。

8/9~8/15週のサマリー

  • 米・イランの対立により、ホルムズ海峡再開見通しが後退
  • MARAホールディングスのBTC売り報道と現物ETF流出により売り圧力が高まる
  • MSCIが「非事業会社」をグローバル投資可能市場指数(GIMI)から除外する提案に関する意見募集、ストラテジーおよびメタプラネットが除外対象に

暗号資産市場概況

8/98/15週におけるBTC/JPYの週足終値は前週比▲1.97%10,050,400円、ETH/JPYの週足終値は同▲0.95%299,990円(終値は8/15の当社現物EOD8/16 6:59:59]レートMid値)。

先週の暗号資産市場は週を通して下落。ホルムズ海峡の再開見通し後退に伴う原油価格の高騰や、マイニング大手MARAホールディングスによる約2,600億円相当のビットコイン売却報道、BTC現物ETF週次ベースの流出超といった需給面の悪化により上値を切り下げる展開が続いた。

週初のビットコインは65,000ドル付近から始まった。その後、イランが戦争被害への賠償などを求める一方、米側もイランに補償を要求したことでホルムズ海峡再開に向けた合意への見通しが後退し、原油先物価格が一時1バレル85ドル付近まで上昇したことや、暗号資産マイニング大手のMARAホールディングスが2026年上半期に16.3億ドル(約2,600億円)相当のビットコインを売却したとの報道も重なり、ビットコインは63,000ドル前半まで下落。

週央以降は薄商いの中、米国のインフレ指標(CPI・PPI)が落ち着いた内容となったことで利上げ懸念が後退、S&P500やRussell 2000が過去最高値を更新する中でもビットコインは一時63,000ドル割れとなるデカップリングの動きとなった。

クラリティ法案に関しては、Polymarketによると年内成立確率が20%を下回っている。明確なルール整備が遠のくことで、暗号資産業界全体にとって不透明な事業環境が当面続くことになる。法案の停滞を受け、アメリカの証券取引委員会(SEC)や商品先物取引委員会(CFTC)は独自の規制を進める動きを見せている。

また、インデックスプロバイダーのMSCIが、「非事業会社」をグローバル投資可能市場指数(GIMI)から除外する提案に関する意見募集を実施している。2026年5月のシミュレーションによれば、この変更によりストラテジーおよびメタプラネットが除外対象となる。これらが除外された場合のパッシブ運用による売りや、ビットコインを活用したこれまでの資金調達モデルの変化も懸念材料となる。

今週の焦点はFOMC議事録(7月28-29日)である。前回のFOMC後の会見で、ウォーシュ議長が進めている「過度な政策メッセージへの依存を弱める取り組み」により明確なヒントを出さなかったため、市場参加者の不安が高まっている。結果として米30年債利回りが5.2%台へ達するなどツイスト・スティープ化に伴う金利上昇懸念が顕在化している。利下げペースや政策スタンスを巡り実際にどのような議論が交わされたのか、真相を確かめる上で今週公表されるFOMC議事録は極めて重要である。

1) BTC/USD週間チャート(30分足)

TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成

2) BTC/JPY週間チャート(30分足)

TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成

3)米BTC現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計(週足)、BTC価格

(緑・赤のバーが資金流入出 / 白線が運用資産残高合計/ 橙線がBTC価格)SoSoValue提供のチャートより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成

4)米ETH現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計(週足)、ETH価格

(緑・赤のバーが資金流入出 / 白線が運用資産残高合計/ 橙線がETH価格)SoSoValue提供のチャートより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成

5)米XRP現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計(日足)、XRP価格


(緑・赤のバーが資金流入出 / 白線が運用資産残高合計/ 橙線がXRP価格)
SoSoValue提供のチャートより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成

8/9~8/15週の主な出来事

8/16~8/22週の主な予定

【今週のひとこと】 トランプ氏のSNS「Truth Social」を運営するTMTG、巨額損失を公表

トランプ大統領のSNS「Truth Social」を運営するTrump Media & Technology Group(TMTG)は8月10日、2026年4~6月期の決算を発表しました。純損失は2億3,810万ドル(約378億円)となり、前年同期の約2,000万ドルの純損失から大幅に拡大しました。

一方、売上高は170万ドルと、前年同期の約90万ドルから増加しました。ただ、暗号資産の価値下落などに伴う未実現損失が膨らみ、業績を大きく押し下げました。Reutersによると、同社は純損失が大幅に拡大した主な要因として、暗号資産関連の損失を挙げています。

今回の決算で特に注目されるのは、同社がビットコインを大量に保有するだけでなく、その一部を第三者に預けて収益を得る「BTC Yield Management」のような運用戦略を進めている点です。SECへの四半期報告書では、取引相手が破綻した場合に預けた暗号資産を十分に回収できない可能性や、暗号資産業界における連鎖的な信用リスクについて新たに警告しています。過去に破綻したFTX、Celsius、Voyager、BlockFiなどを例に挙げ、カウンターパーティーリスクを具体的に指摘している点も注目されます。

また、6月末時点で同社は約9,477BTCを保有していましたが、そのうち約6,338BTCは債務の担保やオプション戦略などのために差し入れられており、保有するビットコインの多くが自由に処分できない状態となっています。こうした状況は、企業がビットコインを財務資産として保有する場合、単純な価格変動リスクだけでなく、資金調達、担保、流動性、取引相手の信用力といった複数のリスクを同時に管理する必要があることを示しています。

今回のTMTGの決算は、企業によるビットコイン保有が広がる中で、保有数量だけでなく「どのように保有し、どのように収益化しているか」が重要であることを示す事例といえます。暗号資産市場では企業によるBTC Treasury戦略への注目が続いていますが、今後はBTC保有量の増加だけでなく、資金調達方法や担保設定、運用先の信用リスクなど、バランスシート全体を踏まえた評価がより重要になりそうです。

このレポートについて

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暗号資産は、移転記録の仕組みの破綻によりその価値が失われる可能性があります。
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この記事の著者・インタビューイ

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SBIグループの暗号資産取引所「SBI VCトレード」。SBIグループの掲げる顧客中心主義の理念のもと、お客様の満足度向上に資する暗号資産取引に係るサービスをフルラインナップでご提供してまいります。

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