暗号資産マーケットレポート
今週もSBI VCトレード提供の暗号資産(仮想通貨)に関するウィークリー・マーケットレポートをお届けします。
1/12~1/18週のサマリー
- BTC、米国のトランプ大統領就任への期待感を背景に堅調に推移
- トランプ次期大統領が就任後に、暗号資産を「国家政策の優先事項」とする大統領令を発令すると報じられる
- トランプ氏の名を冠した「TRUMP」トークンが注目を集め、関連のソラナ(SOL)が史上最高値を更新
- トランプ次期大統領、米国発行の暗号資産(SOL、USDC、XRP等)を戦略的準備金使用に「前向き」とコメント
- 米証券取引委員会(SEC)、Ripple社との裁判において控訴を提出
暗号資産市場概況
1/12~1/18週におけるBTC/JPYの週足終値は前週比+8.44%の16,235,100円、ETH/JPYの週足終値は同-1.89%の511,730円であった(※終値は1/18の当社現物EOD[1/19 6:59:59]レートMid値)。
先週の暗号資産市場は、トランプ米国大統領就任前のポジティブな市場センチメントや、12月米消費者物価(CPI)の上場率が比較的穏やかだったことを背景にBTCは堅調に推移した。米国証券取引委員会(SEC)とRipple社への裁判において控訴期限を迎えSECは控訴を再度提出したものの、次期政権では同訴訟を放棄するのではないかとの観測が流れXRPは米ドル建てで節目となる3ドルを突破し大きくアウトパフォームした。またトランプ氏の名を冠した「TRUMP」が市場の注目を集め、同銘柄がソラナチェーン上での発行であったことからほとんどのアルトコインから資金が流出しSOLおよびTRUMPに資金が集まるかつてない光景となり、SOLは史上最高値を更新した。
週初BTCは90,000ドルを割り込む軟調な展開からのスタート。週央の米国CPIの市場予想を下回る結果を受けインフレ懸念が和らぎ、リスク性資産への資金流入を背景に暗号資産市場も堅調に推移。トランプ次期大統領が1月20日の就任後に暗号資産を「国家政策の優先事項」とする大統領令を発令すると報じられると上げ足を速め105,000付近まで上昇、その後は104,000ドル台付近の価格帯で週末を迎えた。
先述の大統領令は、新たな暗号資産諮問委員会を通じて政府と暗号資産業界の協力を強化し、同委員会に強力な発言力を与えて政策推進を図ることを目的としていると報じられている。ブロックチェーン協会の政府関係担当シニアディレクターであるロン・ハモンド氏は以前、同委員会はそれぞれの暗号資産企業の代表者として選ばれた業界幹部で構成されると述べており、実現すれば暗号資産業界にとって大きな追い風となることが予想される。ただし、ハモンド氏は、「大統領令がトランプ氏の就任式当日に実現するのか、それとも最初の1週間以内に実現するのかは不明」とも述べている為、就任日当日の過度な期待は控えておいたほうが良いだろう。
またトランプ大統領が検討していると報じられているその他の大統領令には、物議を醸しているSECの暗号資産会計基準ガイダンスであるSAB121(既存金融機関のデジタル資産保有に強い規制をかける法案)の廃止や、ビットコインの戦略的準備金または備蓄の確立が含まれている。同大統領令や暗号資産周辺の制度変更についての実現性は未だ不透明な部分が多いが、バイデン政権時代と比較すると暗号資産業界に対する情勢は大きく変化しているといってよいだろう。
さて今週はいよいよトランプ大統領の就任式を控えている。先週は同氏の暗号資産に関する大統領令への期待感が相場の追い風となった格好である。就任後にその全貌が明らかになった際に相場上昇に拍車がかかるか、それとも別の反応を見せるのか最大限注視していきたい。
1) BTC/USD週間チャート(30分足)

2) BTC/JPY週間チャート(30分足)

3)ビットコイン現物 ETF の資金流出入と運用資産残高合計、日次推移

4) イーサリアム現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計、イーサリアム価格

1/12~1/18週の主な出来事
1/19~1/25週の主な予定
【今週のひとこと】「TRUMPトークン」
トランプ米次期大統領が18日、ソラナチェーン上で自身の名を冠した「TRUMP」トークンを発行しました。トランプ氏が所有するSNSプラットフォームである「Truth Social」での投稿で当初は偽物であることも疑われていましたが、「X」でも同様の内容が投稿されたことや、流動性供給の規模から本物の可能性が高まり価格は上昇しました。ソラナ上のDEXである「Jupitar」での上場時の価格は$0.1824でしたが、19日時点での高値は$75.84をつけており、1日弱にして400倍以上上昇したことになります。
米情報サイトCoinmarketcapによると、暗号資産全体の時価総額ランキングにおいて一時15位まで上昇し130億ドル以上の時価総額となりました。トランプ氏の人気と暗号資産政策への期待感が伺えました。
しかし、この件についてはトランプ氏の暗号資産推進政策という公的行為と自身の私的利益の混同を指摘される可能性があり、政治的・法的に大きな問題となれば、弾劾や辞任に追い込まれる可能性もあると言えます。業界全体への注目とSOL等の価格上昇に寄与した一方、規制強化や政治的混乱につながる歴史的な出来事へと発展することも視野に入れ今後も注目していきたいです。
このレポートについて
国内の暗号資産(仮想通貨)取引所「SBI VCトレード」提供の週間マーケットレポートです。毎週月曜日に最新のレポートをお届けします。
画像:Reuters
<暗号資産を利用する際の注意点>
暗号資産は、日本円、ドルなどの「法定通貨」とは異なり、国等によりその価値が保証されているものではありません。
暗号資産は、価格変動により損失が生じる可能性があります。
暗号資産は、移転記録の仕組みの破綻によりその価値が失われる可能性があります。
当社が倒産した場合には、預託された金銭及び暗号資産を返還することができない可能性があります。
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