現物ETF期待でビットコイン上昇し年初来最高値、米株との逆相関が進む(暗号資産 週間マーケットレポート 10/30号)

10/22~10/28週のサマリー

  • 米連邦巡回控訴裁判所がグレイスケールのビットコインETF転換申請の再審査を行うようSECに命令
  • 米BlackRockが申請中のビットコイン現物ETF「IBTC」がDTCC(米国証券保管振替機関)に掲載されていることが話題に
  • ビットコインが年初来高値を更新し、2022年5月以来となる35,000ドル、500万円に到達

暗号資産市場概況

10/22~10/28週におけるBTC/JPYの週足終値は前週比+14.17%の5,127,300円、ETH/JPYの週足終値は同+9.63%の267,430円であった(※終値は10/28の当社現物EOD[10/29 6:59:59]レートMid値)。

先週の暗号資産市場は、ブルームバーグのETFアナリストEric Balchunas氏のSNS上の情報などにより、米BlackRock社が申請中のビットコイン現物ETF「IBTC(iShares Bitcoin Trust)」がDTCC(米国証券保管振替機関)に掲載されていることが注目されたことで、現物ETF上場期待が高まりBTCは上昇し年初来高値を更新。

その後DTCCのサイトからIBTCが削除されるとともに価格は一時急落するも、再掲載に伴い下落分を巻き戻した。再掲載の数時間後にはDTCCの広報担当者からIBTCが昨年8月からサイトに掲載されていたことが示されたが、マーケットの方は特に反応せず。

現物ETF上場期待の織り込みは、既存の先物ETF市場でも好感された。香港証券取引所ではCSOPアセットマネジメントのビットコイン先物ETFが昨年12月の上場以来最大の取引高を示し、香港ETF販売市場におけるトップ10入りを果たしたほか、CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)でもビットコイン先物ETFのビットコイン建での建玉が過去最高値を更新した(下図。なおUSD建では過去最高値ではない)。

特筆事項として、米株との逆相関(一方が上昇し他方が下落する関係)が年初来最高水準まで高まった点を挙げたい。高金利環境においてGAFAMに代表される米株決算が市場参加者の期待に届かず大幅に下落する中(Alphabetについては約10%とコロナショック以降最大規模の日次下落幅となった)、9月以前のビットコインであれば米株の損失をカバーするため売却される動向が自然であったが、足元では各資産が別々のストーリーに牽引されていることが明らかになった。

来週は、11月2日にDoge Dayを迎える。DOGEコインのモデルとなった柴犬「かぼすちゃん」の銅像が千葉県佐倉市に設立、除幕式が開催されるほか、コミュニティ交流イベントも行われるという。日取りが近付くにつれ関連暗号資産のボラティリティが高まる可能性があるため注意されたい。

また、米政策金利も発表される。本稿執筆時点(10月30日)で98%程度が据え置き予想となっており、次回FOMCでの利上げは実現しない公算が大きい。

BTC/USD週間チャート(30分足)

TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成

BTC/JPY週間チャート(30分足)

TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成

CMEのビットコイン先物建玉(日足)

(黒=価格、オレンジ=USD建の建玉、青=ビットコイン建の建玉)
Glassnode提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成

SP500/USD週間チャート(5分足)

TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成

BTC/USD年間チャート(日足) 2023.01.01- 2023.10.28

(ローソク足=BTCUSD、オレンジ=SP500、青=30日相関)
※青の相関指数のマイナスは逆相関状態を示す
TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成

10/22~10/28週の主な予定

10/29~11/4週の主な出来事

今週のひとこと「次に上昇するコインは?~ビットコイン・ドミナンスから探る~」

現在もマーケットが活況の暗号資産市場ですが、最近目にされる言葉の一つにビットコイン・ドミナンスがあります。ビットコイン・ドミナンスとは、暗号資産市場全体でビットコインのシェアがどのくらいなのかを示す指標のことで、暗号資産市場全体の資金循環の流れを確認できる指標ともいえます。現在のドミナンスは直近の価格上昇もあり、2021年4月以来の53%水準まで上昇しています。過去の分析では、一定水準までビットコイン・ドミナンスが上昇し、ピークを迎えると、アルトコインに投資資金が流入し、また循環する傾向があるために、トレードの判断基準の一つとされています。

今週大きく上昇したのは時価総額12位のチェーンリンク(LINK)。わずか1週間余りで約50%強の上昇となりました。まだアルト・シーズン(アルトコインの季節)には早いような気もしますが、ぜひこの機会に各アルトコインの価格動向や市場調査など研究されてみるのもよいのかもしれません。

このレポートについて

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この記事の著者・インタビューイ

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SBIグループの暗号資産取引所「SBI VCトレード」。SBIグループの掲げる顧客中心主義の理念のもと、お客様の満足度向上に資する暗号資産取引に係るサービスをフルラインナップでご提供してまいります。

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