イーサリアム価格がビットコインをアウトパフォーム、先物ETF承認報道で(暗号資産 週間マーケットレポート 10/2号)

9/24~9/30週のサマリー

  • マイクロストラテジー、5,445BTCの追加購入を発表。
  • VanEck社がイーサリアム先物ETFを近日発売とプレスリリース。
  • Valkyrie社のイーサリアム先物ETFが承認されたとFOX Businessが報道。
  • SEC、Fidelity、VanEck、WisdomTreeが申請中の現物ビットコインETF承認可否を延期。
  • 米国議会で「つなぎ予算」が可決され、米政府機関閉鎖が回避される。

暗号資産市場概況

9/24~9/30週におけるBTC/JPYの週足終値は前週比+2.31%の4,036,600円、ETH/JPYの週足終値は同+5.84%の250,345円であった(※終値は9/30の当社現物EOD[10/1 6:59:59]レートMid値)。

先週の暗号資産市場は、9月中旬より続落している米株市場の影響を受け、弱含んで始まった。週初にマイクロストラテジー社が5,445ビットコインの追加購入(平均取得単価$29,582=約240億円相当)を発表したタイミングが週安値となり、その後は堅調に推移。週後半にVanEck社が「イーサリアム先物ETFを近日発売」とするプレスリリースが発表されると、イーサリアムを中心に暗号資産市場全体が盛り上がりを見せた。

暗号資産への影響は大きくなかったものの、先週最大のトピックは米政府機関閉鎖危機であったと言える。米国では9月末までに歳出法案が通過しなかった場合、政府機関が部分的に閉鎖されてしまう。閉鎖が行われた場合、多数の職員が自宅待機となり、連邦政府機能の多くが停止してしまう。1981年以降14回発生しており、月末が近づくにつれ、「再び政府機関閉鎖が起こる可能性がある」という観測が市場参加者の間で増えていった。

30日に「つなぎ予算」と呼ばれる暫定予算が通過したことでこの状況は回避されたが、以下の2点から特に動向が注視された。

① 利上げは「データ次第」とする次回FOMCにおいて閉鎖によりデータが存在しなくなることで年内利上げが実現しない可能性が発生したこと

② SEC職員の約90%も自宅待機となると見込まれ、SECの機能の大半も停止すること(ビットコインETFの承認等作業も行われないこととなる)

今回イーサリアム先物ETFの早期承認が実現した背景には、SEC側も上記の政府機関閉鎖を考慮に入れ、スケジュールを前倒しにしたという事情があるのではないかとの憶測にも一定の説得力がある。

暗号資産市場に目を戻すと、イーサリアム価格がビットコイン価格を大きくアウトパフォームした(ETH+5.84% / BTC+2.31%)ことからも察せられる通り、早ければ10月2日~3日に販売開始となるイーサリアム先物ETF上場に向け市場参加者のポジショニングが進んでいる。VanEck社については上記リリース内で「ETFの最新情報はX(旧Twitter)に投稿する」と記載している。また、28日にはValkyrie社についてもイーサリアム先物ETFの承認が下りたとの報道がなされた。これらのETF最新情報をメディアやSNSでキャッチアップすることが、翌週以降の主要なテーマとなるだろう。

BTC/USD週間チャート(30分足)

TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成

BTC/JPY週間チャート(30分足)

TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成

9/24~9/30週の主な予定

10/1~10/7週の主な出来事

今週のひとこと「イーサリアム先物ETFの承認」

先週、SECがイーサリアム先物ETFを承認しました。中身はValkyrie Investmentsが既に運用している「Valkyrie Bitcoin Strategy ETF」にイーサリアム先物への投資が組み込まれるもののようです。筆者はこの「SECがイーサリアム先物ETFを承認した」という事実に大義があると考えています。

イーサリアムは、SECが証券性を指摘している「Proof of Stake(PoS)」という性質を持っています。これによりイーサリアムが有価証券であるかについては以前より議論されていました。未登録の証券で先物ETFを組成することはできないので、SECがイーサリアム先物ETFを承認するということは、イーサリアムは法的な位置づけとして有価証券ではないと公式に認めることに前進します。

SECとしては、今後PoSという性質を持っているだけでは暗号資産を有価証券であると指摘しにくくなるため、PoSであるためにSECから攻撃を受けていた暗号資産は息を吹き返す可能性がありそうです。

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この記事の著者・インタビューイ

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