暗号資産(仮想通貨)の確定申告、流れとポイントを解説

暗号資産の確定申告、流れとポイント

前回の記事では、暗号資産取引を行う上ですべての投資家が知っておくべき税金の基本を紹介しました。今回は実際に確定申告を行う方にむけて、手続の具体的な流れを説明します。

暗号資産取引の所得が20万円から確定申告が必要になる

一般的な会社員の方は、源泉徴収によって毎月の給与から所得税が天引きされているため、基本的には確定申告は必要ありません。しかし、暗号資産取引では源泉徴収などの制度がないため、投資家自身で所得額を申告し、納税する必要があります。

暗号資産取引で発生した所得は原則として雑所得に区分されます。1ヶ所から給与をもらっている会社員の場合、雑所得の金額が20万円を超えている場合は確定申告が必要となります。

暗号資産取引を行っていて、利益が出ているかもしれないと感じている方は、確定申告が必要になるかどうか確認するために、損益計算を実施しましょう。(※1)

※1 暗号資産取引による損益額は体感の金額と大きなズレが生じることも少なくありません。また、(残高を持ち越した上で)翌年以降も取引を行う場合、過去の取引も含めた単価の計算が必要になるため、できる限り毎年損益計算を行なっておく方が良いでしょう。

暗号資産取引の確定申告の流れ

暗号資産の確定申告は大まかに以下のような流れで行います。

2021年度の所得税の確定申告期間は2022年2月16日(水)~2022年3月15日(火)ですので、期限内に申告書の提出をする必要があります。(※2)

①損益計算
②経費集計・所得計算
③確定申告書の作成・提出
④納税

※2 2021年度の確定申告期間は例年のようにコロナ禍の影響による公式な延長は行われていませんが、申告書の余白等に新型コロナウイルスの影響により延長を申請する旨を記載する等の方法によって申告・納付期限を2022年4月15日まで延長申請することができます。

①損益計算

まずは、暗号資産取引によって生じた正確な利益額(または損失額)を計算します。

株式投資やFXでは、基本的に利用している口座内で自動的に損益額が算出されます。暗号資産取引においては、取引所が発行する年間取引報告書などに記載されている損益額をそのまま確定申告に利用できないケースが多い(※3)ため、基本的には投資家自身で計算を行う必要があります。

暗号資産取引によって発生した損益は以下の方法で計算することができます。

●国税庁の暗号資産の計算書を利用(無料)

口座数・取引件数の少ない投資家向け

●Gtaxなどの損益計算ツールを利用(無料~数万円)

全投資家向け

●税理士への依頼(10万円~)

利益額が大きく税務リスクを軽減したい方、費用をかけてでも手間や時間を節約したい方向け

エクセルなどの表計算ソフトを使って自己流で利益額の計算をする方が多く見受けられますが、正確に計算するにはある程度の知識が必要で、計算方法を間違えていた場合は翌年以降の利益計算にも影響するためおすすめできません。上記3つの方法のうちからご自身の状況・予算にあった方法で計算することをおすすめします。

※3「利用している取引所が1ヶ所のみである」「移動平均法での利益額の算出はできない」といった制限はありますが、損益報告書の情報をもって確定申告ができるケースもあります。

②経費集計・所得計算

暗号資産取引による所得が分類される雑所得は、「総収入金額 – 必要経費」で求められます。そして、暗号資産取引を行うために行なった支出は、必要経費として認められる可能性があります。

経費として認められれば税負担を軽くすることができるので、経費の集計は必ず行いましょう。経費として計上できる主なものとしては、取引に使用したパソコンの購入費やインターネット回線費用、マイニング機材などが挙げられます。これらを経費として計上する場合は、漏れなく集計しておきましょう。

なお、経費として認められるのは暗号資産取引に直接要した支出に限定されるため、上記の例にあるような支出でも、他の用途に利用している場合には按分計算をして、暗号資産取引に係る金額のみを集計しなければいけない点に留意が必要です。

現状経費として認められるものは明確に定められていません。そのため、税務署や税理士といった専門家に相談することをおすすめします。

①で計算した暗号資産取引による損益額から、集計した経費の金額を控除した額が雑所得の金額になります。

③確定申告書の作成・提出および計算方法の届出

損益計算と経費の集計が完了したら、確定申告書の作成を行います。

確定申告書の作成には、税務署で入手できる紙の申告書を窓口や郵送等で提出するか、パソコンまたはスマートフォンでe-Taxを利用する2つの方法があります。

雑所得として暗号資産取引の確定申告を行う際には、取引所の「年間取引報告書」や「取引履歴」、その他損益・所得計算に利用した資料などを添付する必要はありません。しかし、万が一税務調査が入った場合は取引所の取引データなどを開示するよう求められる場合もありますので、計算の際に使用した取引データ等は大切に保存しておきましょう。

④納税

確定申告と同時に納税額が確定しますので、期日までに納税を行います。納税期限は、確定申告と同じ2022年3月15日(火)までです。

納税方法には税務署にある専門窓口での現金納付をはじめ、銀行口座から納税額が引き落とされる振替納税、QRコードを活用したコンビニエンスストアでの納付など様々な方法があります。

暗号資産の確定申告は余裕をもって行うことが重要

暗号資産取引の確定申告は、今回紹介したような手順を踏んで行う必要があります。

特に、損益計算は取引すればするほど複雑になり、不安に感じる方も多いですが、Gtaxのような損益計算ツールを活用することで手間や時間を大幅に節約することができます。

確定申告を初めて行う方は、いざというときに税務署や税理士に相談できるよう、余裕を持って早めに動き出しておくことをおすすめします。

(つづく:次回は「暗号資産の損益計算を行う3つの方法」)

→この特集「暗号資産の税金と確定申告」の他の記事を読む

寄稿

この記事は株式会社Aerial Partners(エアリアル・パートナーズ)の寄稿記事です。暗号資産(仮想通貨)の損益計算ツール「Gtax」はこちらから↓

面談な仮想通貨の損益計算ツール【Gtax(ジータックス)】

image/iStock:Photoplotnikov・kazuma-seki

この記事の著者・インタビューイ

Aerial Partners

設立2016年12月。ブロックチェーン企業の経営管理体制・経理財務フローの効率化を後押しするサービス『Aerial Data Management』の提供や、個人投資家向けの仮想通貨の確定申告をサポートする『Gtax』『Guardian』の提供、その他ファイナンシャルサポートを行う企業。

設立2016年12月。ブロックチェーン企業の経営管理体制・経理財務フローの効率化を後押しするサービス『Aerial Data Management』の提供や、個人投資家向けの仮想通貨の確定申告をサポートする『Gtax』『Guardian』の提供、その他ファイナンシャルサポートを行う企業。

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