最高値を記録したビットコインの次のフェーズ
10月26日のビットコイン(BTC)相場は-2,745ドル(-4.35%)の下落を見せました。価格は60,337ドルでクローズ。10/20日時点で記録した最高値(66,000ドル)から一息ついた状態で、短期的には60,000ドル、中期的には53,000-54,000ドルのサポートラインが支持されるかに注目が集まります。
マクロ市場ではここ数週間で複数のETFの発表(もしくは申請が進んでいます)。ProSharesのデビューを皮切りに、VanEckもBitcoin ETFを発表しており、今後手数料やサービスの多様化が進んでいくと見られます。9月に注目されていた中国不動産市場に対する不安視・リスクオフの動きは一旦落ち着いたように見えます。
先物市場
次に先物市場のデータを見ていきましょう。
先物市場ではビットコインのOI(オープン・インタレスト)が最高値領域まで回復してきており、本格的にブル市場が始まっています。
イーサリアムにおいては、ここ数日で最高値を記録しました。短期的なレバレッジの高騰・ボラティリティに注意が必要になってきます。
ファンディングレート(資金調達手数料)も過去1ヶ月で明らかに上昇傾向にあります。市場が高いレベルの水準にある時は、連鎖的なロスカットによる価格の大幅な下落も起こりうるので、リスク管理がさらに重要になるでしょう。
ブロックチェーンのデータ
次にブロックチェーンの動きを見ていきます。マイニングのパワーシフトと、直近の長期保有者の動きについて面白い変化がありました。
9月に暗号資産(仮想通貨)関連事業が禁止された中国では、ビットコインマイニングのハッシュパワーが激減しており、その代わりアメリカを中心に指数の増加が確認できます。
今後アメリカを中心にビットコイン保有者が増えると、分析手法なども変わってくるため、興味深い部分です。
また、ブロックチェーンの分析ツールGlassnodeでは、直近の最高値更新で、長期保有者がコインを手放し始めていることを報告しています。
とはいえ、年初からの上昇相場で見られたように、現状スマートマネーと呼ばれる長期保有者含め、多くの投資家がコインを保有している状況であり、ブロックチェーンの動きではリスクが少ないと言えるでしょう。
テクニカル指標
最後に簡易的にですがテクニカル指標を見ていきます。
200日移動平均線では引き続き買い優勢となります。RSI(相対力指数)は56でクローズ、一旦加熱した市場が落ち着き始めている状態です。MACD(移動平均収束拡散手法)はクロスアンダーになり、今後価格の戻しがどの水準で収まるのかが注目されます。
著者プロフィール
Haegwan Kim (キム ヘガン)
Coinbase Japan マーケティング部長 兼 事業戦略リード
2010年、英国Warwick大学に在学中、ウェブメディア「Law of Success 2.0」を創刊。ノーベル賞受賞者やForbes500企業CEO含む著名人へのインタビューを実施、世界的注目を集める。Square, Revolutなど国際的なFintech企業の日本市場戦略・マーケティングにおけるマネジメント職を経て、Coinbase Japanに2020年より参画。同社GTM・事業成長戦略、マーケティング、PRなどを統括。Bitcoin開発の世界的ニュースレターBitcoin Optechのアジア担当。
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