今週もSBI VCトレード提供の暗号資産(仮想通貨)に関するウィークリー・マーケットレポートをお届けします。
10/18~10/24週のサマリー
- 週半ばに8万4,800ドル近辺まで反発後、AI関連株の急落と中東情勢の緊迫化で反落。24日に9月18日以来の8万ドル割れ
- 米ビットコイン現物ETFは22日に6億3,550万ドルの純流出。単日では6月25日以来の大きさ
- PHPの重大な脆弱性「PHP2Shell」で国内外のサービスが相次ぎ停止。(暗号資産関連の被害報告は現時点でなし)
暗号資産市場概況
10/18~10/24週におけるBTC/JPYの週足終値は前週比▲1.6%の12,599,900円、ETH/JPYの週足終値は同▲2.43%の366,665円(※終値は10/24の当社現物EOD[10/25 6:59:59]レートMid値)。
先週の暗号資産市場は、AI関連株の急落と中東情勢の緊迫化を背景に、週前半の上昇から一転して下落基調を強める一週間となった。
週初の19日は、原油価格の反落を受けてリスク資産が買い戻され、ビットコインは82,000ドル台で推移した。米国のビットコイン現物ETFには約5.2億ドルが流入し、Strategyも5週連続で267 BTCを追加取得したと発表した。20日には、カタールとパキスタンが米国とイランの双方に対し、和平協議の再開に向けた妥協案を提示し、両国が前向きな反応を示したとの未確認報道が伝わった。仲介関係筋の情報に基づくもので、正式な合意は確認されていないものの、地政学的緊張の緩和期待からビットコインは上昇した。さらに21日には、AI関連株の反発も追い風となり、84,000ドル台後半まで上値を伸ばした。
22日、相場の流れは一変した。主要ハイテク企業の決算を受け、AI関連の巨額設備投資に対する警戒が再燃。ナスダック総合指数は2.60%安、SOX指数は約6.7%安となり、ビットコインも連れ安となって81,000ドル台前半まで下落した。米ビットコイン現物ETFも6億3,550万ドルの純流出となり、単日では6月25日以来の大きさとなった。
今回の株安はAIブームの終焉というより、投資規模の大きさを評価する局面から、投資回収力やキャッシュフロー、資金調達力を厳しく選別する局面への移行と考えられる。Metaでは設備投資が営業キャッシュフローを上回り、フリーキャッシュフローがマイナスに転じた。同社の5年物CDSスプレッドが過去最高水準まで拡大したことも警戒された。今後はAlphabetやMicrosoftなどの決算でも、巨額投資に見合う利益やキャッシュフローをいつ回収できるかという資本効率が焦点となる。
また、同日に米国とイスラエルの軍が米中間選挙後のイラン攻撃再開に向けた計画を策定しているとニューヨーク・タイムズが報じた。同報道を受け、週末にかけてさらに中東情勢の緊迫化や原油供給への懸念も強まった。
24日には、イランが米国人を標的とした攻撃の準備を進めているとの情報を受け、米政府が中東の一部の大使館・基地で要員の削減を進めていると報じられた。週末で市場流動性が細るなか、ビットコインは8万ドルを割り込み、25日未明には79,000ドル台前半まで下落。地政学リスクを嫌気した売りが引き金となり、週を通じて積み上がっていたロングポジションの清算が連鎖した。2時間の清算額はCoinGlassによると約1.5億ドルに達した。
原油価格も週を通じて水準を切り上げ、ブレント原油は23日に116.72ドルと約6カ月ぶりの高値を付けた。米インフレ再燃への警戒が続くなか、市場では12月の追加利上げ観測が7割を超える水準で織り込まれている。株安や原油高に加え、ETF流出、レバレッジ解消が同時に進んだことが、週後半のビットコイン下落を増幅させたとみられる。
今週はFOMC、ECB、日銀の金融政策決定会合に加え、米GDP・PCE物価指数やAlphabet、Microsoftなどハイパースケーラー大手の決算も相次ぐなど、市場の注目材料が集中する一週間となる。AI投資の収益化や資金負担、インフレ再加速、中東情勢に伴う原油高が市場の焦点となるほか、米中間選挙を控えた政策動向にも注目が集まる。ビットコインは、8万ドルの節目を維持できるかどうかに加え、米国現物ETFの資金流出の改善、AI関連株の動向、金融政策に対する市場の織り込みがどのように変化するかといった点がポイントになる。
1) BTC/USD週間チャート(30分足)

2) BTC/JPY週間チャート(30分足)

3)米BTC現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計(週足)、BTC価格

4)米ETH現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計(週足)、ETH価格

5)米XRP現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計(日足)、XRP価格

10/18~10/24週の主な出来事

10/25~10/31週の主な予定

【今週のひとこと】 PHPの深刻な脆弱性
2026年10月21日、世界のWebシステムの基盤を揺るがす重大なセキュリティ事案が発生しました。プログラミング言語「PHP」において、外部からのリモートコード実行を可能にする最悪レベルの脆弱性2件が公表されました。世界のWebサイトの約7割がPHPで構築されているため、国内外の重要インフラや商業サービスが一時停止に追い込まれるなど、社会的に極めて大きな混乱が生じています。
今回発見された脆弱性は、PHPの内部処理に10年以上前から潜んでいたものです。悪用された場合、攻撃者は特別な権限を持たずにサーバー内で任意のコマンドを実行(乗っ取り)でき、機密情報の窃取やシステムの破壊が可能となります。特筆すべきは、この歴史的な欠陥が「AI」によって突き止められた点です。米国のセキュリティ企業がOpenAIの最先端生成AI「GPT-5.6 Sol」を用いたコード解析を行ったことで発見されました。AIによる脆弱性検知の有効性が実証された事例である一方、正式公表の直前に再現コード(PoC)や一部の機密情報がネット上へ流出する事態も重なり、防衛側の対応は時間との戦いとなりました。脆弱性の公表を受け、安全確保を目的としたサービスの一時停止や緊急メンテナンスが世界中で相次ぎました。
日本国内では、高市首相がSNSを通じて夜間の緊急対応を呼びかける異例の事態となりました。これに伴い、気象庁や大手地方銀行、大手百貨店、自治体の公式サイト、さらにはECプラットフォーム「BASE」などが一時的にアクセスを遮断しました。世界規模ではオンライン百科事典「ウィキペディア」も一時メンテナンスに入るなど、市民生活や経済活動に直接的な影を落としています。一方で国内大手ホスティング事業者は、発生直後からサーバー側での自動パッチ適用を進め、被害の最小化に奔走しました。
PHP開発チームは10月21日23時(日本時間)、脆弱性を修正した緊急アップデート版をリリースしました。現在サポート内にあるバージョンを利用している運営者は、直ちにこれらを適用する必要があります。最大の懸念点は、公式サポートがすでに終了している古いバージョンの扱いです。これらには公式パッチが提供されないため、早急な最新バージョンへの移行か、WAF(Webアプリケーションファイアウォール)による通信遮断といった個別の緩和策の徹底が急務となっています。
今回の「PHP2Shell」問題は、AI時代におけるサイバーセキュリティのあり方を再定義する事件となりました。AIは強力な防御のツールとなる反面、攻撃者にとっても強力な武器になり得ます。また、インフラ化した古いシステムの維持管理という、現代IT社会が抱える構造的なリスクを改めて浮き彫りにしました。今後もシステムの迅速なアップデート体制と、本件に便乗したフィッシング詐欺等への警戒が強く求められます。
このレポートについて
国内の暗号資産(仮想通貨)取引所「SBI VCトレード」提供の週間マーケットレポートです。毎週月曜日に最新のレポートをお届けします。
<暗号資産を利用する際の注意点>
暗号資産は、日本円、ドルなどの「法定通貨」とは異なり、国等によりその価値が保証されているものではありません。
暗号資産は、価格変動により損失が生じる可能性があります。
暗号資産は、移転記録の仕組みの破綻によりその価値が失われる可能性があります。
当社が倒産した場合には、預託された金銭及び暗号資産を返還することができない可能性があります。
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秘密鍵を失った場合、保有する暗号資産を利用することができず、その価値を失う可能性があります。
暗号資産は支払いを受ける者の同意がある場合に限り、代価の支払いのために使用することができます。