今週もSBI VCトレード提供の暗号資産(仮想通貨)に関するウィークリー・マーケットレポートをお届けします。
9/6~9/12週のサマリー
- BTCのサイドチェーン「リキッドネットワーク(Liquid Network)」から約4,000 BTCが流出
- 中東情勢の悪化によりWTI原油先物価格は104ドル台まで急騰
- PPI・CPIを経て、FRBの9月「追加利上げ」観測が9割近くに急浮上
暗号資産市場概況
9/6~9/12週におけるBTC/JPYの週足終値は前週比▲4.88%の11,873,950円、ETH/JPYの週足終値は同▲0.25%の387,920円(※終値は9/12の当社現物EOD[9/13 6:59:59]レートMid値)。
週初、BTCのサイドチェーン「リキッドネットワーク(Liquid Network)」から約4,000 BTCが流出したことが報じられた。その後、約3,400 BTCは返還されたものの、残る約600 BTCが未返還の状態となっており、市場では流出資金の市場売却(ダンピング)への懸念が広がり、ビットコインは下値を切り下げる展開となった。
さらに、9日にイラン革命防衛隊が米国の船舶10隻を攻撃したとの報道が伝わり、翌10日にはイラン当局が戦争激化に備える姿勢を表明。EIA(米エネルギー情報局)が「世界の石油在庫は年初から約4億バレル減少しており、中東の供給減は年末まで継続する」との見通しを示したほか、サウジアラビアの原油生産量が1990年以来の水準まで急減したことが判明した。これら中東情勢の悪化によりWTI原油先物価格は104ドル台まで急騰し、世界的なインフレ再燃圧力を急速に高める結果となった。
エネルギー価格が高騰するなか、米国債市場では10年債・30年債の入札自体は堅調だったものの、財務省によるバイバック(国債買い入れ)動向が重しとなった。バイバック設定枠が従来比3倍に拡大された一方で、実際の購入金額が52億ドルにとどまり、「あらゆる国債を無制限に買い支えるわけではない」との冷ややかな見方が広まったことで、金利の上昇圧力を抑制しきれなかった。
こうした背景のもと、米生産者物価指数(PPI)の発表後には市場における次回FOMCでの25bp利上げ予想確率は約60%から約68%へ上昇。米10年債利回りが5%近くまで急上昇したことがリスク資産全般への下押し圧力となり、BTCは76,500ドル付近まで下落した。
11日発表の米消費者物価指数(コアCPI)が前月比0.3%(市場予想0.2%)と上振れたことで一時76,000ドルまで急落。しかしその後、週を通じて下げが続いていた株式市場で週末に向けた買い戻しの動きが入ると、暗号資産市場でも急激なショートカバーが入り80,000ドル付近まで急反発した。しかし最終的には、金利先物市場で次回FOMCでの追加利上げ確率が87%まで急上昇したことが嫌気され、市場の楽観ムードは霧散。77,000ドル付近へと押し戻される形での越週となった。
米金融引き締めへの警戒感を背景に、これまで力強い買い圧力を提供していたビットコイン現物ETFの資金流入がストップし、先週は4営業日連続の資金流出となった。マクロ環境の不透明感を前に、大口の機関投資家がポジションを一時的に縮小・ヘッジしている動向が確認できる。
今週開催されるFOMCでは、25ベーシスポイントの利上げ実施が80%台後半まで織り込まれており、利上げ自体はほぼ確実視されている。過度な将来予測の提示(フォワードガイダンス)を避ける傾向にあるウォーシュFRB議長が、記者会見で追加利上げの可能性や今後のインフレ見通しについてどのようなトーンで言及するかが焦点となる。
また、18日(金)には日銀の金融政策決定会合も控えており、こちらも追加利上げの実施自体はほぼ織り込み済みとなっていることから、市場の関心は「さらに次の利上げ(連続利上げ)に向けたタイミングやペースについてどのような示唆が得られるか」へ集中している。
さらに規制面では、米議会で暗号資産市場の管轄権や商品・証券の区分を明確化する「クラリティ法案(Digital Asset Market Structure / Clarity Act)」の採決動向にも注目が集まっている。法案成立に向けた超党派の調整が進むなか、採決の可否や修正条項の内容次第では業界の法規制上の不透明感が一気に解消される期待がある一方、議事進行の遅れや難航が伝えられれば市場の重しとなる可能性があり、マクロイベントと併せてその展開を慎重に見極める必要がある。
1) BTC/USD週間チャート(30分足)

2) BTC/JPY週間チャート(30分足)

3)米BTC現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計(週足)、BTC価格

4)米ETH現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計(週足)、ETH価格

5)米XRP現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計(日足)、XRP価格

9/6~9/12週の主な出来事

9/13~9/19週の主な予定

【今週のひとこと】Liquid Networkから約4,000BTCが不正流出
先週、BitcoinのサイドチェーンであるLiquid Networkで、約4,000BTC(当時約3.2億ドル)が不正に引き出されるという大規模なインシデントが発生しました。攻撃者は、対応するBTCを入金することなく約4,000L-BTCを不正に生成し、それをBitcoinへ交換することで、Liquid Federationのウォレットから実際のBTCを引き出したとされています。
今回の事件で特に注目したいのは、BTCそのものの秘密鍵が盗まれたわけではない点です。Liquidでは複数の参加者による署名を必要とする仕組みが採用されていますが、今回はその仕組みを直接突破するのではなく、L-BTCの生成・検証に関わるソフトウェアの脆弱性が悪用されました。つまり、「BTCを保管する金庫」が破られたというよりも、「どれだけのL-BTCが正当に存在するのかを判断する仕組み」が悪用された形です。
注目に値するのは、その後の展開です。攻撃者は自らを「ホワイトハッカー」と称し、脆弱性の修正を条件に資金を返還すると主張。実際に約3,400BTCが返還された一方、約600BTCは現在も未返還となっています。
LiquidのようなサイドチェーンやL2は、Bitcoin本体では難しい高速な取引や多様な金融機能を実現する一方、その利便性の裏側には、ブリッジやトークン発行、検証ロジックなど新たな技術的リスクが存在します。
今回の事件は、暗号資産の「安全性」を考える際に、単に「Bitcoinだから安全」「マルチシグだから安全」と考えるのではなく、どのような仕組みで価値が裏付けられ、誰がその仕組みを運用し、どこにリスクが集中しているのかまで確認することの重要性を改めて示した事例と言えるでしょう。
このレポートについて
国内の暗号資産(仮想通貨)取引所「SBI VCトレード」提供の週間マーケットレポートです。毎週月曜日に最新のレポートをお届けします。
<暗号資産を利用する際の注意点>
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暗号資産は、価格変動により損失が生じる可能性があります。
暗号資産は、移転記録の仕組みの破綻によりその価値が失われる可能性があります。
当社が倒産した場合には、預託された金銭及び暗号資産を返還することができない可能性があります。
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