COLDCARD向けセキュリティ更新を公開
ビットコイン(Bitcoin)専用ハードウェアウォレット「コールドカード(COLDCARD)」のMk4・Mk5・Qの標準版ファームウェア向けセキュリティ更新が公開された。同ウォレットを開発するコインカイト(Coinkite)が8月20日に発表した。
同社は今回、テンキー型のMk4・Mk5向けファームウェア「5.6.1」と、キーボードを搭載するQ向け「1.5.1Q」への更新を強く推奨している。この更新は、7月31日の緊急修正版公開後に行われた約3週間にわたる継続的なレビューを反映したものだという。
今回のセキュリティ更新では、シード生成や取引承認、USB経由のデータ処理、ファームウェア更新時の検証処理、強要時などを想定した防御機能「デルタモード(Delta Mode)」、ウォレットのバックアップなどに関連する複数のセキュリティ対策と不具合修正が加えられた。なお、これらには元のシード生成不具合とは無関係の修正も含まれている。
また、新たにウォレットの秘密情報の基となるマスターシードを生成する際には、ユーザー自身によるエントロピー(予測しにくい乱数の材料)の入力が必須となった。ユーザーは、不規則なタイミングでキーを65回以上押す、物理的な6面サイコロを50回振る、または物理的なコインを128回投げる、のいずれかを行う必要がある。ユーザーが入力したエントロピーは、端末のハードウェア乱数生成器や2つのセキュアエレメントから得られるエントロピーと組み合わせられる。
さらに、USB接続による取引承認については、コールドカードが署名の直前に、署名に必要な取引データを受け渡すための標準形式であるPSBTを再検証する仕組みが導入された。ユーザーが端末上で取引内容を確認した後、接続先のホストがPSBTを書き換えた場合、コールドカードは署名を中止するという。同社は、この問題を侵害されたUSB接続先を前提とする理論上の脆弱性と説明している。このほか、乱数生成経路についても検証が強化された。
なお、ファームウェアを更新するだけでは、影響を受けるファームウェアで生成済みのシードは安全にならない。コインカイトは、該当するシードが現在も資金を管理しているユーザーに対し、修正済みファームウェアを導入したうえで新しいシードを生成し、新しいウォレットを確認してから資金を移すよう案内している。
対象となるのは、Mk2・Mk3のファームウェア「4.0.1」から「4.1.9」、Mk4・Mk5の標準版「5.6.0」未満またはEdge版「6.6.0X」未満、Qの標準版「1.5.0Q」未満またはEdge版「6.6.0QX」未満で生成されたシードだ。
ただし、シード生成時に公正かつ独立した物理的なサイコロを50回以上振り、その入力内容が記録・漏えいしていない場合、同社は今回の乱数生成問題だけを理由に、そのシードが危険にさらされているとはみなしていない。また強固で固有のBIP-39パスフレーズは当面の防御となるが、影響を受けたシード自体を修復するものではなく、同社は可能な限り早い移行を推奨している。
なお今回のセキュリティ更新は、コールドカードのシード生成に関するインシデントを受けたものだ。同社によると、シード生成の不具合が攻撃者に悪用され、一部の顧客に深刻な金銭的損失が生じたという。
同社の技術説明によると、この不具合はハードウェア乱数生成器の故障ではなく、ビルドおよびリンク処理の問題により、本来のハードウェア乱数生成経路ではなく、マイクロパイソン(MicroPython)の汎用疑似乱数生成器「ヤスマラン(Yasmarang)」が使用されていたことに起因する。
コインカイトは7月30日にこの問題を公表し、翌31日に各機種・リリース系統向けの緊急修正版を公開。その後、8月2日と4日に調査や顧客対応に関する続報を発表した。8月20日時点では、法執行機関が窃盗について捜査を継続し、責任者の特定を進めており、コインカイトも捜査に協力しているという。
COLDCARD’s seed path is layered and inspectable. [At boot](https://t.co/5TiIKeumBY), firmware reads 32 bytes from SE1 and eight bytes from SE2, hashes them, and reseeds libngu’s generator. [Libngu uses SHA-256 Hash_DRBG](https://t.co/hFTm5VI0at): it begins with 128 bytes from the…
— COLDCARD (@COLDCARDwallet) August 20, 2026
参考:コインカイト
画像:PIXTA