SECがデジタル資産規制の明確化へ
米証券取引委員会(SEC)が、2026〜2030会計年度の戦略計画案(Draft Strategic Plan)を6月2日に公表した。
同計画案では、デジタル資産および分散型台帳技術向けの規制基盤整備が重点目標の一つとして掲げられた。ポール・アトキンス(Paul S. Atkins)委員長体制のSECが、暗号資産(仮想通貨)市場に対してどのような規制方針を取るのかを示した初の包括的な戦略文書となる。
近年のSECは、前委員長のゲイリー・ゲンスラー(Gary Gensler)氏の下で、暗号資産企業に対する相次ぐ執行措置を実施してきた。一方で業界からは、明確なルール整備がないまま執行によって規制範囲が拡大しているとの批判も上がっていた。
今回の計画案では、SECがデジタル資産向けの「合理的で整合性があり、原則に基づく規制基盤」の整備を目指すと明記した。
具体的には、デジタル資産に対する証券法の適用範囲の明確化に加え、トークン化証券による資金調達、オンチェーン金融インフラ、カストディ、取引サービス、ステーキングサービスなどに対する法的な明確性の提供を目標として掲げている。
また同計画案では、商品先物取引委員会(CFTC)との管轄整理も目標の一つとして盛り込まれた。暗号資産市場では、どの資産やサービスをSECとCFTCのどちらが監督するのかが長年の論点となっている。
今回の計画案で特に注目されるのが、規制実務に関する記述だ。SECは、詐欺や市場操作など既存法令違反への対応を重視する一方、「その場限りの執行措置(ad hoc enforcement actions)」によって規制範囲を拡大する手法から距離を置く方針を示した。
アトキンス委員会は、企業や業界団体との対話を拡大し、市場参加者のコンプライアンス対応を支援するとともに、既存規則の定期的な見直しも進めるとしている。
これらの方針は、執行を中心としたゲンスラー前委員長時代の規制運営から、ルール整備を重視する方向への転換を示唆する内容と受け取れる。
また同計画案では、SEC自身の業務効率化に向けた技術活用についても触れられた。同委員会は、人工知能(AI)やブロックチェーン技術について、監督業務の効率化やコスト削減、新たな分析能力の向上につながる可能性があるとの認識を示している。
なお今回の文書は具体的な規則案ではなく戦略計画案だ。SECは7月2日までパブリックコメントを受け付けるとしている。