今週もSBI VCトレード提供の暗号資産(仮想通貨)に関するウィークリー・マーケットレポートをお届けします。
3/1~3/7週のサマリー
- イラン最高指導者ハメネイ師、アメリカとイスラエルによる攻撃で死亡
- Kraken、米連邦準備制度理事会(FRB)の口座を取得、暗号資産界として史上初の快挙
- 日本銀行、ブロックチェーン活用の当座預金決済実験に着手
- フロリダ州、ステーブルコイン法案可決、全米初
暗号資産市場概況
3/1~3/7週におけるBTC/JPYの週足終値は前週比+2.16%の10,658,050円、ETH/JPYの週足終値は同+1.64%の311,170円であった(※終値は3/7の当社現物EOD[3/8 6:59:59]レートMid値)。
先週の暗号資産市場は中東地域での紛争の激化やCLARITY法案の進展等に着目した取引によって値動きが乱高下しながらも週次では上昇しての着地となった。
1日、イスラエルがイランの最高指導者ハメネイ氏が死亡したと主張、トランプ米大統領もこれに続き、イラン国営放送がこれを認めると、事態は沈静化に向かうとの期待もあり、ビットコインは66,000ドルから68,000ドルへと上昇。
先週から動向に注目が集まっていたCLARITY法案をめぐる交渉については、ホワイトハウス暗号資産評議会のパトリック・ウィット事務局長が設定した3月1日の合意期限が不発に終わった。銀行業界と暗号資産界の間でステーブルコインの利回り問題が折り合わず、協議は未だ継続中である。上院銀行委員会は3月中旬から下旬の審議日程を検討中とされており、再挑戦に向けて前向きな動きもあった。
トランプ米大統領は4日、自身のTruth Socialへの投稿を通じて、銀行業界が暗号資産分野の規制整備を妨害していると激しく批判、CLARITY法案の早期成立を改めて要求するとともに、米国を世界的な「暗号資産の首都」にする決意を改めて示した。
これに市場は好感、さらに5日にはアメリカのISM非製造業総合景況指数が2022年半ば以来の高水準となったことや、非製造業指数の仕入れ価格が約1年ぶりの低水準となりインフレ圧力が和らいだことが示唆され、米国株式市場が上昇、連れ高して暗号資産市場も上昇、ビットコインは約3,000ドル急騰して一時74,000ドルに乗せた。
しかし6日、カタールは紛争が続けば今月中に原油価格が1バレル当たり150ドルに達し得ると警告、これを受けて原油価格は2年ぶりの高値まで急騰し、1バレル当たり90ドルを突破、金利見通しの悪化やドル高が重しとなり米国株式市場は下落、連れ安となる形でビットコインは3%超下落、70,000ドルを割れたまま1週間を終えた。
オンチェーンデータ分析企業Glassnodeによると、ビットコインは70,000ドル以下に最大の保有クラスターが存在し、過去1カ月で投資家は約23万BTCをこの価格帯で取得している。この短期勢の利確売りを吸収できる需要の強さがあれば、ビットコインは70,000ドルを維持、明確な底打ちからブレイクアウトに向けて勢いを取り戻す可能性もあるだろう。
そしてこのシナリオの実現可能性を左右するのはアメリカの金融政策になると考えられる。暗号資産界の著名投資家であり元BitMEX CEOのアーサー・ヘイズ氏は3月2日、自身のSubstackニュースレターで、米国の中東介入が長期化すると、金融政策にまで影響が及び、結果としてビットコインやリスク資産が恩恵を受ける可能性があると指摘。
実際、1990年の湾岸戦争では油価上昇と景気不透明感を背景にFRBが利下げに動いた時期があり、2001年の同時多発テロ後もアラン・グリーンスパン議長の下、緊急利下げが実施された事例もあるとされる。これらは、経済下振れリスクへの対応として中央銀行が金融緩和に踏み切った歴史的パターンとして提示された。もしも同様の対応がとられた場合にはドル流動性の増加と金利低下がビットコインのような希少資産を強化する可能性があるという。
もちろん必ずしも先述のような展開になるとは限らず、金融不安がシステム全体に波及した場合にはビットコイン特有のリスクもある。ビットコインは24時間365日取引可能で即時決済ができるため、金融ストレスが発生した際には、投資家が「売却したい資産」ではなく「売却できる資産」として真っ先に処分する対象になり得るのだ。過去の事例では2020年3月のコロナショック時にビットコインが1日で約50%急落したが、これは基金や機関投資家が証拠金維持や解約対応のために最もアクセスしやすいリスク資産を売却した結果であった。
無論、このストレスによってFRBが利下げや金融緩和に動くとの期待が高まれば、ビットコインはリスク資産の中で最も早く反発するアセットクラスになる可能性も秘めている。中東情勢と関連する様々なリスクをFRBがどのように判断するのか、ここには常に視点を置いておきたい。
今週はFRBの態度を決める重要な材料として米2月消費者物価指数(CPI)の発表がある。発表当日は併せて連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーであるボウマン氏の発言にも注目だ。
依然として地政学的リスクという不透明要素は残るものの、現在のビットコイン価格は全ホルダーの平均取得価格である約55,000ドルに接近しており、歴史的なバリュエーションから見て積み立てに適した「バリューゾーン」に入りつつあるとの意見がある。市場の構造的な指標は回復局面の前兆を捉えている可能性もある。今こそ運用戦略を練り直し、臨機応変にこの相場を乗り切りたい。
1) BTC/USD週間チャート(30分足)

2) BTC/JPY週間チャート(30分足)

3)ビットコイン現物ETFの資金流入出と運用資産残高合計、ビットコイン価格

4)イーサリアム現物ETFの資金流入出と運用資産残高合計、イーサリアム価格

3/1~3/7週の主な出来事

3/8~3/14週の主な予定

【今週のひとこと】 Krakenの米連邦準備制度理事会(FRB)のマスターアカウントの確保について
3月4日、ワイオミング州に本拠地を置く暗号資産取引所Krakenの完全子会社であるKraken Financialが、米国の中央銀行であるFederal Reserveの決済ネットワークに直接アクセスできる「マスターアカウント」を取得したことが発表されました。暗号資産企業が連邦準備制度の決済インフラへ直接接続するのは今回が初めてとされており、伝統的金融との関係における発展として注目されています。
マスターアカウントを取得することでKrakenは、銀行による仲介を必要とせずにドル決済を行うことが可能になります。これは、仲介することによる決済手数料や取引完了までの時間短縮により資金移動が効率化され、コスト削減することにつながります。ただし、Kraken Financialは一般的な銀行とは異なり、預金を100%準備金として保有し融資を行わない「SPDI(特別目的預金機関)」という形態の金融機関です。つまり、今回のマスターアカウントもFRBの融資制度にはアクセスができず、決済のみを可能とした限定的なものとなっています。また、今回の承認は1年間の試験的措置とされており、FRB理事のウォーラー氏が提案している「スキニー・マスターアカウント」と呼ばれる新しい制度構想の一例とみられています。この構想は、銀行以外の金融機関にも中央銀行の決済サービスへ限定的なアクセスを認めることで、決済分野の競争促進やイノベーションを後押しすることを目的としています。
英国や欧州では、既に一部のノンバンクが中央銀行の決済システムにアクセスできる事例があります。今回の措置は試験的な性格を持つものの、米国内の決済分野における競争の強化や消費者の利便性・選択肢の拡大につながる可能性があります。これは、銀行以外の金融機関が競争力を高めることで、より顧客に優れた商品やサービスを提供する基盤が整うことにもつながるからです。加えて、暗号資産業界は法制度の整備が進む過程にあり、伝統的金融との関わり方においても本事例はより深いステップを踏んだと整理できるのではないでしょうか。
このレポートについて
国内の暗号資産(仮想通貨)取引所「SBI VCトレード」提供の週間マーケットレポートです。毎週月曜日に最新のレポートをお届けします。
<暗号資産を利用する際の注意点>
暗号資産は、日本円、ドルなどの「法定通貨」とは異なり、国等によりその価値が保証されているものではありません。
暗号資産は、価格変動により損失が生じる可能性があります。
暗号資産は、移転記録の仕組みの破綻によりその価値が失われる可能性があります。
当社が倒産した場合には、預託された金銭及び暗号資産を返還することができない可能性があります。
当社の取り扱う暗号資産のお取引にあたっては、その他にも注意を要する点があります。お取引を始めるに際しては、「取引約款」、「契約締結前交付書面」等をよくお読みのうえ、取引内容や仕組み、リスク等を十分にご理解いただきご自身の判断にてお取引くださるようお願いいたします。
秘密鍵を失った場合、保有する暗号資産を利用することができず、その価値を失う可能性があります。
暗号資産は支払いを受ける者の同意がある場合に限り、代価の支払いのために使用することができます。