ビットコイン(BTC)が週で約30%上昇、一時昨年6月の水準まで回復(暗号資産 週間マーケットレポート 3/20号)

3/12~3/18週のサマリー

  • BTC/JPY価格は昨年6月水準まで回復。週間で約30%の上昇
  • クレディ・スイスやシグネチャー銀行といった金融機関を巡る不安が継続
  • 経済指標からインフレ懸念後退と景況感の悪化が進行していることが読み取れた
  • 週末にスイス金融大手UBSがクレディ・スイスの買収を発表

暗号資産市場概況

3/12~ 3/18週におけるBTC/JPYの週足終値は前週比+29.81%の3,594,800円、ETH/JPYの週足終値は同+17.91%の234,990円となった(※終値は3/18の当社現物EOD[3/19 6:59:59]レートMid値)。

週初の暗号資産市場は、米シグネチャー銀行の実質破綻などのヘッドラインはあったものの、米Circle社が通常通りUSDCと米ドルの1:1交換を実施したことにより、前週の不安を払拭し上昇に転じた。

週央はクレディ・スイスの筆頭株主であるサウジ・ナショナル銀行が追加出資をしないとの報道から不安が広がり、リスク性資産が下落した。翌日には、クレディ・スイスがスイス中銀から借り入れを行うという報道や、米金融機関11行が米ファーストリパブリック銀行に対して共同で4兆円規模を支援するといった報道受けて市場は落ち着きを取り戻す展開となった。

クレディ・スイスを始めとして欧州銀行株が下落していたことから、欧州中央銀行(ECB)の政策金利発表は従来よりも市場の関心が高いイベントとなった。結果は50bp(0.5%)の利上げを決定するも、声明文にあった将来の利上げを予告する文言が削除され、今後はデータ次第であることが強調された。足元の金融市場の動揺に対する対応と、将来のインフレ対応のバランスの為のシナリオ変更の有無は今週開催されるFOMCにおいても市場の関心事となっている。現時点での市場予想はFOMCで25bp(0.25%)の利上げとなっている。

金融機関を巡る報道が相次いだことで注目度が下がっていたが、先週は景況感や物価に関する指標が数多く発表された。これら指標全般から言えることは、インフレ懸念は後退しており景況感は悪化しているということだ。この状況下でリスク管理の甘い金融機関に問題が生じることはある意味当然のことであり、今後金融機関の貸し出しが減少することで、貸出先企業等に問題が波及していくことが予想されるため、注意が必要だろう。

先週は暗号資産、特にビットコインは約30%と大幅に上昇した。上昇した要因としては、前週末のステーブルコインを巡る事態の収拾がついたことでその巻き戻しによる反発や、人々がビットコインのルーツに立ち返ったためである可能性が考えられる。ビットコインは2008年に起こった金融危機への中央集権型組織による対応に反発し、中央銀行の意向では発行・管理することのできない分散型の価値保存手段として生み出された。金融機関を巡る不安が生じる中で、銀行の預金システムや発行体の存在するステーブルコインからの逃避先としてビットコインが選択されたのではないだろうか。

1:BTC/USD週間チャート(30分足) 

TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成

2:BTC/JPY週間チャート(30分足)

TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成

3/12~3/18週の主な出来事

3/19~3/25週の主な予定

今週のひとこと「dAppsGameFi

dApps」とは、ブロックチェーンを基盤にした分散型(非中央集権型)アプリケーションの総称で、企業によって情報の集約とサービス提供が行われてきた従来のアプリケーションとは異なり、ユーザー間で取引ルール、サービス内容の変更ができるため、柔軟性、公平性という点に長けています。広義にはUniswapCompoundのようなDeFi、狭義に は NFTマーケットプレイスであるOpensea、ゲームアプリのAxie Infinity等のアプリケーションが存在し、ブロックチェーン技術が基盤となっているため、 システムダウンが発生し難い、不正やデータ改ざんがされ難い、個人情報漏洩のリスクが低い、といった特徴を持ちます。

dAppsの領域の中で近年活況を呈している代表的な例としてゲームが挙げられます。 DeFi などは金融の知識がないと始めることに障壁がありますが、 ゲームであれば誰でも気軽に始められます。 「NFT ゲーム」 「ブロックチェーンゲーム」 などと呼ばれていたものが、近年では総称として「GameFi」と呼ばれています。

海外発の「Axie Infinity」が近年のGameFiの中では有名です。ゲームを遊びながらお金を稼ぐ 「Play to Earn」 という新しい遊び方を世の中に広く確立させました。海外では一時、プレイ収入で生計を立てている人も存在したほどです。

ゲームはdAppsに相性の良い領域だと考えられています。 ゲーム内通貨やアイテムなどの経済圏が既に存在しており、 ユーザーはそれらに 触れてきているので、 トークンやNFTを組み込んだ領域にも親和性を持って参入することができます。  ゲームであれば複雑なルールや、インセンティブを把握することに対してのハードルが下げられ、ゲーム感覚でDeFiの仕組みを理解できます。またアプリケーションなので、スマホアプリなどで手軽に利用できることも特徴です。そういった敷居の低さから世界的にdApps市場の中でのGameFiのシェアが拡大してきています。

日本においてはゲームの開発、運用方法や法整備などが諸外国と比較してまだ準備段階ではありますが、今後注目してもいい分野であると言えるのではないでしょうか。

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