暗号資産/ブロックチェーン業界「2026年の展望」page 2
山田耕三/Digital Entertainment Asset(DEA)

2026年は世界的にブロックチェーンの社会実装が金融領域を中心に、さらに進展し「ナラティブ」から「実益」へ移行が進みます。日本でも法規制の整備が進み、事業者が本気で挑戦できる環境が整いつつあります。
DEAは暗号資産発行体として新たにレイヤー1チェーン開発という大きな挑戦に踏み出します。Avalancheのテックスタックを活用するDEPチェーンは、AI市場をはじめとするtoB領域に向けた「人間証明・認証」に特化したブロックチェーンになります。人間由来データへの実需という明確な需要に基づき、トークン経済を実体経済と接続することを目指しています。
また、日本企業として新たなスタートを切り、2028年の東証上場を明確な目標に据えます。大企業や自治体と連携した「課題解決型ゲーム」の事業をさらに進展させ、エンターテインメントと社会貢献を高度に融合させた、日本発のグローバルWeb3ビジネスを確立してまいります。
村田卓優/グリーホールディングス

謹んで新年のご挨拶を申し上げます。2022年から始めたWeb3事業も今年5年目の節目に入ります。この5年で暗号資産相場は上下を繰り返しながらも着実な上昇トレンドになっております。
▼2025年はWeb3エンタメ業界全体が未曾有の荒波に揉まれ、多くの事業社が赤字拡大や事業撤退を余儀なくされた淘汰の一年でしたが、当社は事業利益を出し続けることで事業を継続することができました。
▼『クリプトキャッチ!釣り★スタ』のクローズという決断を下す一方で、常時新たな事業機会には積極的に耳を傾け、バリデーター事業を堅守し、トークン運用においては現金建てのキャップを設けるなど、徹底した規律で財務の健全性を維持することができました。嵐を耐え抜いた強固な基盤と、研ぎ澄まされた運営体制こそが、我々の最大の武器です。
▼新しい技術こそが新しい事業を創り出す基盤になると固く信じ、今年もブロックチェーンを回し続けます。
▼皆様、バリデータやりましょう。相場の上下に戸惑うことのないインフラの安定は、心と事業の安定に繋がります。
上野広伸/double jump.tokyo

弊社としては去年ゲーム事業を撤退し、今年は心機一転、新しい切り口で業界発展を支える立場です。
国内における大きな継続トレンドとしてはステーブルコインとDATがあり、グローバルにおいて今年トレンド拡大しそうなのはPerpDEXと予測市場でしょうね。このあたりの業界トレンドは他の方の意見をご覧ください。
違う観点でエンジニアとして感じた去年の大きな変化は「AIコーディング元年」だったことです。周りのイノベーターはこぞってAIコーディングしていましたね。今年はさらに「マジでコード触らなくても自然言語で要件を書けばちょっとしたアプリなら1時間もかからず作れる」が実現しそうです。こういう世界が来たら、はっきり言って認証と決済はweb3技術を使うのが圧倒的に楽です。どこかの会社にロックインされることなく、いつでもすぐに安定した仕組みをグローバル展開できるのですから。
期待をこめた見立てではありますが、みんながクリエイターになり得る世界において、認証(Wallet署名)や決済(ステーブルコイン)を必要とする人に提供できるような会社でありたいなと思っています。
小澤孝太/CryptoGames

2025年は、前代未聞とも言えるブロックチェーンゲーム(BCG)サービスの終了ラッシュの年となりました。2019年から約6年半にわたり運営してきた CryptoSpells も、その流れの中でサービスを停止させていただく運びとなりました。
一方で、ブロックチェーンを活用したゲーミフィケーションサービス自体の可能性は、今後も広がっていくと考えています。
実際に、1年前に開始したトレカRWA事業 「TCG STORE」 は、現在も堅調に成長を続けています。
2026年以降のエンタメ領域では、ブロックチェーンを活用した高い透明性を持つ(法令遵守を前提とした)ベッティングやガチャ型サービスがフックとなり、一般ユーザー向けサービスへとより自然に組み込まれていくと見ています。
すでに米国では Courtyard がマス層向けのプロモーションを開始しており、その流れは今後さらに加速していくでしょう。
CryptoGames は、日本が誇る世界最高峰のIPである ポケモンカードNFT領域 において、地の利を生かしながら、世界に通用する産業を築くべく、引き続き挑戦を続けてまいります。
原井義昭/Brilliantcrypto

年末の与党税制改正大綱において、ついに暗号資産の分離課税が明記され、金融商品取引法の改正とともに業界の歴史的転換点となっていくでしょう。今後は、厳格な投資家保護と、エコシステムの拡大(マスアダプション)をいかに高い次元で両立させるかが、最重要課題となります。
当社は、昨年デジタル宝石を用いて、ジュエリーデザイナーと製作した初のNFTジュエリー展示・販売イベント等に注力しました。2026年はデジタル宝石・ジュエリーの更なる市場拡大に注力していきます。また、上記の税制改正を追い風とできるよう、上場企業のグループ会社として、トークン発行体の高い透明性を維持しつつ、エコシステムの拡大に邁進してまいります。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
沼崎悠/FungibleX・YourRights

少し気が早いかもしれませんが、銀行などが本格的にStableCoinの開発や導入に踏み切った際に想定されるのは、企業サイドのブロックチェーンサービスが広がっていく元年になるのでは無いかという予測です。
P2Pの送金、DeFiと広がってきたクリプトの世界ですが、企業の資産運用としてDATという手法が広く使われ出したのが2025年で、株式や債券のトークン化が進むのと相まって2Bの世界で本格的にクリプトが使われだす流れが始まる可能性があります。
もう一つの流れは当然AIで経理や会計ジャンルを完全に自動化する際にクリプトでの決済や資産運用がセットになっていく世界は効率的であるとも言えます。
paji.eth/Tokyo Otaku Mode

明けましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願いします。
2026年は”プロ向けからの逸脱”が重要なテーマとなるでしょう。
ブロックチェーン技術も着実に進化し、世界を取り巻く市場のニーズや各国の法整備から、既存金融への活用、予測市場やRWAなど、プロ向けサービスは盛り上がることは確定的です。ただ、プロ向けではない一般向けの”マスアダプション”を考えると、特に国内市場では厳しい時期が続く可能性が高く、しばらく辛抱が必要となりそうです。
ただ、ブロックチェーンの技術的には、”マスアダプション”に向けたやさしいユーザー・エクスペリエンスを実現することは局所的に可能となってきています。
リスクも高く厳しい環境下での「新しい一般人向けサービス」が、業界全体としてどれくらいの本数を打てるかが、”プロ向けから逸脱”し、いち早く”マスアダプション”させるための足がかりになるでしょう。
天羽健介/Animoca Brands Japan

昨年米国では、トランプ政権においてGENIUS法やCLARITY法案に象徴される新たなルールが整備されました。日本においても、改正資金決済法以来の制度整備が進み、暗号資産仲介業が新たに制度化されることとなったほか、金融商品取引法の改正により申告分離課税の適用が明記されるなどの大きな変化が見られました。
またビジネス面においては上場企業が暗号資産を投資戦略に組み入れる新たな動きが注目を集めました。Animoca Brands Japanでは、昨年「デジタルアセット・トレジャリー・マネジメント支援事業」を始動し、購入から運用までさまざまな企業をサポートしています。もともとは米ストラテジー社がトレンドをリードしてビットコイン購入を推進し、国内上場企業も追随する戦略をとってきましたが、相場下落やnNAVの下方圧力により現在を切り取ると賛否両論です。
しかし、今後は米国と日本国内での取組企業においても暗号資産価格に対するヘッジや既存株主価値への毀損防止、保有だけでなく運用等、現状の課題を解決するストラクチャーを構築することで従来のスキームと差別化する形で独自に進化していくものと考えています。このような仕込みが2026年前半に行われ、後半10月頃には相場が底を打つような流れで相場の上昇と共に空気がよりポジティブに変わっていくとみています。またグローバルにおいては弊グループでもプラットフォーム準備中のRWA、国内においては暗号資産仲介業に注目です。
そして、我々Animoca Brandsグループは、シンガポールのAIフィンテック企業Currenc Groupとの合併により、ナスダックへの上場を目指していることを発表しました。ぜひこの動きにも注目いただけたらと思っています。
施井泰平/スタートバーン

あけましておめでとうございます。2026年もどうぞよろしくお願いいたします。
スタートバーンとして迎える2026年は、これまでアートなどの物理資産からデジタルNFTへとインフラを拡張してきた流れをさらに横展開し、社会実装を進めていく年になると考えています。
特に日本ではステーブルコインが徐々に認可され始め、国内の法制度が整い、公認のステーブルコインが流通しやすい環境が整いつつあります。この変化により、パブリックチェーンを活用することで得られる透明性や利便性が、より多くのユーザーや次世代インフラを担うAIエージェントにも広がり、ステーブルコインの活用も一段と拡大していくでしょう。
今年も皆さまとともに、こうした新たな動きを踏まえながら、ブロックチェーンの可能性を広げていけることを楽しみにしています。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
徳永大輔/SUSHITOPMARKETING

SUSHITOPMARKETING を創業してから、4年が経ちました。 創業当初、NFTやブロックチェーンを非金融領域、とりわけデジタルマーケティングで活用するという取り組みは、ニッチなものだと受け止められていたように思います。
しかし現在、当社は堅調に成長を続けています。生活者との新しい接点づくりにブロックチェーンを活用する取り組みは、着実に広がりを見せています。
クリス・ディクソン著『Read Write Own』 では、ブロックチェーンは、従来のインターネットが「木材」だとすれば、「鋼」に近い存在だと例えられています。木材でも建物は建てられますが、鋼を使うことで、より高く、より強固で、より公共性の高い建築物やインフラを実現できます。ブロックチェーンも同様に、より良いインターネットを構築するための、新しい建材であるという示唆です。
この「鋼の素材」をデジタルマーケティングの領域で活用することに、大きな可能性があると考えてきました。
その中でも象徴的な取り組みが、NFTの保有をファーストパーティーデータの新ジャンルとして捉える「トークングラフマーケティング」です。
どれほど新しく、先進的に見えるテクノロジーであっても、顧客や生活者にとっての本質的な価値を届けられなければ、いずれ淘汰されるでしょう。
2026年を見据えたとき、「web3か否か」「NFTか否か」といったラベルによる議論は、そもそも俎上に上がらなくなっていくのではないでしょうか。本質的な価値を生み出しているかどうか、その一点のみが問われる時代になると考えています。
ブロックチェーンは目的ではなく手段であり、素材です。その素材を用いて、どのような体験や関係性、経済を設計できるのか。 その問いに向き合い続ける姿勢こそが、2026年以降のブロックチェーン活用において、最も重要になると考えています。
miin/NFT情報コレクター

2026年、いまや「web3」や「NFT」は口にするのが少し気恥ずかしい言葉となりました。BAYCやPudgy Penguinsなどの主要PFPも、この1年で価格が70%以上下落し、価格高騰を背景とした大きな波は一段落しました。しかし、そこには確かな功績も残っています。
2025年、CryptoPunksのMoMA収蔵が果たされ、現物と引き換え可能なポケモンカードRWAの取引量は増大。大阪・関西万博では、独自のNFT「ミャクーン!」が1,000万枚を超えて発行され、ギネス世界記録を樹立しました。
私は一貫してNFTの可能性を追ってきました。NFTにできることは、まだあると思っています。Baseをはじめとする、ガス代を意識させないオンチェーン体験の実験場は、いま静かな輝きを放っています。2026年、NFTは意識されないが「空気のようなインフラ」として、私たちの日常に少しずつ、あたりまえの風景として溶け込んでいくはじまりの1年になっていく気配をかんじます。
岡本伊津美/NOT A HOTEL DAO

NOT A HOTELでは、2022年にNFT、2024年には独自暗号資産「NOT A HOTEL COIN(NAC)」を活用したWeb3サービス「NOT A HOTEL DAO」を開始しました。NOT A HOTEL DAOは、2025年12月にサービスリリースから1年を迎え、NAC価格はIEO時の水準までに復調し、ユーザー数は3,000名を超えています。
2026年は、これまでに構築してきたWeb3ユーザーコミュニティを基盤に、新プロジェクト「DAO VILLAGE」をスタートします。DAO VILLAGEは、NACホルダーが“投票“という形で意思決定に関与しながら、NOT A HOTELの新たな拠点づくりに参加できるプロジェクトであり、「みんなでNOT A HOTELをつくる」という体験を具体化する取り組みです。
NOT A HOTEL DAOでは、「Web3だから使う」のではなく、「使いたいサービスだから使う」という文脈で、結果として初めてWeb3に触れるユーザーが多く参加しています。こうした実践を通じて、2026年もコミュニティマネージャーとして最前線に立ち、業界を牽引していきます。
赤木翔/enXross by TOKYO DOME

2025年、エンタメ領域のWeb3は投機的ナラティブの崩壊とともに冬を迎えました。
しかし2026年、市場の評価軸は期待値から、収益やユーザー数といったファンダメンタルズへと明確にシフトします。資金力のある大手資本によるIPファンドの組成は市場の制度化を促す一方、そのカウンターとして、ファン自身が制作や収益に関与する所有権トークンによる投資の民主化が加速すると考えます。
既存の製作委員会モデルに対するWeb3スキームの決定的な優位性は、ファンの貢献度や権利を、単なる履歴ではなくグローバルなState(状態)として管理・証明できる点にあります。ブロックチェーンは完全にサービスの黒子となり、ユーザーは意識せずにオンチェーン経済圏へ没入します。制度化と所有権解放という両輪がIPという最強の実需を載せて回り出す時、エンタメは「語られる夢」から強固な実体経済スキームへと昇華すると予測します。
増澤晃/テレビ朝日

デジタル×観光では、2023年3月策定の「第4次・観光立国推進基本計画」が量から質への転換を掲げ、訪日客の消費単価20万円や地方部宿泊数1.5泊、持続可能な観光地域100箇所の達成を目標としています。2030年の消費額15兆円達成を見据え、2026年には新たな計画策定も予定されています。
現在取り組んでいるのが、神津島村等の星空を核に、デジタルとリアルで全国のファンを繋ぐ「星空ツナガルコミュニティ」です。
これまでブロックチェーン業界では、NFTによるデジタル住民票の発行やDAOによる参加型の意思決定、寄付金の透明化など多くの「実証」が行われてきました。2026年は「実証から実用へ」。地域資源の保護と収益化を両立させ、地域とファンが永続的に支え合う新たなビジネスモデルが全国の地方創生を加速させることに期待しています。さらに、ブロックチェーンだからこそ、グローバルとのビジネス連結を、実用に展開できるかが重要だと思います
牛島卓二/九州旅客鉄道・JR九州NFTプロジェクト

2025年は、暗号資産/ブロックチェーン業界にとって、インフラ化と実需志向が一段と高まった年だと感じています。もともと国内ではブロックチェーンの実用利用を模索する動きが活発でしたが、世界的にも、投機的な側面から現実路線へと移行した印象があります。2026年は、こうした動きがさらに加速し、課題解決のためのDXツールとしての活用が本格化する年になると見ています。
これまで「Web3」「NFT」といった言葉で先進性や技術活用をアピールしてきた取り組みも、現在では「ユーザーにとって便利であれば、技術を前面に出す必要はない」という方向へシフトしています。「手段か、目的か」を考えれば当然の流れですが、手探りで用途を模索していたフェーズから、それぞれが自らの攻め筋を定め、具体的に動き始めるフェーズに入ったのではないでしょうか。
私たちのJR九州NFTプロジェクトは、この2年半あまり、多くの他社コラボ企画を交えながら、ブロックチェーンを活用した現実世界との接続によるファンコミュニケーションの構築に取り組んできました。これまでの取り組みと前述した予測が重なり合う年でもあると考えており、日常の体験価値を高める、地域を元気にするユースケースとして、機能面・特典面の進化も加えながら、日本のWeb3領域の加速に貢献していきたいと考えています。
濱田翔平/KlimaDAO JAPAN

2025年は国内でもDATを掲げる企業が現れ、暗号資産が経営テーマとして再び注目を集めました。
決済面でも、Triaのようなクリプト決済カードや、Nudgeによるステーブルコイン対応のカード返済、HashPortカードの発行などが相次ぎ話題に。国内外で決済・ウォレット企業の提携と実装が加速しています。
2026年は、既存のカードUXをほとんど変えないまま、裏側の精算やインセンティブ付与がオンチェーンで処理され、即時性・透明性・監査可能性を“意識せず”享受する体験が広がると予想します。企業側も、還元や会員施策を小さく試しつつ、取引履歴を証跡として残せるため、キャンペーンの不正抑止や効果測定まで一気通貫で設計しやすい。結果として「金融」と「顧客体験」の境界が薄れ、ブロックチェーンは目立たずとも社会実装が進む一年になるでしょう。
岡崇/Borderless DAO

あけましておめでとうございます!
2026年は、ヒューマノイドの市場投入が世界的に始まることもあり、来たるMachine Economyの本格化向けた、クリプト領域の技術的仕込みに注目しています! 併せて、国際情勢が緊密化している最中で、暗号資産が”越境性”という観点からどのようなユースケースを創出できるかも注視していきたいです。
私個人としては、引き続きDAOLLCのユースケース創出を日本の一次産業から進めてまいります!本年もよろしくお願いします!
東郷太郎/Digital Asset・Canton

明けましておめでとうございます。
2025年は、RWA分野において飛躍的な進展が見られた一年だったと感じております。これまでのPoC段階を越え、実際のプロダクション環境での運用が、特に米国を中心に本格化してきた印象です。また、ステーブルコインに対する需要も、従来のDeFi領域のみならず、TradFiのプレーヤーにまで広がりつつあり、その動きは日本国内でも徐々に顕在化しています。
弊社においても、DTCCとのパートナーシップのもと、米国債をCantonネットワーク上で取り扱うプロジェクトを発表いたしました。現在、Canton上で稼働しているRWAの総額はすでに3,800億ドルを超えております。
さらに、日本のキャピタルマーケットにおいても、主要な金融機関の皆様が、ブロックチェーン/DLT技術を活用したRWAの実運用に対し、着実に関心を強めておられることを日々実感しております。
2026年は、ステーブルコインを代表としたデジタルキャッシュとRWAを活用した取引が、DeFiおよびTradFiの双方において、日本国内でも実運用ベースで本格的に広がりを見せる一年になると確信しております。
渋谷定則/みんなの銀行

2026年は、既存金融機関によるステーブルコインやデポジットトークンが、これまでの概念実証の段階を越え、社会に「実装」される真の元年となるでしょう。
その真価は、AIエージェント間の自律的な価値交換や、サプライチェーンにおける複雑な条件を伴う自動決済など、「プログラマブル・マネー」だからこそ実現できる新しい価値の創出にあります。
銀行APIを活用したA2A決済が決済の「効率化」を担う一方、プログラマブルマネーは決済そのものに「付加価値」を与えます。技術先行の時代は終わり、この社会実装の成否を分けるのは、スマートフォン上で完結するような、いかにシームレスで優れたユーザー体験を設計できるかという視点に移行します。
2026年、既存金融の信頼性とブロックチェーンの革新性は、まさにこのユーザー体験を軸に融合します。私たち金融機関は、この歴史的な変化の担い手として、金融のあり方そのものを再定義していく責務があると考えています。
辰巳喜宣/三井物産デジタルコモディティーズ・ジパングコイン

2025年は暗号資産の業界や投資家にとってもどかしい1年でした。一方、ゴールド・シルバー・プラチナはATHを更新、貴金属の年初来パフォーマンスは投資商品として突出した結果となりました。弊社のジパングコイン(ZPG)シリーズは、ゴールドを2022年、シルバー・プラチナを2023年に発行開始しており、ホルダーの皆様にとっては良い1年であったと思います。
RWA(Real World Assets)は、暗号資産に限らない伝統的な金融領域も含まれるため、既存の暗号資産と同じ考え方や進め方が難しいところがありましたが、2026年はオンチェーン化に代表される、よりクリプトネイティブな対応が求められていくと思います。
今年こそは市場に活気が戻ることを期待し、引き続き皆様の選択肢の1つとして検討頂けるような商品開発に努めてまいります。
竹森慶之助/デジタルアセットマーケッツ

2025年は期待と現実のギャップ顕在化の年でした。
暗号資産は、上場企業のデジタル資産トレジャリー戦略がブームになりましたが、熱狂が一段落し、より具体的な活用方法の検討段階に入りました。
ステーブルコインは、USDC国内取扱開始、JPYC発行、メガバンク実証実験などが相次ぎ、「ステーブルコイン元年」と呼ばれ期待が高まりました。ステーブルコインの一般利用については、既存決済システムとの差別化や利用シーンの明確化が課題となり、発行額は小規模ながら着実な歩みとなりました。
2026年は暗号資産の金融商品取引法移行準備により、デジタル資産の金融インフラ化が進む重要な転換点です。私たちは国内外事業パートナーとの連携のもと、特に事業者・機関投資家向けに注力し、RWA(現物資産)事業の強化、金融商品取引法移行後を見据えた主要暗号資産取扱い含む暗号資産交換業の拡充、電子決済手段等取引業の開始を含むステーブルコインの実用化を着実に進めます。
ヤンソヒ/ITCEN ・KORDA・CREDER

2025年は暗号資産市場において規制の明確化と制度圏への編入が本格的に進んだ一年でした。ブロックチェーン技術が金融・決済市場と結びつき始める中で、多様な資産を担保とした商品が登場し、市場は着実に広がりを見せています。個人的には、ステーブルコインがその中心的な役割を担い、トークン証券やRWAを含むデジタルアセット全体を一つのエコシステムとしてつないでいく存在になると考えています。
日本にとって2026年は、長年積み上げてきた制度基盤が企業主導の実利用拡大と本格的に結びつく転換点になるでしょう。現物ETF導入に向けた議論や税制改正の動きが具体化してきたことは、その流れを象徴しています。健全な市場形成を支えるセキュリティ政策や技術力についても、次の段階へ進む一年になると見ています。
一方で韓国は、制度整備と商用化が同時に進む特徴的な市場です。すでに流通している600種類を超える暗号資産に対する管理・監督を強化するため、複数の政府機関や協議体が連携して動いています。課税を巡る議論もその一環です。商用化の面では、トークン証券やステーブルコインに関する法整備が優先的に進み、金融市場全体へと変化が波及していくと考えています。
東北アジア市場の発展とグローバルでの競争力確保は、日本と韓国の協力によって実現できるはずです。制度設計に強みを持つ日本と、迅速な商用化と市場経験を積み重ねてきた韓国が、それぞれの強みを生かして連携することで、企業と投資家の双方に新たな成長機会をもたらすデジタルアセットのエコシステムが形成されていくでしょう。2026年は、こうした協力が具体的な事業や制度として形になり、東北アジアのデジタル資産市場の方向性を示す一年になると期待しています。
相原一也/Fintertech

将来的なデジタルアセット経済圏の拡大・定着を見据えた時、2026年は来るべき変革への「戦略的準備」の年になると考えます。
海外では既存金融とデジタルアセット金融を統合したスーパーアプリ構想が進展し、将来的なAIエージェントとブロックチェーンの連携も視野に入り始めました。こうした技術革新は、金融のあり方を根本から変える可能性を秘めていると見ています。
国内では、暗号資産ETFの導入に向けた議論や、株式やMMFのセキュリティトークン(ST)化による既存金融との融合が進むと予想しています。金商法改正を控え、本年は各社が新制度対応や参入に向けた検討を具体化させる重要な助走期間となるはずです。
資産のデジタル化と多様化が進む中、弊社が提供する「デジタルアセット担保ローン」についても、その役割をさらに拡大させていく所存です。デジタルアセットを既存金融資産と同様に活用可能な「資産クラス」として確立させるべく、引き続き既存金融とWeb3の架け橋としての責務を果たしてまいります。
中村健/TIS

2025年は、暗号資産やブロックチェーン技術に対する社会的な関心と実用化がより加速した一年となりました。
TISでもステーブルコイン発行/利用に関するサービス、合弁会社を通じたバリデータ事業や暗号資産会計管理システムの事業をスタートさせ、確かな手ごたえを感じています。
2026年はいよいよ日本国内でもステーブルコインやトークン化預金の社会実装が本格化すると考えます。同時に、それらの具体的かつ有用なユースケースがより一層強く求められるでしょう。我々は多様な企業・自治体の皆様との連携を通じて、新しい決済手段の発行・流通・利用拡大とユースケースの具体化に貢献してまいります。
佐藤竜也/日立製作所

2026年は、ステーブルコインとAIエージェントの発展・普及が、Web3・ブロックチェーン・分散トラスト技術の進展や適用にも大きな影響を及ぼすと考えており、特に以下の動向に注目している。
・ステーブルコインやトークン化預金については実用フェーズに入りつつある。今後は、スマートコントラクトのプログラマビリティを活かした具体的な利活用が段階的に拡大していくと考えられる。
・ブロックチェーンネットワークの多様化が進む中で、チェーン間の相互運用性がますます重要になる。AIエージェントは、その連携の複雑さを隠蔽・容易化する手段としても期待できる。
・AIエージェントに関する相互運用性の標準化 (MCP, A2Aなど) が進行する中で、エージェントのアイデンティティ管理やトラストの確保についても、課題認識や議論が既に始まっている。その解決アプローチの一つとして分散トラスト技術の活用が検討されている。例えば、アイデンティティ管理に Verifiable Credential (VC) を用いる試みや、証跡管理にブロックチェーンを活用する取り組みが挙げられる。また、AIエージェントの安全な決済プロトコルとして提案されるAP2でも、VCを用いた本人性・意図証明や、ステーブルコイン・暗号資産による支払いが規定されている。
・トークン化の対象がデジタル資産から物理資産に拡大すると考える。これにより、AIエージェントがIoT機器の利用状況を監視し、ステーブルコインで自動決済するようなユースケースの実用化が進む可能性がある。
高橋祐貴/シーエーシー

2025年は、ブロックチェーンにとって大きな転換点となる一年でした。第一に、AIエージェントに関する Agent Protocol Platform(AP2)が発足したこと。第二に、Baseから x402 というマイクロペイメントの規格が整備されたこと。第三に、日本では JPYC が金融庁の承認を受け、発行されたことです。
重要なのは、これらが単なる技術の進化ではなく、実際のユースケースが生まれる土台が整ったという点です。特にステーブルコインと x402 を組み合わせることで、これまで実現が難しかった小額・高頻度の決済ユースケースが広がっていくと考えられます。2026年は、こうした実用事例が徐々に増えていく年になると考えています。一方で、AIエージェントの分野は、当面は PoC や失敗が許容される小さな金額感から進むと見ています。大きな事故によって成長が停滞するリスクにも注意しながら、慎重な取り組みを進めていく必要があると考えています。
岸本隆平/トヨタ・ブロックチェーン・ラボ

2025年は、主要国での制度整備が進み、ブロックチェーンがデジタルアセットの基盤として「現実解」になりつつあることが広く共有された一年でした。特にステーブルコインをめぐる枠組みの前進は、市場の関心をイデオロギー的な“是非”から、実利的な“流動性”へと移行させたといえます。
2026年は、流動性レール(決済・清算・取引)が先行する局面から、その対価となるアセット自体の厚みが問われる年になるでしょう。複雑な実体を、検証可能な権利としてどう記述し、どう流通させるか?金融資産のデジタル化を皮切りに、モビリティや不動産といった実体を伴うRWA、そしてそれらを支えるデジタル・アイデンティティへと、検証可能性の設計は連鎖していくはずです。
RWAは、単に資産をチェーンに載せることではありません。ブロックチェーンの真価は、これまで一括りだった権利や責任を分解・再構成し、市場が検証可能な“取引単位”へと再定義できることにあります。
例えばモビリティでは、所有という枠に包含されていた権利を、利用権、データアクセス権、価値回収権といった目的ごとにアンバンドリングし、透明性と流動性を与えていくことができます。これは情報の非対称性を緩和し、人間のみならず、自律的に動くAIエージェントにとっても監査可能な「新しい市場の土台」となります。
日本の強みは、複雑な実体を標準化された高品質なオペレーションで運用することで価値を高めてきた点にあると考えます。これらを“検証可能なデータ”に翻訳し、社会コストを下げるインフラへと沈めていくべく、本年も着実に歩みを進めてまいります。
齊藤達哉/Progmat

「静かに、大きく、業界構造・業務基盤が変わり始める」、転換点になる1年になりそうです。
まず、暗号資産は金商法規制に移行します。規制厳格化を”前提”に、暗号資産ETFの公式開始に向けた投信法や東証関連の動きが報道されるでしょう(片山大臣の大発会挨拶が前フリ)。28年頭がXデーとして、システム準備等のリードタイムを逆算すると、「検討開始」の報道が複数陣営から出てきてもおかしくありません。
続いてほぼ確実なのが、同じ金商法規制下のトークンであるST(トークン化証券)の質的/量的拡大です。量の面では、ST化案件の市場規模は1兆円、プロジェクトは100案件超が見えています。質の面でも、MMF等の投資信託、株式といった資本市場の本流まで、対象アセットが拡張します。
ステーブルコイン(SC)については、ホールセール向けSCの商用化が期待されます。大企業・金融機関間のクロスボーダー決済や証券決済向けのSCと、暗号資産取引やDeFI向けのSCは、前提要件が全く異なるため、いくつかの銘柄が棲み分けることになりそうです。
プレーヤーの変化も確実です。銀行等の大手金融グループも、子会社であれば暗号資産取扱いが可能になり、暗号資産交換業者と証券会社の境界も溶けていきます。銀行本体や証券会社のSC導入も現実的です。金利上昇と株高は、戦略的投資に追い風です。TradFi大手だけでなく、新設された仲介サービス業や、証券会社買収でST参入するクラファン業者等、裾野拡大も続くでしょう。
鍵になるのは、TradFiが如何にDeFiと上手く融合できるか?という”夢”、「オンチェーン金融」像です。「金融」は”Web3”と比べてセクシーではないでしょう。が、金融は社会の血液です。
オンチェーン化で血行が良くなるよう、インフラを担う1人として、「何が必要か」を起点に今年も実動します。
小林英至/Securitize Japan

2025年、グローバルでRWAトークンの残高は2兆8千億円(USD1=JPY150換算)、年間で3.2倍の成長を遂げ躍進の年となりました。規模の拡大に加えて、大手金融機関・アセットマネージャーの本格参入、Utilityの向上、機関投資家品質でのDeFiとの融合、など質の面でも日々進化の一年でした。なかでもBlackRockのBUIDLに代表される、トークン化トレジャリー(一般にトークン化MMF)は年間で2.3倍、Pre-BUIDLに対しては13.1倍の成長となりマーケットをリードしました。
日本では自己募集の飛躍の年でした。クレディセゾン、ドンキで知られるPPIHの案件が実現し、日本が世界をリードする一つの流れとして定着しつつあります。また大手金融機関を中心にパブリックチェーンでのトークン化MMFへの関心も本格化しており、今年が楽しみです。
2026年はトークン化株式の一年となりそうです。原株式のトークン化は利便性・即時性、株主権利行使、株主優待、DeFiとの融合など、企業・株主両者にとってのメリットは大きく、トークン化の本丸とも言えます。市場で散見されるデリバティブ案件には多くの課題があり、原株式のトークン化の圧倒的な優位性を考えると、そちらに収斂・成長していくものと考えられます。このような手法・選択肢が海外で形成される中、日本の発行体、投資家、市場参加者の動きに目が離せない一年となりそうです。
志茂博/コンセンサス・ベイス

日本のビジネス活用の観点での展望
2025年の現場
・市場の開発案件は減少し、人材がやや余る状況
・下火となり苦境に立たされた業界企業が多数
・主なご相談内容はステーブルコイン、トークン運用(DAT等)、DeFi、ウォレット、DID/VC。PoCから運用に進む案件は増えたが、ユーザー獲得や収益化が難しく長期継続は限定的
2026年展望
・短期的な利益獲得は困難で、数年後を見据えた地固めが進む年
・日本でのビジネス進展はトークンの利用・運用が中心
・使い勝手の課題から一般利用の拡大はまだ数年先
・ステーブルコインは規制整備により会計上の扱いやすさが向上し、発行・取引事業者が増え企業導入は初期段階
・財務・経理・IT統制が重要なキーワードに
個別の展望
・ステーブルコイン:既存の決済・精算業務と接続できるため、着実に進展
・DeFi / RWA / ST:金融規制下で一部企業に限定されるが、金融部門主導で進む
・DAO / NFT / DePIN:事業KPIとの接続が弱く、停滞が続く
紫竹佑騎/暗号屋

2026年は、ブロックチェーンが「実用」と「価値」のフェーズへ完全に移行する年になるでしょう。
最大の潮流は、FXや証券市場のオンチェーン化、即ちRWA取引の本格化です。インフラが整うことで、高度な資産運用が民主化され、既存の銀行機能のあり方を根底から問い直す動きとなります。また、クリエイター支援など「自由のための技術」としての社会実装も進み、Web3の世界観が現実のものとなるはずです。
そして、トークン設計も成熟期を迎えます。Coinbaseが「Tokenomics 2.0」として提唱するような、投機性よりも実用性と持続性を重視した経済モデルへの転換です。この世界的潮流の中で、私たちが提案し続けてきた「実業を伴うトークノミクス」こそが、これからのスタンダードとして再評価されると確信しています。
石田陽之/Cabinet

既存の金融商品の多くは不動産や債券などインカムゲイン、つまり「利回りを産む資産」としての側面を持つものが多くを占めます。この流れは暗号資産においても同様に広がっていくことが考えられます。2026年はステーキングなどの利回り資産の注目度がより高まっていくと考えられます。同様に、AIが働いてインカムを稼ぐというものや、DeFiでのより低リスクな運用など、その種類も広がっていくでしょう。
これら、既存資産のオンチェーン化とは別の、「デジタルネイティブな利回り資産」に注目が集まる年になるのではないかと考えられます。
また、Perpetual DEXの流れも、RWAをオンチェーンに乗せる必要が無いタイプのDEXはその組成のしやすさから、あらゆるアセットに拡大していくことが考えられます。Coinbase Venturesが示した、すべてのアセットが無期限先物へという流れも続くものと思われます。
このように、往時の高すぎる期待を超えて、「ブロックチェーンでなければできないこと」に資本も注目も集まっていく2026年になると予測しています。
堀井紳吾/aora・マイクロカーボンクレジットトークン”PUC”

SBI北尾吉孝氏らの発言にも象徴されるように、金融アセットのトークン化はグローバルな金融イノベーションにおける不可逆的な潮流です。その価値は、単なる金融アセットへのアクセシビリティの向上にとどまらず、既存エコシステムの構造的な課題を解消する点にまで広がります。
とりわけカーボンクレジット市場は、これまで企業にとって単なる「コスト負担」と捉えられがちであり、持続可能性と流動性の欠如という課題を抱えていました。当社はこの課題に対し、独自技術(特許出願中)を用いたマイクロカーボンクレジット「PUC」によって権利を細分化し、決定的な解決策を提示しています。
現在、当社は暗号資産規制の枠外で法的に整理されたスキームを確立し、徹底したコンプライアンスのもとで事業を展開しています。来る2026年は、日本の排出権取引制度(GX-ETS)が本格始動する年です。また、Web3業界がこれまでの「投機」的な市場から、適切な規制と消費者・投資家保護を備えた「社会基盤」へと進化する重要な分岐点になると確信しています。
私たちはWeb3技術で気候変動問題に挑む「グリーンフィンテック」のリーディングカンパニーとして、東京都の補助事業採択やパリ・ラスベガスでのプロジェクト発表、国内外の主要企業との提携を推進してきました。これらの実績を基盤に、規制の枠組みの中で健全な市場形成と流動性向上に取り組み、日本発のグローバルな環境金融エコシステムの発展に注力していければと思っています。
小野暢思・佐藤太思/DeFimans

<DeFimans 共同代表 小野暢思>
2026年は、DAT(Digital Asset Treasury)を起点とした資産運用の高度化が一気に進む一年になる。DATとは、本来は企業・組織が保有する暗号資産を財務戦略として積極的に運用する仕組みを指す。しかし今後のDAT戦略は、BTCやETHなどのデジタル資産の役割を「保有」から「運用・担保活用」へ拡張し、資本効率とリスクの両面でトレジャリーを最適化する財務モデルへと進化していく。これにより暗号資産は、従来の静的な保有対象から、継続的にキャッシュフローを生む動的な運用資産へと転換する。具体的には、BTC・ETHを担保にステーブルコインを借り入れ、DeFiで追加収益を獲得するモデルが浸透するだろう。国際企業やweb3プロジェクトのみならず、国内事業者にもDATの導入が広がり、暗号資産の財務活用はスタンダード化していくはずだ。
一方RWA(Real World Asset)領域では、日本が強みを持つIP分野が大きく拡大する。著作権や原盤権などのIP収益受益権を担保にトークンを発行し、資金調達や運用に組み込むモデルが加速するだろう。暗号資産とリアル資産の境界が溶ける中、2026年は資産運用がより立体的かつ創造的に進化する一年になる。
<DeFimans共同代表 佐藤太思>
2026年はオフチェーンの年になる。オンチェーン実行を前提とする設計はもはや合理的ではない。オンチェーンが提供する価値は分散実行そのものではなく、検証可能な最終性に集約される。ZK-VMによる計算検証、TEEによる機密実行、DAレイヤーの分離が成立した現在、実行・計算・状態管理をオフチェーンに逃がし、結果のみをオンチェーンに固定する方が、性能・コスト・UXの全てで優位である。
「オフチェーンは検閲耐性を失う」という反論も的外れだ。検閲耐性は実行場所ではなく、検証と最終確定が誰にも奪えないことによって担保される。実行が一時的に阻害されても、証明可能な状態遷移をオンチェーンに持ち込める限り、主権はユーザー側に残る。
結果としてオンチェーンに残すべきものは最小限でよい。①状態遷移の検証、②資産の最終帰属、③紛争解決のルール――これ以上を載せるのは、設計ではなく信仰である。価値が蓄積するのは、オフチェーン実行基盤、検証レイヤー、DA、そしてそれらを統合するプロトコル設計力だ。2026年は、分散幻想を捨てた設計者が勝つ年になる。
岩崎翔太/PacificMeta

昨年、本誌にてステーブルコインに注目している旨を寄稿しましたが、2025年はまさにその期待を裏切らない、ステーブルコインの躍進が印象的な一年となりました。そうした流れを踏まえ、2026年に向けて私が注目しているのがST(セキュリティトークン)です。STは、ファイナンスの在り方そのものを大きく変えていく存在になると考えています。
私はこれまで、現職を含め二度のスタートアップファイナンス、M&Aの経験、さらには50社を超えるエンジェル投資や、長年にわたる暗号資産・株式投資など、さまざまな形でファイナンスに関わってきました。その中で、資金調達や価値循環の仕組みがどのように進化し得るのかについて、強い関心を持ち続けています。
STの登場によって、これまで金融の文脈では扱いにくかった対象にもインセンティブ設計が可能となり、マーケティングとファイナンスがより密接に融合する世界が現実味を帯びてきました。これは、私自身が長年求めてきた方向性でもあります。
アルトコイン市場では勝敗が明確になりつつある一方で、ブロックチェーン業界全体としては、より実体や裏付けのある資産との結びつきを強めていくでしょう。2026年は、ブロックチェーンが金融を民主化するインフラとしての地位を確立する、重要な転換点になると考えています。
阿部喜一/Hyperithm

暗号資産市場はDeFiを含め、依然として発展途上にありますが、資産運用の視点では投資対象としての有用性が高まっていると言えるでしょう。
米国ではBTC現物ETFに加え、ETHをはじめとする主要暗号資産やトークン化資産への制度的なアクセスが拡大し、伝統的金融市場との境界は徐々に薄れつつあります。日本においても、金商法改正に向けた議論や税制改正を背景に、暗号資産やDeFiを長期保有・分散投資の枠組みで位置づけ直す動きが明確になってきました。2026年はより、制度・インフラの整備が進み、当社のような資産運用会社が、リスク管理と透明性を前提とした運用戦略を構築するうえで重要な追い風となることを期待しています。
暗号資産現物のボラティリティは依然として高いものの、環境整備が進むほどプロの投資家やヘッジファンドの参入が加速し、暗号資産は真に持続可能な資産クラスへと進化していくと考えています。
段璽/Fenbushi Japan

西ローマ帝国の滅亡は、ある日突然起きた事件ではなく、当時の人々がはっきりと自覚しないまま進行し、後世の歴史家によって転換点として位置づけられた出来事だった。短期的な出来事を正確に予測することは難しいが、長期的な流れは比較的捉えやすい。現在進行中の金融の変化も同様である。
Web3の世界では、ステーブルコインによる即時かつ低コストな決済が広がり、従来の銀行や決済インフラでは得られなかった利便性を提供し始めている。通貨や価値がトークンとして扱われることで、金融の設計そのものが変わりつつある。
こうした動きを支える基盤がイーサリアムだ。企業のサブスクリプション収益や取引手数料といった収益源を要素別にトークン化し、取引可能にする構想も進む。2026年に予定される大型アップデートにより処理性能と使いやすさが向上し、イーサリアムはますます成熟し、グローバルな金融エコシステムとして定着していくだろう。
重松俊範/博報堂キースリー

年末年始に、ふとこんなことを考えた。もし世界に自分ひとりしかいなかったとしたら、写真を撮ることも、ゴルフをすることも、きっとしないだろう。どちらも、誰かと共有することを前提にした行為だからだ。ブロックチェーンもまた、本質的には「みんなのための技術」だと思っている。人や組織が価値や信頼を共有するための仕組みであり、この前提がある限り、今後さらに多くの場面で使われていくはずだ。
ブロックチェーン業界の関心はコンセプト先行の活用から、金融商品や不動産のオンチェーン化、ステーブルコイン、RWAといった実体ある領域へと明確に向かいつつある。企業や組織の垣根を越えた連携や体験設計は、当社も模索してきた分野であり意義は大きいが、本格的な社会実装には時間と丁寧な検証が必要だと感じている。その中で、株式や社債のオンチェーン化やRWAの進展により、企業や事業を「応援すること」と「保有すること」が自然につながる世界が現実味を帯びてきた。投資家とファンが重なり合う関係性は、マーケティングと金融の境界を静かに溶かしていくだろう。2026年は、ブロックチェーンが社会に確かな手触りをもって根づき始める一年になると考えている。
岡本和士/Nonagon Capital

トークンローンチによる価格上昇と初期投資家やインサイダーがリターンを獲得するモデルは終焉を迎えました。今後は実需に裏付けられたキャッシュフローと持続可能な収益構造を持つプロジェクトが評価の中心になります。
2026年は、日本国内においてステーブルコインを活用した低ボラティリティ運用やキャリートレード戦略を採用する企業が増え、2027年の法改正を見据えた金融機関やエンタープライズによるプロダクト開発が本格化します。
グローバルではAIとブロックチェーンの融合が進み、資本配分やリスク管理の自動化がDeFiに組み込まれ、運用の再現性が高まります。2026年は、金融機関から見たDeFiが実験段階を脱し、「投資可能な金融プロダクト」として大きなストリームになる転換点となります。
世界を代表するブロックチェーン総合企業を目指すNonagon Capitalは、2026年、この構造変化を捉え大きな一歩を踏み出します。
よんくろう(池田雅紀)/SVC Inc.・DAT事業創出

2026年は、暗号資産・マーケット・業界全体が前進する、強気で捉えてよい一年になると考えております。4年サイクルでは下落の年という見方も根強い一方、米国マクロは金融緩和方向に向かう可能性があり、政治要因も踏まえると資金が市場に入りやすくなると見ています。その結果、需給構造が変化し、想定ほどの大幅下落は起きにくい可能性があります。
さらに米国では暗号資産に関する規制整備が前向きに進んでおり、ルールの明確化がビッグテックや機関投資家、スタートアップの参入を促し、サービスの質と多様性が高まると期待しております。
日本は現状の制度では、暗号資産領域のメインストリームとの相性が悪い面もありますが、DATが突破口となり、企業がBTC購入を検討し、実行する企業も増えていくでしょう。私自身もDAT領域にコミットし、市場の健全化と企業参入の加速を後押ししていきます。
六人部生馬/Tané

本稿では、2026年に現在我々が注目している「市場構造の変化」について共有します。
1. BTCとゴールド
法定通貨の実質価値が減少していく中、金(ゴールド)と比較した際の暗号資産の立ち位置に注目しています。一時のピークを除けば、依然としてBTCの時価総額は金の5-10%程度です。2026年は、機関投資家の参入がさらに本格化する中でこの比率がどう変化するかが重要な指標になると考えています。
2. 米国「Clarity Act」成立とDeFiの評価方法の変化
下院を通過した「Clarity Act(市場構造法)」の成立が焦点です。成立は時間の問題と見られますが、UniswapのUnificationやLighter等のトークン発行体がC Corp(株式会社)化するなど、法整備を見越した動きは既に始まっています。法的な透明性が確保されることで、2026年はDeFiプロトコルへのフィースイッチ導入が進み、トークンが明確なキャッシュフローに基づいて評価されるでしょう。
3. 予測市場:ハイプの沈静化と機能の進化
2025年は、PolymarketとKalshiによる「複占」が進み、両社の年間取引高は計440億ドル(約6兆円以上)を超えました。2026年は、乱立する後発サービスのハイプは一旦落ち着くでしょう。代わって、予測市場のポジションを担保にしたレンディングやアグリゲーターなど、DeFiと同様の機能拡張が進んでいくと見ています。
4. ステーブルコイン:ブランドとオフショアの利回り
米GENIUS Act成立等で社会実装基盤は整いました。規制準拠型は差別化が難しいため、ブランドや販路を持つ企業が勝者となるでしょう。一方で、オフショアのEthenaのように、規制下では難しい「利回り」等を提供するプロトコルは、今後も独自の市場を形成し続けるため注目しています。
落合渉悟(Sg)/Ecdysis

昨年「再帰性価値の時代は続く」と述べたが、DAT企業の台頭により、それは明確に市場の中心へと移行した。本年もマネーサプライが増える限り、この構造的相似は依然支配的だろう。
拙著『僕メタ』で提唱した地方創生DAOが私の手を離れて各地で自走し始めているのは興味深いが、本質的課題は既存システムの“利用者”になることではなく、共同体として技術を育てるためのコスト構造をどう成立させるかにある。国家規模でのDAO活用も、決断の責任を全員が負う設計の不可能性を直視し、責任を引き受ける主体を制度的に立て直す方向へ進むだろう。
一方でVibe Codingの実装可能な複雑性は大きく向上し、「エミュレーション可能な処理系」はクリプトに限らず既存産業全体へと波及する。結果として一見完璧な不要物が増え、それを非同期に刈り取る人の役割自体がガバナンスであると理解されていく。
今後はすべてを公開して数打てば当たるが表向きに推奨される一方、公開されない手札を読み合う局面も暗黙に増えるため、基礎として公理的集合論と依存型言語を学び、可搬性の高い脳内言語の蓄えを作っておくことが長期的に有効だ。
赤澤直樹/Beacon Labs

2026年のブロックチェーン・クリプト業界は、決済・送金・資産管理など生活に近い用途へ重心が移るでしょう。特にステーブルコインを起点に、ウォレットや決済、クロスボーダー送金を内包した誰でも使えるアプリが増え、マスに届き始めるフェーズに入りそうです。
さらにAIエージェントとの融合で、与信・運用・支払・会計までを自律的に最適化する新しい金融サービスや体験が多領域で生まれることを期待しています。
加えて、こうした技術基盤を活かし、オープンソースや公共財に対するファンディングが、より効果的で効率的に循環する仕組みも実現していきたいところです。
末神奏宙/Ethereum Foundation — Privacy Stewards of Ethereum (PSE)

2025年はゼロ知識証明の実用化が進み、送金の秘匿化・匿名化を通じてEthereumユーザーのプライバシー保護が現実になりました(Privacy for Ethereum)。2026年は、複数人の機密データを開示せずに共同計算する「機密スマートコントラクト」が鍵となり、Ethereumを秘密計算の汎用基盤として活用する可能性(Ethereum for Privacy)が見え始めるでしょう。これは医療目的の統計分析など、Ethereum外の用途にも広がり得ます。
ただし現状の機密スマートコントラクトでは、Ethereumのバリデータ以外の委員会や特定のハードウェアへの追加の信頼が必要です。それを不要にするため、私たちは識別不可能難読化(iO)という暗号技術を研究しています。国家規模の相手でも51%攻撃が経済的に見合わないほど困難になれば、EthereumとiOの組み合わせは国家間レベルの秘密計算も可能にしうるでしょう。
小宮自由/MyChara

今年度、日本円建てステーブルコインがついにリリースされ、国内Web3環境は大きな転換点を迎えました。さらに、数年以内に暗号資産所得の申告分離課税化が実現するとの見方は強く、税制面での不確実性は着実に解消へ向かっています。
ここに加えて、トークンを用いた資金調達に対する非課税措置が整えば、日本国内でのIDOは現実的な選択肢となります。これまで規制や税制を理由に海外へ流出していた起業家やプロジェクトが、日本を拠点に再集結する可能性も高まるでしょう。
金融インフラ、法制度、開発者コミュニティが揃い始めた今、日本発Web3プロジェクトが連続的に生まれていく局面に入りつつあり、この数年の動きから目を離すことはできません。今年はブロックチェーン業界の大きな動きの始まりの年になるでしょう。
絢斗優/JapanBlockchainWeek

2026年は、世界情勢とマクロ要因に大きく左右される一年となる。米国の利下げが順調に進めばBTCが一時的にATHを更新する可能性もあり、相場は短期的には盛り上がる。しかし、事件も多いので典型的なブル相場にはならない。4年サイクル論で想定されてきたような大幅な下落局面は限定的となり、クリプトが既存金融の仲間入りしたことを実感する一年となる。こうした環境下ではクリプトの爆発力が低下し、株やコモディティなども扱うマルチトレーダーが増えていく。
米国は制裁を多発し、一部でドル離れが加速。その受け皿として金担保トークンが成長。皮肉にも、BTCとは異なる形で「本物のデジタルゴールド」が実需で普及し、ステーブルコインに次ぐ一大用途へと広がっていく。ブロック経済化はプライバシー x DeFiナラティブにも追い風となる。
主要L1は成長を続ける一方、過疎チェーンの淘汰も進む。収益ベースでの時価総額計算も普及し、実需のある中堅プロジェクトには追い風となる。派手なハイプは控えめだが、機関投資家の本格参入と規制の定着を背景に、次の成長局面に向けた基礎固めの年となるだろう。
箭内実/Japan Blockchain Week・Minto

Web3の進化:『実需への回帰』と『新しい経済圏の確立』」
2026年、Web3は単なる価格高騰を追うフェーズを終え、実社会の課題解決を伴う「機能統合」が本格化。
コンテンツIP領域では、法的な権利裏付けを伴うオンチェーン・ライセンス管理が立ち上がる。従来のIPホルダーは、収益権(ロイヤリティ)を細分化し、RWAとしてトークン化。これにより、ファンは単なる消費者ではなく、経済的な裏付けを持つステークスホルダーとしてIPを直接支援・共有する新しい経済圏が成長し、ファンが本質的なステークスホルダーになり得る。
また、予測市場は高度なオラクル技術と規制への適合により進化。地域特化型のイベントやニッチなリスクヘッジ手段として、既存金融がカバーしきれなかった「未来の不確実性」に価格をつけ、社会の意思決定を支えるインフラとして機能し始める。
さらに、暗号資産は「トレード対象」から、個人の自由と主権を支える「インフラ」へと進化を遂げる。ゼロ知識証明(ZK)等の実装により、プライバシーを保護しながら自律的に資産を管理する権利が確立され、Web3は個人の自由を担保する「見えないインフラ」へとなっていくだろう。
斎藤岳/pafin・クリプタクト

2025年はマクロの値動きに揺さぶられつつも、米国を筆頭とした世界的な暗号資産の広がりを受け、暗号資産の損益計算サービス「クリプタクト」としては、カナダやインドへの対応を進めてきました。
一方、JCBAの税制検討部会長としての視点では、私たちが長年取り組んできた暗号資産の分離課税化について、金商法への移行と投資家保護を前提として、令和8年与党税制改正大綱に明記されました。これは大きな前進であり、与党関係省庁の皆さま方、取引を行われた利用者の皆さま、税制改正の活動に一緒に取り組んでくださった業界関係者に感謝を申し上げます。
26年は事業者による金商法対応に向けた年となり、統廃合含めた様々な動きが出てくると思います。税制についても改正内容の詳細を詰めていくこととなります。損益計算サービスのニーズは今後も続くと予想しておりますので、安心かつ効率的に確定申告、納税を支援し、26年も皆さまが活発に取引を行えるように尽力してまいります。
柳澤賢仁/柳澤国際税務会計事務所

令和8年度税制改正大綱によると、暗号資産の譲渡取引に関して、「金融商品取引法等の改正を前提に」「改正法の施行の日の属する年の翌年の1月1日以後」、分離課税にするとあるので、今年2026年中にその「前提」を満たせば2027年1月1日以降の取引は分離課税になります(金融商品取引法の改正が今年中に間に合うかは、実務的に取引所(暗号資産取引業者)の対応次第なのかもしれませんので、今後も要確認です)。
これで、暗号資産税制は、平成29年度税制改正で消費税非課税とされてから9年、一応の決着を見たと言えるのではないかと思いますが、イノベーションの速度に対して税制改正の速度が遅すぎたとどうしても感じてしまいます。
個人的には、当時、正体不明の暗号資産が既存の税法上、包括的にどのように取り扱われるのかに強い関心があったのですが、税制が整いつつある今年はブロックチェーンによるイノベーションとしての「ステーブルコイン」と「資産のオンチェーン化」のふたつの動向に注目しています。
藤本剛平/カオーリア会計事務所

2025年度の税制改正大綱により、暗号資産税制における「申告分離課税」の導入がアナウンスされました。これを受け、投資家の動向は大きく二極化していくでしょう。
一つは、分離課税が適用される国内取引所への回帰です。税金計算の簡素化に加え、高額利益時の税率優遇という恩恵は大きく、資金力のある層や初心者にとって「ミドルリスク・ミドルリターン」の堅実な選択肢となります。ただし、利益が少額の場合は総合課税(最低税率)より割高になる点は留意が必要です。
もう一つは、従来通り総合課税となるDEXや海外取引所の利用です。計算の手間や累進課税のリスクは残りますが、多様な銘柄やサービスへのアクセスが可能で、依然として「ハイリスク・ハイリターン」な爆発力が魅力です。
今後は、税務メリットを優先するか、収益機会を追求するか、投資家のスタンスがより鮮明になる一年となるでしょう。今年もカオーリア会計事務所では、様々な暗号資産・NFTの税務対応に邁進し、納税者の方の適切な税務申告をサポートしていく所存です。
沼澤健人/Aerial Partners

2026年に業界の勝敗を分けるのは、「信頼の実装」を業界全体で進められるか否かにかかっています。
暗号資産を金商法の枠組みで位置づけ直す議論が進めば、情報提供・取引監視・内部管理といった運用は一段と厳格になります。象徴的なのが日本版CARFで、分離課税やETFなど前向きな制度整備を進めるうえでも、取引データの管理と説明責任が前提になります。こうした対応負荷は暗号資産交換業者だけでなく、上場企業や伝統的金融機関にも広がるでしょう。だからこそ、正確で一貫したデータ管理、それを支えるシステムと業務フロー、監査に耐える運用設計が業界インフラとして求められています。
Aerial Partnersは、取引データ管理に加え、公正価値等のデータ提供、業務フロー設計、法令対応支援まで一気通貫で担い、「信頼のインフラ」として日本のデジタル資産市場を支えていきます。
河村吉修/EY新日本有限責任監査法人

金融庁の「暗号資産制度に関するワーキング・グループ」報告書の公表は、暗号資産に関する規制の重要な進展を示しています。金商法の適用により、暗号資産市場の公正性と利用者保護が強化されることは、業界全体にとって大きな意味を持つでしょう。
特に、暗号資産交換業者や電子決済手段取扱業者の監査に加えて、暗号資産発行体等の監査ニーズが高まることが予想されます。公認会計士として、これらの関連企業に対する監査を実施することで、暗号資産市場の信頼性を向上させ、健全な発展に寄与することが期待されていると考えています。
また、JICPA(日本公認会計士協会)業種別委員会暗号資産対応専門委員会の専門委員としての立場を生活かし、Web3.0企業が監査を受けやすい環境を整えることが、業界の信頼性を高める上で非常に重要な役割と考えています。
2026年はこのような取り組みが進むことで、暗号資産市場がより健全で透明性のあるものとなり、利用者や企業からの信頼を得ることができると考えます。
長瀨威志/アンダーソン・毛利・友常法律事務所 外国法共同事業

2026年は、日本の暗号資産業界にとって歴史的な転換点となります。2025年12月に公表された金融審議会「暗号資産制度に関するワーキング・グループ 報告」のとおり、これまで資金決済法の枠組みで規制されていた暗号資産を、その投資対象化の実態に合わせ、金融商品取引法(金商法)の規制対象へと位置付ける抜本的な見直しが示されたからです。
この移行は、業界に二面性の影響をもたらします。発行体及び暗号資産交換業者に対する情報提供義務の整備、責任準備金の積立て等を含む業規制の強化、インサイダー取引規制の導入等を含む厳格な不公正取引規制は、市場の信頼性を高めるものです。これにより、念願であったビットコインETFの実現や、申告分離課税への税制改正に向けて大きく前進するといえます。
他方で、金商法下の厳格な業規制やサイバーセキュリティ対策、さらに中央集権型暗号資産の発行者への情報開示義務は、特にスタートアップやweb3事業者に高いコンプライアンスコストを強いることになります。グローバルで規制緩和が進む中、日本独自の過度な形式主義がイノベーションを阻害しないよう、実態に即した柔軟な制度設計が不可欠です。
2026年は、この新制度の具体化が進む極めて重要な年となります。投資家保護とweb3推進の「真の共存」を実現できるか、その規律のあり方を注視する必要があります。
清水音輝/弁護士

2026年は、暗号資産法制の金商法への移行や、ステーブルコインの広がりにより、多くの企業がブロックチェーン業界における事業を拡大させる年になると思われます。
暗号資産法制が金商法へ移行することにより、不正取引や税制の難点が多少改善され、今まで暗号資産に触れてこなかった層がブロックチェーンの業界に流入してくることが期待されます。他方、法律上あるいは実務上の制約の強化により、ブロックチェーンに直接アクセスできる層が減少しないかという点については留意する必要がありそうです。
また、ステーブルコイン領域については、様々なプレイヤーが既に参入を表明しており、新規事業が数多く誕生することが期待されます。特に国外のステーブルコインは急速に発行額を伸ばしており、国外のステーブルコインと日本におけるビジネスの距離感には注目が集まりそうです。
原悠弥/AZX Professionals Group・AZX総合法律事務所

2026年は、ブロックチェーン/暗号資産をどのように法制度の中で位置づけるのかが、より具体的に問われる年になると考えています。
2025年には金融庁から暗号資産規制の見直しに関する方針が示されました。法規制の観点から、これまでも、そしてこれからも重要な論点となるのは、株式などの有価証券を想定して構築されてきた従来の規制体系が、発行主体や仲介者の存在を必ずしも前提としないブロックチェーン特有の事情にどこまで適合し得るのかという点です。とりわけ事業化を進めるスタートアップにとっては、制度の考え方が明確であることが、チャレンジを継続するうえで重要な意味を持ちます。
一方で、技術と実社会の接点も着実に広がっています。RWAトークンについては、お酒の引換券や旅行券、各種チケットのように、実際の利用を前提とした商品を対象とした取り組みが、技術と実社会をつなぐ新しい形として広がっていくことに、引き続き大きな可能性を感じています。
また、決済や価値保存といった場面でBitcoinを使う動きに加え、Bitcoinのトラストレスな技術を具体的な形で実装したプロジェクトやサービスが、我々の実社会生活に実質的な変化をもたらしていくかどうかが、焦点になります。
内田善彦/周南公立大学情報科学部

世界をみると、暗号資産という切り口が過去のものとなり、取引形態を意識した分類が定着してくるでしょう。すなわち、KYC付き暗号資産取引(以下、A型暗号資産取引)と、KYC無し暗号資産取引(以下、B型暗号資産取引)の分化が進むと思います。これに沿う形でステーブルコインもA型とB型に分化し、欧州ではA型ステーブルコインとこれに近いものとしてのCBDCの発行準備が進む一方で、米国ではA型、B型双方がそれぞれに発展するでしょう。平行して分散台帳技術の活用が広がりを見せ、暗号資産や決済手段ではDefiの高度化が更に進み、他の事例ではVerifiable Credentialsとその活用を軸に多種多様な応用が見られるようになるでしょう。ここでもA型とB型の分化が進むでしょう。
日本をみると、A型に関する議論や応用に深化が見られるものの、B型に関しては世界の進歩からの遅れが拡大すると考えます。ただ、B型の遅れの拡大は多くの市場参加者が認知しづらい形で密かに進行すると予想します。
A型、B型に分類しましたが、前者にプライベートチェーンを、後者にパブリックチェーンを対応づけて考えるのは適切でないと考えます。L2技術等の発展によって、これらの関係は更に多種多様となっていくと考えますし、旧来型のデータベースとの棲み分けもより進化すると考えます。なので、B型で劣後すると、重要な知見の一部の獲得が遅れることになりますから、付加価値が高い先端的な開発や応用の多くを域外からの輸入に頼ることに繋がるという意味で目が離せません。
ビットコインについてみると、DATと呼ばれる企業群が買い増しを継続できるかどうか、ロシアなど反米的な国家群がビットコインの利用をどの程度活発化させるのかどうか、が注目点と思います。特に、反米的な国家群がビットコインの利用を活発化させたときに米国がどう反応するのかは気になります。
星暁雄/ITジャーナリスト

10年前のクリプト、ブロックチェーン分野の楽観的なビジョンは、「パブリックブロックチェーンは社会インフラとなり、金融経済に破壊的イノベーションをもたらす」といったものだった。だが、その後のFacebookのLibera構想の挫折でわかるように、既存の金融コミュニティによる破壊的イノベーションへの防御は堅かった。
現状のクリプト(暗号通貨)は金融規制の檻の中に閉じ込められニッチな金融商品として扱われている。そして盗難事件やインサイダー取引疑いの事案が絶えない。
そんな中、米国で2025年に誕生した第2期トランプ政権は、クリプト規制のタガを外してしまった。クリプト業界のマネーはトランプ一族を豊かにし、その引き換えのようにBinance創業者は恩赦を得た。このような権力とクリプト業界の癒着は、業界の健全な成長にはむしろネガティブな材料だと考えている。
おわりに
本企画を最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。今年は129人の方々に寄稿いただけました。ご協力いただきました皆様に、編集部一同、深く感謝申し上げます。
私たちも微力ながらメディア活動を通じ、日本の暗号資産・ブロックチェーン業界を、業界内の皆様、読者の皆様と一緒に盛り上げていきたいと思っています。今年も「あたらしい経済」をよろしくお願い申し上げます。
あたらしい経済 編集部一同
設楽悠介・大津賀新也・髙橋知里・一本寿和・田村聖次・田中柊也・三ヶ尻 胡花
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