AIエージェントやミームコインや米規制緩和は、クリプト・DeFiの今をどう変える?(Mantle DeFi Growth Lead Gabriel Gareth Foo)

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​AIエージェントやミームコインや米規制緩和は、クリプト・DeFiの今をどう変える?

モジュール型のイーサリアムL2チェーンを提供する次世代金融インフラ「Mantle(マントル)」。今回編集部はそのMantleでDeFi Growth Leadを務めるGabriel Gareth Foo氏を取材した。Gabriel氏に、他のL2と比較したMantleの優位性や、CEXとDEXの共存の可能性、DeFi領域の今後の課題、そして日本市場へ印象などについて訊いた。

【インタビュー】Gabriel Gareth Foo(Mantle DeFi Growth Lead)

–クリプトとの出会い、そしてこれまでのキャリアについて教えてください。

私とクリプトとの出会いは、2013年にビットコインのホワイトペーパーを読んだ時です。もともとテクノロジーと金融に興味があった私は、最も興味深いイノベーションであるビットコインに夢中になりました。

ただ当時は取引所のような基本的なインフラが不足していた頃です。ビットコインを手に入れるのにはbitcointalk.orgのフォーラムでのP2P取引が必要でした。それは個人的にリスクがあると感じていましたね。そこでマイニングも始めました。ただマイニングで当時は採算が合わなかったので、しばらく興味を失っていた時期もありました。

そして再びクリプト領域に強い興味を持ったのが、2020年のCOVIDショックの時でした。その頃Terra/Lunaのエコシステムとコミュニティに深く入り込みました。それ以降は、Delphi Labs、Bybit、Spartan Labsでさまざまな仕事をして、その過程でクリプト領域における数多くの友人と出会うことができました。

Mantleについては、はじめは私のBybit時代の同僚から知ったんです。当時の多くの元同僚が、Mantleという新しい取り組みに移行していくのを聞いていました。私もこれまでの経歴とDeFiへの関心から、DeFiリードとしてMantleのチームに参加することを決めたんです。

Mantle 公式サイト より

–様々なL2がある中で、Mantleでの仕事を選んだ理由は何ですか?

当時まだまだMantleは一般の人たちに知られていない頃でしたが、他のレイヤー2エコシステムと比較して、Mantleには多くの可能性があると感じたんです。

Mantleにはとても優秀で意欲的なメンバーがいましたし、エコシステムには資本力のあるトレジャリーがあり、そして世界第2位の暗号資産取引所であるバイビットからの支援もある。それらに魅力と可能性を感じました。

–MantleのDeFi Growth Leadとして、Gabrielさんは日々、具体的にどのようなお仕事をしていますか?

DeFiの起業家や開発者と話し、Mantleネットワーク上で私たちが彼らをどのようにサポートするのがベストか検討しています。私たちは、Mantleのエコシステム全体からのサポートを受けながら、革新的なアイデアを次のレベルに引き上げたいと考えている、優秀なアイデアやプレイヤーを常に探しています。

日々の私はMantle ネットワークとそのエコシステムの成長を最大の目的に、パートナーシップの交渉や、ネイティブのMantleネットワークのインテグレーション、部門横断的な調整を担当しています。

— CEX(中央集権取引所)とDEX(分散型取引所)は共存していくと考えていますか? どのようにその2つは棲み分けていくと予想しますか?

CEXとDEXの両方が共存する余地はあると考えています。一部のユーザーはパーミッションレスやセルフカストディを好み、一方で他のユーザーはCEXの利便性を好みます。現在の取引所の状況をみれば、すでにこの2つの市場が共存していることが分かります。

そしてDEXの最終的な目標は、セルフカストディや分散化の価値を損なうことなく、CEXと同等の効率性、拡張性、利便性を実現することだと考えています。

–まだまだ伝統的な金融のプレイヤーがクリプトやDeFiについて理解がなく批判的な印象があります(特に日本では)。そのような人々のクリプトへの理解を促進するには、どのようなアクションが必要だと考えますか?

その地域ごとの企業、スタートアップ、開発者に対して規制を明確にし、成長の機会を提供することが、その地域を発展させる上での大きなゲームチェンジャーになります。その為にはこの領域をメインストリームにする教育が必要です。ユーザーがブロックチェーン技術を採用するメリットをよりよく理解できる安全な場が必要です。

まだこの領域の技術は新しいものです。だから既存システムに変化をもたらす為には、オープンマインドでこの技術にアプローチすることがとても重要なんです。

そして自由な市場やトークンの投機的な側面に焦点を当てるのではなく、基盤となるテクノロジーと、それがどのようにビジネス・ワークフローや金融システム、決済システムを改善できるかに焦点を当てるべきだと思います。

–DAppsを開発する上で、他のL2チェーンと比較してMantle Networkはどのような開発者にとっての優位性やメリットがあると考えていますか?

Mantle ネットワークは、イーサリアムとステーブルコインで流動資産10億ドル以上を保有しています。業界で資本力のあるオンチェーントレジャリーのひとつであるという圧倒的な強みがあります。

そしてこのトレジャリーは、エコファンドによる投資、トレジャリー所有の流動性、プロジェクトの成長を「0から1、1から10、10から100」へと導く開発者重視の助成金など、最高の企業家や開発者を支援するために積極的に展開されています。

さらにMantleネットワークに、知名度のあるプロダクト、チーム、起業家、ベンチャーパートナー、ビルダーアクセラレーター、ハッカソンなど、スタートアップが活用できる大きなエコシステムがあることも強みです。

Mantle エコファンド より

–ズバリ、Mantleのライバルはどのプロジェクトでしょうか?

Mantleは他のイーサリアム・レイヤー2ネットワークと比較されることが多いです。しかし私は、オンチェーンの画期的なイノベーションを通じ、次の10億人のユーザーを獲得するためには、もっとパイを大きくする努力をすべきだと考えています。

だから同じユーザー層を巡って争うのではなく、このような考え方や戦略を取り入れることが、ブロックチェーン技術をメインストリームにアダプションへアダプションさせる道だと信じています。

–最近AIエージェントが話題です。Gabrielさんは、AIエージェント×ブロックチェーンについてどのような可能性があると考えていますか?

私はAIエージェントとDeFiの組み合わせに強い興味を持っています。AIエージェントが、刻々と変化する市場状況に応じて高度なDeFi戦略を効果的に自動化できるとしたら、それは多くの暗号資産ネイティブのユーザーが活用するであろう、キラープロダクトになるでしょう。

–ミームコインのトレンドは今年も続くと予想していますか? 

ミームコインは、現在も多くの人々にとって重要な文化現象であり続けています。この状況が続く限り、良好な市場環境を前提に、ミームコインはトレンドセクターであり続けると思います。

–ビットコインが10万ドルを超え、暗号資産市場全体も今年再び盛り上がって来ています。DeFiのTVLも回復して来ています。DeFi領域において、今年はどのようなトレンドがあると予想しますか?

より多くの開発者がユーザーのエクスペリエンスやオンボーディング、定着率の向上に注力すれば、DeFiアプリケーションの質はますます向上していくと思います。

米国で「親」暗号資産な新政権が誕生したことで、業界の規制緩和が進み、企業がこれらの新しいイノベーションを堂活用できるかについて、より明確な指針が示されるようになりでしょう。それによってDeFiのイノベーションがさらに加速すると考えています。

おそらく今年はいくつかの新しい画期的なアプリケーションが登場するかもしれないと思っています。

–DeFi領域の今後の課題や、解決すべき問題点は何だと考えていますか?

米国の新しい規制がDeFiにどのような影響を与えるかについては、現段階ではまだ不透明で、それはDeFi開発者にとって大きな課題です。

規制リスク以外にも、DeFiにおけるユーザーのオンボーディングもまだまだ課題はあります。特にセルフカストディウォレット、ガス代、完全にオンチェーンで運用する上でのその他の技術的な課題があります。だからアカウント抽象化やガス代不要の取引、パスキー活用のスマートコントラクトウォレット、Eメールログインといった新しいイノベーションがどのように発展するかが、今後の成功を大きく左右すると思います。

–Gabrielさんは、日本の市場をどのように捉えていますか? 日本市場や日本のプレイヤーの印象があれば、教えてください。

日本はまだまだ未開拓の巨大市場だと考えています。だから決済アプリやDeFiなどのアプリケーションを通じてブロックチェーン技術の大きな恩恵を受ける可能性を秘めているはずです。

とはいえ、日本の市場はとても保守的で、規制が厳しいというイメージがあります。それがブロックチェーン技術のイノベーションやスタートアップの成長の妨げになっていると思います。そして投資家には高い税金が課せられている。そうなるとこの領域へ参入しようとする時の魅力が少ない状況だと思います。後それらをどう改善していかが課題でしょう。

–Gabrielさんの今後の予定や目標について教えてください。

Mantleでは、ブロックチェーンの既存システムを変革させる力を活用し、次世代の銀行を構築することを目指しています。

Mantleのコアとなる柱(Mantle Network、mETHプロトコル、イグニッションFBTC、そして今後登場する新たなプロダクト)とMantleのトレジャリーを組み合わせ、多くの起業家や開発者を支援し、イノベーションの限界を押し広げることを目指しています。

インタビューイ・プロフィール

Gabriel Gareth Foo
Mantle DeFi Growth Lead
Gabrielは、Ethereumのための高性能Layer2スケーリングソリューションであるMantle NetworkのDeFiグロースリードを務めている。ブロックチェーン業界での豊富な経験を持ち、以前はBybitのシニアリサーチアナリストおよびSpartan Labsのリサーチアソシエイトとして活躍したキャリアを持つ。現在は、その専門知識を活かし、Mantle上で革新的な分散型アプリケーションを構築するために開発者と緊密に連携し、Mantleの安全でスケーラブルなインフラを活用した広範なエコシステムの中で活発なDeFiエコシステムを育成に注力している。

X: https://twitter.com/0xGabe_
Telegram ID: @gabrielgarethfoo

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インタビュー/編集:設楽悠介(あたらしい経済)
翻訳/編集:髙橋知里(あたらしい経済)

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Gabriel Gareth Foo

Mantle DeFi Growth Lead
Gabrielは、Ethereumのための高性能Layer2スケーリングソリューションであるMantle NetworkのDeFiグロースリードを務めている。ブロックチェーン業界での豊富な経験を持ち、以前はBybitのシニアリサーチアナリストおよびSpartan Labsのリサーチアソシエイトとして活躍したキャリアを持つ。現在は、その専門知識を活かし、Mantle上で革新的な分散型アプリケーションを構築するために開発者と緊密に連携し、Mantleの安全でスケーラブルなインフラを活用した広範なエコシステムの中で活発なDeFiエコシステムを育成に注力している。

Mantle DeFi Growth Lead
Gabrielは、Ethereumのための高性能Layer2スケーリングソリューションであるMantle NetworkのDeFiグロースリードを務めている。ブロックチェーン業界での豊富な経験を持ち、以前はBybitのシニアリサーチアナリストおよびSpartan Labsのリサーチアソシエイトとして活躍したキャリアを持つ。現在は、その専門知識を活かし、Mantle上で革新的な分散型アプリケーションを構築するために開発者と緊密に連携し、Mantleの安全でスケーラブルなインフラを活用した広範なエコシステムの中で活発なDeFiエコシステムを育成に注力している。

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