【解説】暗号資産、なぜセルフカストディは必要? ハードウェア/ソフトウェア ウォレットの違いは?

Ledger

暗号資産のセルフカストディ(自己管理)とは?

最近、暗号資産(仮想通貨)の購入や取引を始めたばかりの方は「セルフカストディ」という言葉を耳にしたことがあるかもしれません。

セルフカストディとは、一言で言えば自分自身で暗号資産の秘密鍵(注:資産を動かせるパスワードのようなもの。詳細後述)を管理することです。取引所などの第三者に資産を預ける「カストディアル(他人管理)」とは異なり、ウォレットの秘密鍵を自分で保有するため、資産の真の所有権が自分にあります。よく暗号資産業界で言われる「Not your keys, not your coins(自分の鍵でなければ自分のコインではない)」というフレーズが示す通り、秘密鍵を自分で持っていなければ本当の意味で資産を所有しているとは言えないのです。

では、なぜセルフカストディがそれほど重要なのでしょうか? その理由は第三者に資産を預けることのリスクにあります。もし暗号資産を預けている取引所がハッキングに遭ったり経営破綻してしまったら、預けた資産を失う可能性があります。

実際、かつて世界最大だった取引所Mt.Gox(マウントゴックス)は2014年にハッキングされ閉鎖し、約85万BTCものビットコインが消失する事件が起きました。また、2022年には大手取引所FTXが経営破綻し、多くのユーザーが破綻直後に資産を引き出せなくなるという混乱が発生しました。このように他人任せの管理では想定外の事故で資産を失うリスクがあるため、自分自身で資産を管理するセルフカストディの重要性が叫ばれているのです。

もっとも、セルフカストディには「自由」と「責任」がセットになっています。第三者に頼らない分、自分でセキュリティに気を配らなくてはなりません。「自分が自分の銀行になる」イメージです。他人に任せれば楽な反面リスクがありますが、一方、自分で管理すればリスクをコントロールできますが手間がかかるのです。しかし適切な方法を理解し実践すれば、セルフカストディはあなたの資産を守る強力な手段となるでしょう。

この記事では、初心者の方にもわかりやすいようにセルフカストディの基本と、具体的なウォレット(ソフトウェアウォレットとハードウェアウォレット)の違い、使い方について段階的に解説していきます。まずはウォレットの種類とその特徴から見てみましょう。

ソフトウェアウォレット vs ハードウェアウォレット

セルフカストディを実践するには、自分で暗号資産ウォレットを用意する必要があります。ウォレットには大きく分けてソフトウェアウォレット(ホットウォレット)とハードウェアウォレット(コールドウォレット)という2種類があります。それぞれの違いを理解するために、まずウォレットの基本から押さえましょう。

暗号資産ウォレットとは、ビットコインやイーサリアムなどの暗号資産を管理するためのツールです。ただし、「ウォレット」と言っても中にコインそのものが入っているわけではありません。実際にはウォレットはブロックチェーン上の資産にアクセスし管理するための秘密鍵という情報を保存しています。

秘密鍵とは、その資産を動かすためのデジタルの鍵であり、これが他人に漏洩すると資産を盗まれてしまいます。一方、ウォレットには対応する公開鍵から生成されたアドレスがあり、こちらは他者から暗号資産を受け取るために公開して使います。要するに、ウォレット=秘密鍵の保管庫であり、その鍵を使ってブロックチェーン上の自分の口座を動かすイメージです。

ウォレットには、取引所が管理するウォレット(カストディアル)と、自分で管理するウォレット(ノンカストディアル)があります。セルフカストディでは後者のノンカストディアルウォレットを使います。ノンカストディアルウォレットでは自分自身が秘密鍵を直接保有するため、仮にウォレット提供元のサービスが停止しても、自分の鍵さえあれば資産にアクセスできます。この点が取引所などの管理ウォレットとの決定的な違いです。

それでは、ノンカストディアルウォレットの代表であるソフトウェアウォレットハードウェアウォレットについて、それぞれ特徴を詳しく見てみましょう。

ソフトウェアウォレットとは?

ソフトウェアウォレットは、その名の通りソフトウェア上で動作するウォレットです。スマートフォンのアプリやパソコン用ソフト、ブラウザ拡張機能などの形で提供され、インターネットに常時接続されたデバイス上で動きます。有名なソフトウェアウォレットの例として、Phantom(ファントム)やBackpack(バックパック)、MetaMask(メタマスク)」などがあります。これらは無料で簡単にインストールでき、初心者が最初に使うウォレットとして選ばれることも多いです。

ソフトウェアウォレットをインストールすると、まずウォレット内で秘密鍵(≒シードフレーズ)が生成されます。ユーザーは表示された12語や24語の英単語のリスト(シードフレーズ)を紙に書き写してバックアップを取ります。このシードフレーズがあれば、仮にアプリを消してもスマホを無くしても、別のデバイスでウォレットを復元できます。一方で、このフレーズを第三者に知られると資産を盗まれる恐れがあるため、厳重に保管しなければなりません。

ソフトウェアウォレットはホットウォレットとも呼ばれ、秘密鍵を暗号化して端末内に保管しつつ、必要に応じてネットワーク上でトランザクションに署名します。例えばMetaMaskでは、トランザクション実行時に確認画面が表示され、「承認」をクリックするとウォレット内部で秘密鍵が使われ署名が行われます。その後、署名済みの取引データがブロックチェーンに送信される仕組みです。一連の操作はすべてソフトウェア上で完結し、ユーザーにとってはスマホやPCでオンラインバンキングを操作する感覚に近いでしょう。

ソフトウェアウォレットのメリット:

  • 手軽さと低コスト: アプリをダウンロードするだけで誰でもすぐに利用開始できます。基本的に無料で使えるものが多く、初期費用がかかりません。
  • 利便性と速度: 常にネット接続されているので送受信の操作が素早く、DeFiアプリやNFTマーケットなど各種dApps(分散型アプリ)との連携も容易です。例えばMetaMaskを使えばワンクリックでWeb3サービスに接続でき、トークンのスワップやゲーム内アイテムの購入などがスムーズに行えます。
  • マルチプラットフォーム対応: スマホ、タブレット、PCなど自分の使いやすい環境で利用できます。外出先でもスマホウォレットで残高確認や送金ができるのは便利です。

ソフトウェアウォレットのデメリット:

  • セキュリティリスク(オンラインの脅威): 最大の弱点は秘密鍵がインターネット接続されたデバイス内に存在することです。デバイスがマルウェアやウイルスに感染すると、秘密鍵やシードフレーズを盗まれるリスクがあります。またフィッシング詐欺によって秘密鍵を抜き取られたり、偽のウォレットアプリをインストールさせられる事件も起きています。常時ネットに繋がっている「ホットストレージ」であるがゆえに、利便性と引き換えにセキュリティ面では脆弱になりがちです。
  • ユーザーの操作ミス: ソフトウェアウォレットは手軽な反面、誤操作のリスクもあります。例えばシードフレーズのバックアップを忘れてアプリを削除してしまったり、端末紛失時に復元できなくなるケースがあります。また送金時にアドレスを間違えて入力すると取り返しがつかない点はハードウェアでも共通ですが、ソフトウェアウォレットでは特に初心者がうっかりミスをしやすい環境とも言えます。
  • 他人による管理への誘惑: ソフトウェアウォレットは便利なため、「つい取引所に預けっぱなしにするのと変わらない使い方」をしてしまう人もいます。例えばスマホウォレットで資産管理していたが、もっと簡単だからと結局取引所アプリに戻ってしまうケースです。セルフカストディを徹底するには強い意志も必要です。この点はメンタルな側面ですが、初心者が自分で管理を続けるには乗り越えるべきハードルかもしれません。

こうした理由から、ソフトウェアウォレットは便利で使い始めやすい反面、大きな額を保管するには不安が残ると言えます。そのため業界では「ソフトウェアウォレットを使うなら常にハードウェアデバイスとペアリングせよ」とも言われます。

例えばPhantomやBackpack、MetaMaskと、ハードウェアウォレットであるLedgerデバイスを連携させれば、ソフトウェアウォレットの操作性を維持しつつ実際の署名はLedger(ハードウェア)で行うことができます。このように安全性を補強する使い方もありますが、まずは次に紹介するハードウェアウォレット自体について理解しておきましょう。

ハードウェアウォレットとは?

ハードウェアウォレットは専用の物理的なデバイス上で暗号資産の秘密鍵を管理するウォレットです。USBメモリのような形状の小型デバイスが一般的で、これ自体が小さなコンピューターになっています。このデバイス内部のセキュアチップに秘密鍵を格納し、トランザクションの署名処理もデバイス内部で完結させることで、秘密鍵をネットから完全に隔離して保護します。簡単に言えば「オフライン環境で鍵を守る金庫」のようなものです。

参考:Ledgerのハードウェアウォレット(Ledger Flex, Stax, Nano X, Nano S Plus

ハードウェアウォレットを使用する際は、通常パソコンやスマホに接続して、専用のアプリ(Ledger のウォレットの場合はのLedger Liveなど)を通じて操作します。たとえば送金を実行すると、取引データが一度パソコン/スマホからハードウェアウォレットに送られ、デバイス上に内容が表示されます。ユーザーはデバイスの画面に表示された送金先アドレスや金額を確認し、物理的に存在するボタンやタッチスクリーンを操作して「承認」します。するとデバイス内部で秘密鍵を用いてトランザクションにデジタル署名が行われ、署名済みデータがPC/スマホ経由でブロックチェーンに送信されます。

重要なのは、このプロセスで秘密鍵そのものはデバイスの外に出ないことです。仮にPCがウイルスに感染していても、デバイスから秘密鍵が抜き取られる心配はありません。悪意あるプログラムが不正な送金を試みても、ユーザーがデバイス上で内容を確認・承認しない限り送金は実行されません。まさに物理的なセキュリティとデジタルの利便性を組み合わせた仕組みと言えます。

ハードウェアウォレットのメリット:

  • 最高水準のセキュリティ: オンラインの脅威から秘密鍵を隔離できるため、現時点で最も安全なウォレット形態と評価されています。実際、多くの専門家や暗号資産長期保有者は、大切な資産は必ずハードウェアウォレットで保管しています。ソフトウェアウォレットで必要とされるウイルス対策やOS管理の負担を、ハードウェアが肩代わりしてくれるイメージです。「本気で暗号資産を守りたいならハードウェアウォレットは必須」とまで言われるほどです。
  • 秘密鍵の安全な生成と保管: ハードウェアウォレットは初期セットアップ時にデバイス内部で安全に乱数を生成し、シードフレーズを作成します。これにより、オンライン機器に触れることなく安全な秘密鍵を得ることができます。また生成後の秘密鍵/シードフレーズはデバイス外には表示されないため(ユーザーは物理的にメモするだけ)、秘密鍵の漏洩リスクを極小化できます。
  • PINコードと物理的なボタンによる保護: デバイス自体にPINコードロックがあり、仮に他人にデバイスを奪われてもPINを知られない限り悪用されません。一定回数以上PINを間違えると装置内のデータが消去される仕組みもあります。さらに署名を使った承認には物理的なボタン操作やタッチが必要で、遠隔からハッキングで操作される心配もほぼありません。
  • 互換性と復元性: ハードウェアウォレットで作成されるシードフレーズは多くがBIP39という規格に沿っています。そのため、仮にデバイスが故障してもシードフレーズを使って他のデバイスや対応ソフトウェアウォレットで復元可能です。Ledgerなどの製品同士であれば新しいデバイスに同じフレーズを入力してクローンを作ることもできます(2台体制でバックアップ機を持つ人もいます)。このように「デバイスに依存しすぎない」点も安心材料です。

ハードウェアウォレットのデメリット:

  • 初期費用と入手の手間: ソフトウェアウォレットが無料なのに対し、ハードウェアウォレットは製品を購入する必要があります。価格は製品にもよりますが数千円~数万円程度です。例えば私たちLedger社のLedger Nano S Plusは約1万円弱、Nano Xは約2万円ほど、最新のLedger Staxは4~5万円近くします。また入手も通販や正規代理店を利用する必要があり、届くまで待つ必要があります。ただし、「高価な金庫を買う」イメージで捉えれば、守る資産額次第では決して高い買い物ではないでしょう。
  • 操作や管理の煩雑さ: 専用デバイスを接続して使用するため、ソフトウェアウォレットに比べひと手間かかります。送金のたびにデバイスを取り出して接続し、ボタン操作で確認する必要があります。また初期設定時にシードフレーズをデバイスの小さな画面で確認しながら書き留めるなど、初心者には少しハードルが高く感じる部分もあります。しかし最近のデバイスは画面が大型化し操作性も向上していますので、慣れれば問題ないでしょう。
  • 紛失・破損リスク: デバイスそのものを無くしたり壊したりするリスクがあります。無くしてしまった場合、シードフレーズさえ安全に保管していれば資産は失われませんが、デバイスが手元に戻らない間は送金などの操作ができなくなります。また先述のようにPINロックがありますが、万一家族などに勝手に操作されて資産を送金されるといった物理的なリスクもゼロではありません(特に身近な人に対する対策は難しいところです)。
  • 完全な安全ではない点: ハードウェアウォレット自体のセキュリティは非常に高いものの、ユーザーがフィッシングサイトで偽の取引を承認してしまった場合など、人為的ミスによる被害は起こりえます。またごく稀にですが、ハードウェアウォレットのファームウェアに脆弱性が見つかるケースもあり、その際はアップデート対応が必要です。つまり「ハードウェアだから絶対安心」と油断せず、常に最新の注意を払うことは重要です。

総合すると、ハードウェアウォレットはセキュリティ最重視の人や長期保有・大きな額の資産管理に適した選択肢と言えます。初心者にとっては価格面・手間面で少しハードルが高いですが、一度設定してしまえば安心感を得られるでしょう。

セルフカストディの実践方法とベストプラクティス

ここまでで、セルフカストディの概要やソフトウェアウォレットとハードウェアウォレットの特徴ついて解説してきました。。

では、いよいよ実際にセルフカストディを始めるには何をすれば良いのでしょうか? 初心者の方が安心して自己管理を実践できるよう、基本的な手順とベストプラクティス(安全に管理するコツ)をまとめます。

①ウォレットを準備する:

まずは自分が使うウォレットを決めましょう。すぐにハードウェアウォレットを用意するのが難しければ、最初は信頼できるソフトウェアウォレットから始めても構いません。ただし将来的にハードウェアへの移行も視野に入れておくと良いでしょう。なおハードウェアウォレットを使う場合は、そのウォレットの正規販売店や公式サイトからデバイスを購入し、届いたら箱に封印シール等があるか確認してください(開封済みでないことのチェックです)。ソフトウェアウォレットの場合は公式サイト・公式ストアからアプリをダウンロードし、間違っても非公式なリンクや偽アプリを踏まないよう注意しましょう。

②ウォレットをセットアップする:

ウォレットが準備できたら初期設定を行います。ハードウェアウォレットでは、デバイスの電源を入れて画面の指示に従いましょう。初回起動時にPINコードの設定とシードフレーズ(秘密の復元用フレーズ)の確認が求められます。シードフレーズは紙に書き写し、絶対に他人に見られないよう保管してください。ソフトウェアウォレットでも同様にアプリ内でシードフレーズが表示されるので、これを書き留めます。この際、シードフレーズをデジタル(スクショやメモ帳アプリ)で保存しないのが鉄則です。必ずオフラインの紙や金属板(専用のバックアッププレート等が市販されています)に記録しましょう。

③シードフレーズの安全な保管:

セルフカストディにおいて最も重要と言っても過言ではないのが、このシードフレーズの保管です。シードフレーズさえ流出しなければ資産は安全ですが、逆に言えばシードフレーズを盗まれたり紛失すると資産を失います。以下のポイントに注意してください:

  • シードフレーズを書いた紙は人目につかない安全な場所に保管する(自宅の耐火金庫、銀行の貸金庫など)。可能なら複数コピーを作成し、別々の安全な場所に分散保管する。
  • 家族や信頼できる人にも内容は安易に教えない。万一自分に何かあった時のために託す場合でも、信頼性とリスクをよく考える。
  • 絶対にオンライン上で入力しない。詐欺サイトや偽アプリは「復元」「秘密鍵入力」などの名目でシードフレーズを入力させ盗もうとします。基本的にウォレット初期設定以外でシードフレーズを入力する場面は無いと思ってください(新しいデバイスに復元するときくらいです)。
  • 定期的にバックアップの状態を点検する。紙が劣化して読めなくなっていないか、インクが滲んでいないか確認しましょう。金属プレートを使っていれば安心ですが、サビや紛失には注意です。

④少額から操作に慣れる:

ウォレットの準備とバックアップができたら、実際に暗号資産を入れてみましょう。最初は怖いと思うので、少額(例えば数千円相当)を取引所から自分のウォレットに送金してみます。送金アドレスをウォレット側でコピーし、取引所の出金画面に貼り付けて送りましょう。不安な場合はテストとして極少額で一度送信し、正しく着金するか確認してから残りを送ると安心です。

送金ができたら、今度はウォレットから取引所や他のアドレスへ送り返す操作も試してみましょう。ハードウェアウォレットの場合、都度デバイスでの承認が必要になりますが、これにも慣れておきます。操作に慣れることで、「本当に自分が管理できている」という実感が湧き、安心感に繋がります。

⑤ウォレットとアプリのアップデート:

ハードウェアウォレットのファームウェアや、Ledger Liveのようなハードウェアウォレットに対応したアプリケーションは定期的にアップデートが提供されます。これには新機能追加だけでなくセキュリティ向上の目的もあります。必ず公式から最新バージョンにアップデートするようにしましょう。特に長期間使っていなかったデバイスを再使用する際は、最初にアップデート確認することをお勧めします。

⑥日常のセキュリティ意識:

セルフカストディを続ける上で、ユーザー自身のセキュリティ意識も大切です。例えば以下の点に気をつけましょう:

  • PCやスマホに不審なソフトを入れない、怪しいサイトは開かない。ウォレット操作専用の端末を用意できればベストです。
  • メールやSNSで「エアドロップ当選」などシードフレーズを入力させようとする詐欺に注意する。ハードウェアウォレットメーカーを装ったDMが来ることもありますが、そういった会社がシードフレーズを聞いてくることは絶対にありません。
  • 送金時のアドレス確認を怠らない。マルウェアによってコピーしたアドレスを差し替えられるケースがあります。送金前にアドレスの先頭数桁と末尾数桁を目視で照合する習慣をつけましょう。ハードウェアウォレットならデバイス画面にもアドレスが表示されるので、可能な限りデバイス上の表示と突き合わせて確認するのが安全です。
  • 公共の場でウォレットを操作する際は肩越しに見られないよう注意する。特にデバイスのPIN入力時やシードフレーズを書いた紙の取り扱い時は厳重に。

以上がセルフカストディを安心して実践するための基本的なステップと心構えです。最初は大変に思えるかもしれませんが、一度ルーチンにしてしまえばそれほど難しくはありません。「自分の資産を自分で守れている」という感覚は、きっと大きな安心とやりがいをもたらしてくれるでしょう。

どちらを選ぶべき? ウォレットタイプ別おすすめユーザープロファイル

最後に、「ソフトウェアウォレット」と「ハードウェアウォレット」のどちらを使うべきか、初心者の方が悩んだときのために具体的なユーザープロファイル別のおすすめを紹介します。それぞれの特徴を踏まえ、自分がどのタイプに当てはまりそうか参考にしてください。

ソフトウェアウォレットがおすすめの人

  • とにかく手軽に試してみたい超初心者: 暗号資産の金額も少額で、「まずはウォレットというものを触ってみたい」という段階なら、ソフトウェアウォレットで十分でしょう。例えばスマホアプリを入れて数千円分のビットコインを管理してみるところから始めてみてください。操作に慣れたら、資産が増える前にハードウェアウォレット導入を検討すると良いです。
  • 頻繁に取引・決済を行う人: 毎日のように送金やスワップを行ったり、少額の支払いに暗号資産を使ったりする場合、ソフトウェアウォレットの機動力が役立ちます。素早くアクセスして送受信できるホットウォレットは、小さな金額を動かす「日常用財布」として便利です。ただし大金は入れず、あくまで必要最小限の残高に留めましょう(まさに日常の財布と貯金用金庫を分けるイメージです)。
  • Web3ゲームやDAppを積極的に利用する人: ブロックチェーンゲームで頻繁にアイテムをやり取りしたり、様々な分散型アプリを試したい場合、都度ハードウェアを使うのは煩わしいこともあります。そうした少額のアクティビティ用としてソフトウェアウォレットは適しています。Phantomなどで複数のネットワークを切り替えたり、新興プロジェクトを試す際もフットワーク軽く動けます。ただしこちらも遊び用資金に留め、資産の大部分は別途安全に保管しましょう。
  • 予算をかけずに始めたい人: 資産額自体もまだ小さく、ハードウェアウォレットを買うお金をかけるほどでもない…という場合、ひとまずソフトウェアウォレットでセルフカストディを体験するのも手です。無料で始められるのでリスクは低いです。ただし高額の資産を長期で持つ予定ができたら、早めにハードウェアへの移行を検討してください。セキュリティ投資は「転ばぬ先の杖」です。

ハードウェアウォレットがおすすめの人

  • 長期投資・大量保有する人: ビットコインやイーサリアムを「数年単位で長期保有する」「〇〇万円以上のまとまった額を持っている」という方は、迷わずハードウェアウォレットを導入しましょう。取引頻度は低くても、その資産が失われたときのダメージが大きい場合、安全第一で保管すべきです。例えばLedger Nanoシリーズのような手頃なもので構わないので、一度設定してしまえば後は安心して眠れるでしょう。
  • セキュリティに不安症な人: 自分のPCやスマホがウイルスに感染していないか常に不安…というような心配性の方こそ、ハードウェアウォレットは強い味方です。秘密鍵をオフラインに隔離できるので、極端な話PCがウイルスまみれでも資産は守られます(もちろん極端な状況は避けるべきですが)。「最悪の事態まで想定して備えたい」タイプの人にはハードウェアウォレットの堅牢さが精神的支柱になるでしょう。
  • 本格的に暗号資産に取り組む人: これからDeFiで資産運用をしたり、NFTを高額取引したりと、本格的にWeb3の世界に踏み込むつもりなら、早めにハードウェアウォレットを入手しておくのがおすすめです。MetaMaskとハードウェアウォレットを連携させておけば、高額なNFTを取引する際も毎回デバイスで確認を求められるので安心感が違います。プロのトレーダーやコレクターほどハードウェアウォレットを活用しています。
  • 将来に備えて万全を期したい人: 今は保有額が少なくても、「これからコツコツ買い増して将来的に〇〇円くらいの価値になるかも」と考えている人にもハードウェアウォレットは有用です。資産額が増えてから移行しようとして慌てるより、早めに環境を整えておいた方がスムーズです。特に強気相場で資産評価額が急増すると、盗難リスクも高まります。そうなる前に金庫を用意しておくイメージです。

以上、ハードウェアウォレットとソフトウェアウォレットの違いを比較しながら、セルフカストディの重要性と実践方法について解説しました。初心者の方にとって盛りだくさんの内容だったかもしれませんが、段階を追って押さえるべきポイントは理解していただけたでしょうか。

最後に強調したいのは、「自分の資産を守れるのは自分だけ」というセルフカストディの精神です。他人任せにしないことでリスクを減らし、真の意味で金融の自由と自主性を手に入れることができます。そのためのツールとして、ソフトウェアウォレットとハードウェアウォレットという選択肢があり、Ledgerをはじめ優れた製品が存在しています。それぞれ一長一短はありますが、本質的には「秘密鍵を自分で管理する」というゴールは同じです。ぜひ本記事の内容を参考に、ご自身に合った方法でセルフカストディにチャレンジしてみてください。

初めは戸惑うかもしれませんが、自分で資産管理ができるようになると暗号資産ライフが一段と充実したものになるはずです。あなたの大切なコインを安全に、そして自由に扱えるようになる未来を応援しています!

Ledger社について

本記事を寄稿したLedger社はハードウェアウォレット市場で世界的に人気が高いメーカーの一つです。Ledger社はフランス発の企業で、2014年から暗号資産用ハードウェアウォレットを開発・販売してきたパイオニアです。現在代表的なハードウェアウォレットとしてLedger Nanoシリーズ(Nano S Plus / Nano X)、および新ラインナップとしてよりリッチな体験ができるLedger Stax™ と Ledger Flex™を発売しています。またそれらのウォレットに対応したソフトウェア「Ledger Live」を提供しております。

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<本記事について>
本記事はLedger SASによる寄稿記事です。本記事は一般的な情報の提供のみを目的としたものであり、いかなる暗号資産、有価証券等の取得、ステーキング、リステーキング等を勧誘するものではありません。また、株式会社幻冬舎及びLedger SASによる投資助言を目的としたものではありません。また株式会社幻冬舎及びLedger SASが暗号資産の価値を保証するものでもありません。暗号資産投資やステーキング、リステーキングなどのDeFiの運用にはリスクが伴います。投資やステーキング、リステーキング等を行う際はリスクを了承の上、利用者ご自身の判断で行ってください。

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Ledger社は、ハードウェアウォレット市場で世界的に人気が高いメーカーの一つです。Ledger社はフランス発の企業で、2014年から暗号資産用ハードウェアウォレットを開発・販売してきたパイオニアです。現在代表的なハードウェアウォレットとしてLedger Nanoシリーズ(Nano S Plus / Nano X)、および新ラインナップとしてよりリッチな体験ができるLedger Stax™ と Ledger Flex™を発売しています。またそれらのウォレットに対応したソフトウェア「Ledger Live」を提供しております。

Ledger社は、ハードウェアウォレット市場で世界的に人気が高いメーカーの一つです。Ledger社はフランス発の企業で、2014年から暗号資産用ハードウェアウォレットを開発・販売してきたパイオニアです。現在代表的なハードウェアウォレットとしてLedger Nanoシリーズ(Nano S Plus / Nano X)、および新ラインナップとしてよりリッチな体験ができるLedger Stax™ と Ledger Flex™を発売しています。またそれらのウォレットに対応したソフトウェア「Ledger Live」を提供しております。