イーサリアムが「性能・使いやすさ・堅牢性」を同時に伸ばす体制へ
イーサリアム財団(Ethereum Foundation)が、2026年に向けたプロトコル開発の優先事項を整理したアップデートを2月18日に公式ブログで公開した。今回の更新は新たな技術方針を示すものではなく、これまで進めてきた取り組みを踏まえ、今後の開発をどの軸で進めていくのかを明確にする内容となっている。
財団が示した全体像を要約すると、イーサリアムは今後、「処理能力の拡張」「使いやすさの改善」「基盤としての安全性維持」という3つのテーマを同時に進めながら、段階的にスケールしていく方針を明確にした形だ。
同財団は2025年6月以降、プロトコル開発を「L1(メインネット)のスケーリング」「ロールアップ向けデータ可用性(ブロブ)の拡張」「UX改善」の3つの戦略的イニシアチブに分けて進めてきた。この枠組みのもと、「ペクトラ(Pectra)」や「フサカ(Fusaka)」といった主要アップグレードが実装され、一定の成果が確認されたことから、2026年以降はより整理された形で開発体制を再編するとのこと。
具体的には、今後のプロトコル開発を「スケール(Scale)」「UX改善(Improve UX)」「L1の堅牢化(Harden the L1)」の3つのトラックに再編する。
「スケール」は、メインネット自体の処理能力拡張と、L2チェーンが利用するデータ供給の拡張を一体で進めるトラックだ。これまでガスリミット引き上げと、ロールアップがデータ可用性のために投稿する「ブロブ」データの拡張は別々に議論されてきた。これを共通の制約条件を前提に同時に設計することで、メインネットとロールアップの双方を通じた取引処理能力の拡張を進める狙いがある。
「UX改善」は、アカウント抽象化やチェーン間の相互運用性に重点を置き、ユーザーやアプリが複数のチェーン構造を意識せずに利用できる環境を整えることを目的とする。スマートコントラクトウォレットを前提とした設計をプロトコルに組み込み、より柔軟で分かりやすい利用体験を目指す。
一方、「L1の堅牢化」は今回新設されたトラックで、スケーリングやUX改善が進む中でも、セキュリティや検閲耐性、ネットワークの信頼性といったイーサリアムの基盤的性質を維持することを目的としている。性能向上とは別軸で、「安全に拡張できているか」を継続的に検証する役割を担う。
財団は、こうした整理を踏まえ、次の主要ネットワークアップグレードとして「グラムステルダム(Glamsterdam)」を2026年前半に予定している。以降も段階的なアップグレードを通じて、処理能力の拡張と安全性確保を並行して進めていく方針だ(なお公式ブログでは、グラムステルダムに続くアップグレードとして「ヘゴタ(Hegotá)」を同年後半に予定している)。
今回のアップデートは、イーサリアムのロードマップを変更するものではないが、どの課題をどの軸で同時に進めていくのかを明確に示した点に特徴がある。イーサリアムは、単に性能を引き上げるのではなく、使いやすさと信頼性を維持しながら、段階的にスケールする設計思想を改めて打ち出した形だ。
Protocol Priorities Update for 2026https://t.co/gW41FhqA4q
— Ethereum Foundation (@ethereumfndn) February 18, 2026
参考:イーサリアム財団
画像:PIXTA