ナイキがRTFKT購入者から提訴
ナイキ(Nike)が、ナイキをテーマにしたNFTやその他の暗号資産(仮想通貨)を購入したユーザーらから、4月25日に提訴された。ユーザーらは、これらの資産を生み出した事業部門をナイキが突如閉鎖したことで、大きな損失を被ったと主張している。
米ニューヨーク州ブルックリンの連邦地裁に提出された集団訴訟案によれば、豪州在住のジャグディープ・チーマ(Jagdeep Cheema)氏ら購入者は、ナイキ傘下のRTFKT(アーティファクト)部門が2024年12月に突然閉鎖されたことで、NFTの需要が急減したと述べている。
訴状によると購入者らは、これらのトークンが未登録証券であり、ナイキが「彼らの足元からラグを引き抜く(事業を突然終了する)ことになると知っていれば、当初の価格では、あるいはそもそも購入しなかっただろう」と主張している。
米オレゴン州ビーバートンに本拠を置くナイキは、コメント要請にすぐには応じなかった。原告側弁護士のフィリップ・キム(Phillip Kim)氏もコメントを控えた。
NFTの法的地位は依然不確定であり、連邦法のもとでNFTが証券に該当するかを巡って、多くの訴訟が続いている。
今回の訴訟では、ニューヨーク州、カリフォルニア州、フロリダ州、オレゴン州の消費者保護法違反に基づき、500万ドル(約7億6,500万円)超の損害賠償が求められている。
ナイキは2021年12月にRTFKTを買収しており、当時ナイキは同ブランドが「最先端のイノベーションを活用し、文化とゲームを融合させた次世代コレクティブル(収集品)を提供している」と評していた。
ナイキは2024年12月2日、RTFKTの事業終了を発表。事業終了後も「RTFKTが触発した無数のクリエイターやプロジェクトを通じて、同ブランドの革新性は生き続けるだろう」と述べていた。
本件訴訟の正式名称は「Cheema v Nike Inc」、係属裁判所は米国ニューヨーク東部地区連邦地方裁判所、事件番号は25-02305である。
※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
Nike sued over closure of crypto business
(Reporting by Jonathan Stempel in New York; Editing by Cynthia Osterman)
翻訳:大津賀新也(あたらしい経済)
画像:Reuters