ヴィタリック、「リキッドステーキング」の中央集権化リスクに言及

ヴィタリックがリキッドステーキングのリスクに言及

イーサリアム(Ethereum)の共同創業者であるヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏が、「イーサリアムのリキッドステーキングエコシステムによる中央集権化リスク」について言及した。これについては、台湾で3月21~24日に開催されたイベント「ETH Taipei 2024」内で話された内容だ。

ヴィタリックによると、イーサリアムのプルーフ・オブ・ステーク(PoS)は現在リキッドステーキングサービスを使用したステーキングがネットワークの大部分を占めており、ソロステーキングが可能なユーザーでさえもリキッドステーキングサービスを利用しているため、中央集権化しているとのこと。

この現状の打開策としてヴィタリックは「レインボーステーキング」を紹介した。「レインボーステーキング」は、イーサリアム研究者向けのフォーラムにてイーサリアム財団(Ethereum Foundation)のバルナべ・モノ(Barnabé Monnot)氏が2月に紹介していた技術である。

「レインボーステーキング」は、ステーキングを「ヘビーステーキング」と「ライトステーキング」に分け、ステーキング報酬の配分の最適化を目指すもの。「ヘビーステーキング」は多額のステーキング参加費を必要としネットワーク運用において重要な役割を果たすステーキング。また「ライトステーキング」は、ネットワークにおける取引の多様性や分散性を増加させることを目的としたステーキングだ。

ヴィタリックは、この「レインボーステーキング」について実用化にはまだ研究開発が必要としながらも、同技術に注目していることを明らかにした。

ヴィタリック氏は以前、「イーサリアムはプロトコルにもっと多くのものを記述して問題ないでしょうか?:Should Ethereum be okay with enshrining more things in the protocol?」というタイトルのブログを投稿し、今回の「リキッドステーキングの中央集権化リスク」について問題提起をしていた。

「DAO(分散型自律組織)や一定額の出資者などによる投票で運用ノードのオペレーターを決定するメカニズム」をリキッドステーキングプロパイダーが採用しているが、このことが、ネットワークに影響を及ぼし得る量のノードの権利が集中していることから、悪意ある攻撃者による潜在的なリスクにさらされる可能性があるとヴィタリックは警告した。

さらにヴィタリックは、「ユーザーへ多様なリキッドステーキングサービスを利用するよう推奨することは、道徳的な力に頼ることになり、現実的でない」とし、イーサリアムのプロトコル自体に中央集権化を防ぐ機能の追加を検討していると語っている。

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この記事の著者・インタビューイ

田村聖次

和歌山大学システム工学部所属 格闘技やオーケストラ、茶道など幅広い趣味を持つ。 SNSでは、チェコ人という名義で、ブロックチェーンエンジニアや、マーケターとしても活動している。「あたらしい経済」の外部記者として記事の執筆も。