トークン化株式、取引高が市場規模の伸びを上回るペースで拡大
バイナンス(Binance)の調査部門バイナンス・リサーチ(Binance Research)が、トークン化株式市場の動向を分析したレポート「When Stocks Become On-Chain Assets(株式がオンチェーン資産になるとき)」を9月11日に公開した。
同レポートはバイナンスのサービスに限らず、複数の発行体やブロックチェーンにまたがるトークン化株式市場を対象とする。バイナンス・リサーチは、トークン化株式の取引高やDeFi(分散型金融)での利用が、市場規模の伸びを上回るペースで拡大していると分析した。
トークン化株式は、株式や上場投資信託(ETF)などへの経済的なエクスポージャーをブロックチェーン上のトークンとして提供する商品などを指す。原株式との法的な関係や投資家に与えられる権利は商品によって異なり、必ずしもトークン保有者が原株式を直接所有するわけではない。
レポートが追跡するトークン化株式のアクティブ時価総額は、2026年初めの9億6,500万ドル(約1,488億円)から9月9日時点で約40億ドル(約6,168億円)へ増加した。年初来の増加率は314%となった。
一方、レポートが追跡する発行体のDEX(分散型取引所)における月間取引高は、2026年1月の2億3,700万ドル(約365億円)から8月には79億ドル(約1兆2,183億円)へ増加し、33倍超となった。
月間取引高を平均アクティブ時価総額で割った回転率も、同期間に0.23倍から2.14倍へ上昇した。回転率が高いほど、市場に流通する資産規模に対して売買が活発に行われていることを示す。バイナンス・リサーチは、こうしたデータから、トークン化株式の市場規模だけでなく、実際の取引活動も拡大していると分析した。
こうした取引拡大を牽引したのが、バイナンスグループの関連会社ビーテック・ホールディングス・リミテッド(BTech Holdings Limited)が発行するトークン化証券「bStocks」と、ロビンフッド(Robinhood)のトークン化株式だ。両者がレポートの追跡対象となる発行体別DEX取引高に占める合計シェアは、今年6月の0.8%から7月には34.3%、8月には82.3%まで上昇したとのことだ。
なおレポートは、トークン化株式がミームコインなどとの取引ペアで使われていることも、取引高拡大の要因に挙げた。ロビンフッドチェーン(Robinhood Chain)のサンプルでは、8月30日までの累計DEX取引高の32.1%にあたる7億1,120万ドル(約1,097億円)が、主にミームコインなど他のトークンとの取引によるものだったという。バイナンス・リサーチは、こうした取引が、長期保有を目的とする株式需要が同じ割合で増えなくても回転率を押し上げる可能性があると説明した。
バイナンス・リサーチは、この変化から、トークン化株式市場の競争軸が単に商品を発行する段階から、商品をユーザーへ届ける「流通」へ移りつつあると分析した。トークン化株式を発行するだけでなく、既存のユーザー基盤などを通じて利用者を獲得し、継続的な取引や流動性につなげることが重要になるとの見方だ。
トークン化株式のDeFi預かり資産額は年初から約13倍に
レポートが追跡するトークン化株式のDeFiにおけるアクティブな預かり資産総額(TVL)は、年初の2,160万ドル(約33億円)から9月9日時点で2億8,910万ドル(約446億円)へ増加し、年初来1,242%増となった。TVLは、DeFiのスマートコントラクトに預け入れられている資産の総額を示す指標だ。アクティブ時価総額に占めるDeFi TVLの割合も、同期間に2.2%から7.2%へ上昇したとのこと。
トークン化株式はブロックチェーン上のトークンとして発行されるため、対応するDeFiのスマートコントラクトに組み込み、流動性提供やレンディングなどに利用できる。レポートが集計したDeFi TVLの用途別では、流動性プールが65.4%、レンディングが28.1%を占めた。流動性プールは、DEXなどでトークンの交換を成立させるために利用者が資産を預け入れる仕組みだ。
具体例としてbStocksでは、預け入れられた担保に対する借入残高の割合が、6月末の5.5%から9月10日時点で46.2%へ上昇した。この数値は市場全体ではなく、bStocksにおける利用状況を示すものだ。バイナンス・リサーチは、こうしたデータがトークン化株式の担保利用拡大を示していると分析した。
バイナンス・リサーチは、今後のトークン化株式市場では、発行数や時価総額だけでなく、取引回転率、市場の流動性、DeFiでの利用率など、トークン化後の実利用を示す指標の重要性が高まるとみている。
What happens when stocks go on-chain?
— Binance Research (@BinanceResearch) September 11, 2026
🔸 Aug volume ~33x Jan
🔸 bStocks tops US$23B in on-chain volume
🔸 DeFi utilization hit 7.2%
🔸 Stock-paired memes add a new source of turnover
Growth is shifting from issuance to distribution and use.
Read on ⬇️https://t.co/OdVKLfFU3D
参考:バイナンス
画像:PIXTA