バックト、77%減収もステーブルコイン決済へ軸足転換。DTR買収やZoth提携推進

77%減収も、ステーブルコイン金融インフラへ転換進める

米デジタル資産サービス企業バックト(Bakkt)が、2026年第1四半期の決算を5月11日に発表した。

バックトは、2018年に設立された規制対応型の金融テクノロジー企業だ。暗号資産取引やカストディなどを手がけてきたが、近年はステーブルコイン決済やクロスボーダー送金など、金融インフラ領域への転換を進めている。

同社の最終損益は1,170万ドル(約18.5億円)の純損失となり、前年同期の770万ドル(約12.1億円)の純利益から赤字転落した。バックトは、減収の主因について暗号資産(仮想通貨)取引量の減少だと説明している。一方で、同社は現在、事業構造の転換を進めている。

一方で、バックトは3月31日時点で現金および現金同等物、制限付き現金として8,260万ドル(約130.4億円)を保有している。同社は、長期債務がなく、今後の事業転換を進めるための流動性は確保しているとの認識を示した。

バックトは4月30日、ディストリビューテッド・テクノロジーズ・リサーチ(Distributed Technologies Research:DTR)の買収を全株式取引で完了した。DTRは、AIネイティブのエージェント型決済エンジンと、ステーブルコイン向けコンプライアンス基盤を手がける企業だ。

バックトによると、DTRの統合により、同社は米国全域の送金ライセンス、ニューヨーク州ビットライセンス(BitLicense)、欧州VASPライセンスに加え、DTRの決済技術を組み合わせた基盤を構築する。これにより、機関投資家規模で24時間365日のクロスボーダー決済を支える考えだ。

またバックトは5月、ステーブルコインソリューション企業ゾス(Zoth)との戦略的覚書(MoU)締結も発表した。ゾスは、グローバルサウスおよびエージェント型経済向けに構築されたステーブルコイン決済企業だ。

同MoUに基づき、ゾスはバックトの全米送金事業子会社内の認定エージェントとして活動する。バックトによると、ゾスは同社の米送金ライセンス基盤を活用し、南アジア、中東、サブサハラアフリカの決済回廊で、年間約10億ドル(約1,577億円)規模の決済取扱高を目指すという。

こうした取り組みについて、バックトCEOのアクシャイ・ナヘタ(Akshay Naheta)氏は、ステーブルコインインフラを「過去数十年における世界金融の最も重要な構造変化の一つ」と位置付けている。同氏は、バックトについて、テクノロジー、コンプライアンス、流通の交差点に位置する、信頼できる規制対応型の機関投資家向けプラットフォームを目指すと説明した。

参考:決算資料
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

渡邉洋輔

「あたらしい経済」編集部 記者 ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。