ヴィタリックがゼロ知識証明活用の「プライバシープール」についての研究論文を共同執筆

ヴィタリックが「プライバシープール」についての研究論文を共同執筆

Ethereum(イーサリアム)の共同創業者であるヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏が、スマートコントラクトベースのプライバシー強化プロトコル「プライバシープール」についての研究論文を共同で執筆したことが分かった。

同論文はヴィタリック氏と、ミキシングサービスの「トルネードキャッシュ(Tornado Cash)」創業者の一人であるアミーン・ソレイマニ(Ameen Soleimani)氏、ブロックチェーン・セキュリティ企業チェイナリシス(Chainalysis)のジェイコブ・イルム(Jacob Illum)氏、バーゼル大学の研究者マティアス・ナドラー(Matthias Nadler)氏とファビアン・シャール(Fabian Schär)氏によって執筆された。

「プライバシープール」は複数のユーザーのトランザクションを混合することで本当のトランザクションの始まりを不明瞭にするというトルネードキャッシュと同様の動作をする。それに加えて資金を引き出す処理を行う際にゼロ知識証明を使用して犯罪者のアドレスを使用していないかを確認することも可能とのことだ。

これにより、プライバシーの保護と規制遵守のバランスをとることを目指しているという。

米財務省外国資産管理局(OFAC)と米司法省(DOJ)は8月23日、トルネードキャッシュの共同創設者2名を起訴したと発表した。米財務省外国資産管理局は北朝鮮に関連するハッカー集団「ラザルス(Lazarus)」に物質的支援を提供する役割を果たしたとして起訴、米司法省はマネーロンダリングの共謀、無認可送金業の共謀、制裁違反の共謀で起訴している。

「プライバシープール」ではプライバシーを組み込みつつも犯罪行為に関わる取引を、誠実なユーザーによる取引から分離するように設計されているため、トルネードキャッシュが抱える犯罪に利用されるという問題を解決できる可能性があるとのことだ。

関連ニュース

参考:SSRN論文ページ
写真:大津賀新也(あたらしい経済)

関連するキーワード

この記事の著者・インタビューイ

田村聖次

和歌山大学システム工学部所属 格闘技やオーケストラ、茶道など幅広い趣味を持つ。 SNSでは、チェコ人という名義で、ブロックチェーンエンジニアや、マーケターとしても活動している。「あたらしい経済」の外部記者として記事の執筆も。

合わせて読みたい記事

【5/17話題】スラッシュがSlash Vプリカ SHOP開始、SECのSAB121覆す決議案が可決など

スラッシュが「Slash Vプリカ SHOP」開始、暗号資産でVプリカ購入可能に、米上院、SECの暗号資産会計ルール「SAB121」を覆す決議案を可決、インド証券取引委員会、暗号資産取引の監督に前向き、準備銀行とは対照的に、仏証券監督当局、投資家にBybitの無登録営業を警告、KuCoin、ナイジェリアの規制準拠に向け一部サービスを停止、米CME、ビットコイン現物取引の提供検討か=報道、リップル、「XRP Ledger」をコスモスのインターチェーンに接続、マスターカードがカーボンクレジットのトークン化における概念実証完了、スタンダードチャータード銀行らと、DTCC、大手銀行らとファンドのトークン化推進する「Smart NAV」の実証実験完了。チェーンリンク活用で