ペイパルが英国ユーザーへの暗号資産購入サービスを一時停止へ、新規制準拠のため

10月より一時停止

米決済大手ペイパル(PayPal)が、英国ユーザーへの暗号資産(仮想通貨)サービス提供を10月より一時停止する。ペイパルが一部ユーザーへ8月15日に送ったメールにより明らかとなった。

メールにてペイパルは一時停止する理由を、10月より英国で発効される金融プロモーション制度に対応するためだと説明。

ペイパルが同制度の求める規制要項を満たすまでの間、英国ユーザーはペイパルを通して暗号資産を購入することはできなくなる。

またペイパルは、顧客資産が安全に保管されていることも伝え、手数料無料でプラットフォームに保管しておくこともできるし、いつでも売却可能だと述べている。

なお2024年初頭には、サービス再開予定とのことだ。

ちなみに現在ペイパルでサポートされている暗号資産はビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、ライトコイン(LTC)、ビットコインキャッシュ(BCH)の4銘柄だ。

金融プロモーション制度について

英国の規制当局である金融行為監督機構(FCA)は7月、同国ユーザーに暗号資産を宣伝する企業に対し、金融プロモーション制度を遵守する必要があると発表。

この金融プロモーション制度では、「友人紹介」ボーナスなどのインセンティブの廃止や、明確なリスク警告を設置した明確かつ公正な広告活動が求められる。また、24時間の「クーリングオフ」制度を設置することも課せられる。

この命令は10月8日から発効予定で、英国ユーザーに暗号資産関連サービスを提供している海外企業も対象となる。

これらを破った場合、2000年金融サービス市場法(FSMA)第21条に違反することになり、最高2年の禁固刑、無制限の罰金、またはその両方で処罰されるという。

独自ステーブルコインをローンチ

ペイパルは8月7日、独自の米ドル建てステーブルコイン「PayPal USD(PYUSD)」のローンチを発表したばかりだ。

「PYUSD」は、米ドルの価格に1:1でペッグ(固定)されたステーブルコインで、その価値は米ドル預金・短期米国債・同様の現金相当物に100%裏付けられているという。「PYUSD」およびその準備金は、ニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)の規制監督対象になる。

また「PYUSD」はイーサリアム(Ethereum)ブロックチェーン上で発行されるERC-20規格のトークンとのことだ。

なお大手金融会社が独自のステーブルコインを発行するのは、初の事例となる。

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参考:SEC掲載書類
デザイン:一本寿和
images:Reuters

この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者 同志社大学神学部を卒業後、放送局勤務を経て、2019年幻冬舎へ入社。 同社コンテンツビジネス局では書籍PRや企業向けコンテンツの企画立案に従事。「あたらしい経済」編集部では記事執筆を担当。

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