独SAP、USDCとEUROCでクロスボーダー決済テスト実施

ブロックチェーン技術とステーブルコインで海外送金の問題を解決

ドイツのソフトウエア大手SAPが、米サークル(Circle Internet Financial)発行のステーブルコインを使ってクロスボーダー決済に関するテストを行っていることを6月15日発表した。

発表によればSAPは、サークル発行の米ドルステーブルコイン「USD Coin(USDC)」とユーロステーブルコイン「EUROC(Euro Coin)」、そしてブロックチェーン技術を活用することで、企業が海外送金する際の「煩わしさ」の解決を目指すとしている。

SAPの製品エキスパートであるシシー・ルーテ(Sissi Ruthe)氏は同社のブログにて、「国境を越えた決済は、国際的な取引先を持つ多くの中小企業にとって面倒なものだ。1回の取引につき最大50米ドルと高額で、送金に最大7日間と時間がかかり、取引状況を知ることができないという非透明性がある」と述べ、「これらの大きな課題は、決済手段としてのデジタルマネーと基盤技術としてのブロックチェーンで解決できる」とコメントしている。

なおルーテ氏は、これら技術を活用することでSAPの顧客はセルフカストディ(自己管理型)ウォレットを用いて仲介者なしでクロスボーダー決済が可能になると説明している。

なお今回の取り組みに関してSAPは、同社提供の「SAPデジタルカレンシーハブ(SAP Digital Currency Hub)」を利用した先行試用を開始しているとのこと。このテストは実験目的であり、テストネットワークにて実施されるという。

「SAPデジタルカレンシーハブ」にてテストに参加する顧客は、「プレイマネー」としてテスト版のUSDCを受け取り、支払いオプションを試すことができるという。SAPはこの体験を通し、顧客に「国境を越えた支払いがいかに早く、手頃な価格で、信頼できるかを体験」させる狙いがあるとのことだ。

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参考:SAP
デザイン:一本寿和
images:iStocks/StationaryTraveller・iam2mai

この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者 同志社大学神学部を卒業後、放送局勤務を経て、2019年幻冬舎へ入社。 同社コンテンツビジネス局では書籍PRや企業向けコンテンツの企画立案に従事。「あたらしい経済」編集部では記事執筆を担当。

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