Yコンビネーター、暗号資産スタートアップの重点6分野を公表。「機関主導」の市場拡大を指摘

ステーブルコインやRWA、AI関連など6分野を重視

米スタートアップアクセラレーターのYコンビネーター(Y Combinator:YC)が10月、暗号資産(仮想通貨)分野で出資を希望する事業テーマをまとめた「Crypto Request for Startups(CRFS)」を公表した。

YCは今後6カ月の重点領域として、AI関連の資金調達、ステーブルコイン、ステーブルコインを基盤とするネオバンク、現実資産(RWA)のトークン化、取引プラットフォーム、AIエージェント向けの取引・API基盤などを挙げている。

YCのビジティングパートナーであるネミル・ダラル(Nemil Dalal)氏は10月28日、Xで同文書を紹介。これらの金融ニーズに対応する暗号資産スタートアップへの出資を増やしたいと説明し、次回の応募締切を11月2日(月、米太平洋時間)とした。

YCは今回の文書で、過去1年間の暗号資産の利用拡大について、初めて個人消費者ではなく機関が主導したとの見方を示した。過去の市場サイクルと異なり、投機よりも実際の金融ニーズが成長をけん引したと指摘し、原油価格の変動リスクに対するヘッジや企業資金の迅速な国際移動を例に挙げている。

小口資産のトークン化やAIエージェントの市場参加も想定

AI関連の資金調達では、AI分野で拡大する投資需要を背景に、ブロックチェーンを活用して資金調達を容易にする仕組みを求めている。

ステーブルコインでは、ゲームなど既存の金融サービスが十分に対応できていない利用者や加盟店向けの米ドル建てに加え、米ドル以外の通貨に連動するものも対象とする。ネオバンクでは、国境を越えて働くフリーランサーや国際的に事業を展開する企業などを顧客層に想定している。

RWAのトークン化では、株式や債務性資産、コモディティ、住宅の所有権などを対象に挙げた。YCは、スタートアップの株式や1万ドル未満の小口証券などもブロックチェーン上で発行され、取引や融資、デリバティブなどの金融サービスの発展につながると予想している。

取引分野では新たな取引所やトレーディング用インターフェース、AIエージェント分野では自律的な取引を支えるツールや法定通貨と暗号資産を相互に交換するゲートウェイ、API基盤などを挙げた。

YCは、AIエージェントがオンチェーンの取引や融資、デリバティブ市場で主要な参加者になる可能性を指摘。また、ブロックチェーン技術が従来の証券取引所に、ステーブルコインが既存の銀行システムに挑戦し得るとの見方も示した。

以前からオンチェーン金融を重視

YCは2025年9月、イーサリアムのレイヤー2ネットワーク「ベース(Base)」やコインベース・ベンチャーズ(Coinbase Ventures)と連携し、「Fintech 3.0」のスタートアップ募集を発表した。この際もステーブルコイン、トークン化と取引、アプリケーションとAIエージェントを重点分野としていた。

また、2026年2月には、同年春季のプログラムから、出資先が標準出資額の50万ドルを米ドル連動型ステーブルコイン「USDC」で受け取れる選択肢を提供する方針を明らかにした。

同年4月には、予測市場関連のトータリス(Totalis)がYCから50万ドルをUSDCで調達したことを発表している。

参考:Y Combinator・報道1・報道2・ Base公式ブログ
画像:PIXTA

関連ニュース

関連するキーワード

この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者