ビットマイン会長トム・リー、暗号資産の強気相場入りを指摘。過去最大規模になる可能性

トム・リー氏、暗号資産の強気相場入りを指摘

米ビットマイン・イマージョン・テクノロジーズ(Bitmine Immersion Technologies)のトム・リー(Tom Lee)会長が、暗号資産(仮想通貨)市場はすでに強気相場に入っているとの見方を、10月7日に公開された動画で示した。同氏は、金融機関が主導する資産のトークン化や世代間の資産移転などを背景に、今回の強気相場が過去最大規模になる可能性が高いと予測している。

リー氏は強気相場入りを判断する根拠として、米資産運用会社フランクリン・テンプルトン(Franklin Templeton)やフィデリティ(Fidelity)なども強気相場入りを指摘していると説明した。また、ビットコイン(Bitcoin)が8月19日に200日移動平均線を上回ったことにも言及した。

200日移動平均線は、過去200日間の平均価格を示す指標で、相場の長期的な方向性を判断する際に用いられる。リー氏によると、2010年以降、ビットコインが200日移動平均線を上回って取引されている場合、6カ月先の平均リターンは193%で、プラスとなった割合は80%だったという。また、2012年以降に発生した9回の上抜けのうち、8回が強気相場の兆候になったと同氏は説明した。

さらに同氏は、ビットコイン現物ETFへの年初来の資金流入がプラスに転じたことも根拠に挙げた。同氏によると6月30日から9月18日までの期間には、暗号資産が他の主要資産を上回るパフォーマンスを示したとのことだ。特にイーサリアム(ETH)の騰落率は、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融引き締め姿勢や原油価格の上昇、世界的な債券利回りの上昇といった状況下でも、米株価指数S&P500を約65パーセンテージポイント上回ったという。

一方、今回の強気相場が過去最大規模になると予測する理由について、リー氏は過去の市場との違いを指摘した。2016〜2017年の新規暗号資産公開(ICO)ブームや2019〜2021年の非代替性トークン(NFT)ブームは、個人投資家が中心だったのに対し、今回は金融機関が主導する資産のトークン化が市場拡大の原動力になるとみている。

リー氏は具体例として、米資産運用大手ブラックロック(BlackRock)と米ロビンフッド(Robinhood)の動向を紹介した。同氏は、ブラックロックが運用資産の大部分をトークン化することを目指していると説明した。また、ロビンフッドCEOのブラッド・テネフ(Vlad Tenev)氏が、従来の金融インフラで扱われる資産は最終的にトークン化されるとの見方を示していることにも言及した。

こうしたトークン化が広がった場合の市場規模についても、リー氏は試算を示した。世界の流動性資産は約200兆ドル(約3京1,536兆円)に上り、そのうち株式、債券、クレジットの3分野が約160兆ドル(約2京5,229兆円)を占めるという。同氏は、これらの資産の10%がブロックチェーンに移行すれば、16兆ドル(約2,523兆円)規模の市場が生まれると試算した。

さらにリー氏は、資産のトークン化やブロックチェーンへの資産の預け入れが、ブロックチェーン自体の価値にもつながるとの見方を示した。同氏は、レイヤー1(L1)ブロックチェーンで1ドル(約158円)分の資産がトークン化、または預け入れられると、そのブロックチェーンに同程度の価値が生まれると考えている。また、ブラックロックやJPモルガン(JPMorgan)、ロビンフッドなどによるイーサリアム関連の取り組みを挙げ、イーサリアムがトークン化の拡大による恩恵を受けると予測した。

トークン化に加え、リー氏は世代間の資産移転も強気相場を拡大させる要因になると予測した。今後の強気相場では、1兆5,000億〜2兆ドル(約237兆〜315兆円)規模の資産が相続される可能性があるとのことだ。これに伴い、債券や融資などの信用関連資産から、デジタル資産や株式への資産配分の変更が進むとの見方を示した。

また、リー氏は暗号資産を財務資産として保有するデジタルアセット・トレジャリー(DAT)企業にも言及した。同氏の説明では、ETHを保有するDAT企業の保有額は合計約210億ドル(約3.3兆円)に達するという。こうした企業がETHを長期保有することで市場に流通する供給量が減少し、需要の回復時には価格上昇につながる可能性があると分析したとのことだ。

このほか、リー氏はAIエージェントの普及も暗号資産の需要を拡大させる要因になると予測した。AIエージェントがデジタルウォレットを保有し、インターネット上で活動する機会が増えることで、暗号資産の役割が拡大するとの見方を示している。

ビットマイン、ETH保有目標への接近と自社株買いの実績を説明

ビットマインは、ETHを財務資産として大量保有する米国の上場企業だ。同社はETH総供給量の5%を保有することを目標としており、2025年6月30日から約15カ月間で保有量を約600万ETHまで積み増した。リー氏は今回の動画で、目標達成までに必要な追加取得量は約10万ETHだと説明した。

リー氏は、ビットマインが弱気相場の中でETHを積み増してきたことを強調した。また、強気相場が始まるタイミングで、ETHの積み増しを終える段階にあるとの考えを示した。そのうえで、今後ETH価格が大幅に上昇すれば、ビットマインの株価はETH自体を上回るパフォーマンスを示す可能性があると予測した。

さらにリー氏は、ビットマインが総額3億5,000万ドル(約552億円)、約2,100万株の自社株買いを8月17日までに完了したことも紹介した。同氏は、これをDAT企業による過去最大規模の自社株買いと説明し、同社の株価の底値形成にも寄与したとの見方を示した。

また、リー氏はビットマインの過去の株価パフォーマンスにも言及した。2025年6月30日から同年12月31日までの間にETH価格が22%上昇した一方、ビットマインの株価は500%上昇したと説明した。

参考:動画
画像:PIXTA

関連ニュース

関連するキーワード

この記事の著者・インタビューイ

大津賀新也

「あたらしい経済」編集部 副編集長 ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。