AWS、「アマゾン・マネージド・ブロックチェーン」を2027年9月にサポート終了へ

Amazon Managed Blockchain、2027年9月にサポート終了

ブロックチェーンのネットワーク運用やデータ取得などを支援するサービス「アマゾン・マネージド・ブロックチェーン(Amazon Managed Blockchain:AMB)」のサポートが2027年9月29日に終了する。同サービス提供のアマゾン・ウェブ・サービス(Amazon Web Services:AWS)が9月29日に発表した。

具体的には、AMBは今年10月29日から新規顧客の受け入れを停止するとのこと。既存顧客は2027年9月29日まで通常通りサービスを利用できるが、同日以降はAMBの機能にアクセスできなくなるという。そのためAWSは既存顧客に対し、できるだけ早く移行計画を開始するよう推奨している。

AWSは2018年11月、同社が毎年開催するクラウド技術イベント「AWS re:Invent 2018」でAMBを発表した。AMBは、企業や開発者がブロックチェーンネットワークを自ら構築・管理する負担を減らすためのマネージドサービスとして開発された。AMBはAWS独自のブロックチェーンではなく、既存のブロックチェーンへの接続や企業向けブロックチェーンネットワークの構築・管理などを支援するサービスだ。

AWSは2019年4月、AMBの一般提供を開始した。当初は、ハイパーレジャー・ファブリック(Hyperledger Fabric)を利用したブロックチェーンネットワークの構築・管理に対応した。ハイパーレジャー・ファブリックは、企業や組織など許可された参加者が共同利用するブロックチェーンネットワークを構築するためのオープンソース基盤だ。ビットコイン(Bitcoin)やイーサリアム(Ethereum)などのパブリックブロックチェーンとは異なり、ネットワークの参加者を管理できる。

その後AWSは2021年3月、AMBのイーサリアム対応を一般提供した。これにより利用者は、イーサリアムノードの監視や障害時の交換、ソフトウェアのアップグレードなどを自ら管理することなく、イーサリアムネットワークへ接続できるようになった。ノードとは、ブロックチェーンのデータを保持し、ネットワークとの通信や取引データの検証などを行うコンピューターを指す。

さらにAWSは2023年7月、パブリックブロックチェーンへ接続する「AMB Access」と、ブロックチェーン上のデータを取得する「AMB Query」の一般提供を開始した。現在、AWSはAMB Accessを通じてイーサリアム、ビットコイン、ポリゴン(Polygon)などへのアクセスを提供している。一方、AMB Queryでは複数のブロックチェーン上のデータを整理し、取引履歴や残高、トークン、コントラクトなどの情報を取得できる。

AWSは今回のサポート終了に伴い、AMB Accessでイーサリアム、ビットコイン、ポリゴンを利用する顧客に対し、AWS上で自己管理するブロックチェーンノード、またはサードパーティーのブロックチェーンインフラプロバイダーへの移行を案内している。

具体的には、AWS上でノードを自己管理する場合、オープンソースツール「AWS Blockchain Node Runners」を利用できる。同ツールはAMBのようにAWSがノードを管理するサービスではなく、AWSのインフラ上に利用者自身がブロックチェーンノードを構築するためのツールだ。一方、ノードの管理を外部事業者に任せる場合の移行先として、AWSはアルケミー(Alchemy)、クイックノード(QuickNode)、カレイド(Kaleido)などを挙げている。

それに対しAWSは、AMB Queryの利用者にはマネージド型のブロックチェーンデータプロバイダーへの移行を案内している。一般的なブロックチェーンノードには、AMB Queryのようにデータを整理して取得する機能が備わっているわけではない。そのため、単に接続先を別のノードへ変更するだけでは移行できないとのことだ。AWSは移行先としてクイックノードとアリウム(Allium)を挙げている。

またAWSは、ハイパーレジャー・ファブリックを利用する顧客に対し、別のマネージド型ハイパーレジャー・ファブリックネットワーク、AWS上で自己管理するネットワーク、AWSのデータベースという3つの移行先を提示している。このうち自己管理する場合は、アマゾンEC2(Amazon EC2)またはアマゾンEKS(Amazon EKS)を利用できる。

一方、AWSのデータベースへの移行は、ブロックチェーンとしての運用は不要になったものの、過去のデータを検索可能な形で保持したい顧客を想定している。この場合、複数の組織で取引を承認する仕組みなど、ブロックチェーン固有の機能は利用できなくなる。

なおAWSは今回、AMBのサポート終了について「慎重に検討した結果」と説明しており、具体的な終了理由については明らかにしていない。

参考:AWS1・AWS2 
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

渡邉洋輔

「あたらしい経済」編集部 記者 ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。