オンド、金融市場向け実行基盤「Ondo Network」公開。独自L1構想を発展

オンドが独自チェーンから設計を転換

RWA(現実資産)のトークン化を手掛けるオンド・ファイナンス(Ondo Finance)が、金融市場向けの実行レイヤー「オンド・ネットワーク(Ondo Network)」を7月28日に公開した。同ネットワークの初期版はすでに稼働しており、無期限先物プラットフォーム「オンド・パープス(Ondo Perps)」の基盤として利用されている。

同ネットワークは、昨年発表した独自レイヤー1ブロックチェーン構想「オンド・チェーン(Ondo Chain)」のビジョンを発展させたものだ。現時点のオンド・ネットワークはブロックチェーンではなく、実行・検証・清算の役割を分離するアーキテクチャを採用している。

オンド・ファイナンスはこれまで、RWAなどの金融資産を扱うための独自レイヤー1ブロックチェーン「オンド・チェーン」の構築を目指していた。しかし、オンド・パープス(Ondo Perps)の開発や顧客との対話を重ねる中で、金融市場の制約は清算ではなく、注文のマッチングやリスク・証拠金管理、ポジションの強制決済などを担う実行部分にあるとの考えに至った。その結果、従来型の独自ブロックチェーンではなく、実行処理に特化した「実行レイヤー(Execution Layer)」を採用した。

従来のブロックチェーンでは、取引の実行・検証・決済を同じ台帳上で、同じコンセンサスの下に処理する構成が一般的だった。しかし、金融市場では、取引の実行に高速性やプライバシーが求められる一方、決済では記録の耐久性や検証可能性が重視される。

オンド・ファイナンスは、こうした要件の違いが金融市場向けアプリケーションの制約になっていたと説明した。そのためオンド・ネットワークでは、それぞれの役割を分離し、異なる技術を組み合わせる設計を採用した。

具体的には、注文のマッチングや証拠金管理などの実行を、ハードウェア上に隔離された実行環境「TEE(Trusted Execution Environment)」で行う。ただし現時点のコード実行は、複製された分散ネットワークではなく、単一の高性能TEEで行われる。

複数の独立運営者からなる「アテスター(Attestor)」はクォーラム方式に基づき、TEEが承認済みのコードを実行していることを確認するとともに、システムの運用に必要な鍵を分割して管理する。TEEが出力する署名付きの実行ログを利用すれば、許可された監査人や取引相手などの第三者が処理内容を事後的に検証できるとのことだ。利用者の資産移転はパブリックブロックチェーンで決済される。

これにより、取引処理の高速性とプライバシーを維持しながら、単独の運営者が利用者の資産を移動できないノンカストディアル設計と、処理内容の検証可能性を両立するとのことだ。

オンド・ネットワークの最初のユースケースであるオンド・パープスは、株式やETF、コモディティなどを対象とした無期限先物の24時間取引に対応する。またトークン化された株式やETFを担保として利用する機能もすでに提供しており、当初は「SPYon」と「QQQon」に対応している。

オンド・ネットワークは、パープス専用のシステムではない。現物市場や仕組み商品、レンディング市場、取引決済基盤など、実行速度やプライバシー、分散型の検証可能性を必要とする幅広いアプリケーションに利用できるとのことだ。

今後の方向性としては、現在稼働している複数のアテスター群をパーミッションレスな参加へ拡大することや、コード検証・鍵管理・アプリケーション運営の役割分離、清算済み状態のパブリックブロックチェーンへの記録、外部監視者、追加の暗号学的証明、選択的プライバシー、PoS型のセキュリティモデルなどを挙げている。

オンド・ファイナンスは、オンド・ネットワークについて、オンド・チェーンそのものではないものの、同構想を掲げた本来の目的をより忠実に実現するものと位置付けた。

参考:オンド
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

渡邉洋輔

「あたらしい経済」編集部 記者 ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。